第16話伶
寒流は未だ去らず、むしろ夜明け時には一層激しくなったようだ。
鉛灰色の空、重く垂れ込めた雲が息苦しく、冷たい北風が無数の剃刀のように肌を切りつけ、骨まで凍る寒さをもたらしていた。
登校する生徒たちは首をすくめ、マフラーと上着をしっかりと巻き締めている。
私も服をしっかりと着込んで、ファスターを顎まで上げたが、冷たい空気はまだ隙間から容赦なく侵入してくる。
私は無意識に近道を選び、校舎の裏にある、高い梧桐の木々に覆われた人気のない小道を通った。葉を落とした枝が寒風にさらされ、うめくような音を立て、いっそう寂しさを増していた。
小道の曲がり角で、見覚えのある姿が視界に入った。
伶だ。
彼女はうつむき、分厚い辞典とスケッチブックを胸に抱え、指が真っ赤に凍りつきそうになりながら、硬い表紙に食い込むほどに強く抱えていた。
マフラーはおろか、外套の襟も立てておらず、細い首元に冷たい風が遮るものなく吹き込んでいた。
彼女はわずかに肩をすくめ、小さな鼻先と頬は寒さで真っ赤に染まり、唇も少し青ざめている。
足取りは速く、急ぐように歩いていた。まるでこの身を切るような寒さから逃げるように、あるいは時間に追われるように。
一陣の強風が突然吹き抜け、枯れ葉と砂塵を巻き上げた。伶は思わず顔をそらし、体をわずかに震わせ、胸の本を一層強く抱きしめた。寒風に震えながらも隠れる場所のない小鳥のように。
ほとんど反射的に、私は足を止めた。視線は寒風に晒された彼女の、細くて脆そうな首筋に釘付けになった。冷たい空気の中で、その白い肌が特に際立って見えた。
伶も誰かを感じ取ったらしく、顔を上げた。私の姿を認めるや、彼女は一瞬で足を止め、驚きの表情を見せた。
澄んだ瞳に一瞬の驚きが走り、すぐに深い当惑と困惑に取って代わられた。
彼女は無意識に首をすくめ、まるで襟の中に隠れようとするようにしたが、効果はなかった。再び寒風が吹き、彼女の体は震えた。
「北…北辰くん……おはよう……」
挨拶しようとしたが、声は寒風に引き裂かれるように震え、鼻声が強く、最後の言葉は風に消えそうだった。
彼女の真っ赤に凍った鼻先と微かに震える体を見つめ、私は何も言わなかった。ポケットの中の指が無意識に縮こまり、中の柔らかくて厚手の織物に触れた。
私のマフラーだ。
深灰色の、ウール混紡のマフラー。新品ではないが、厚手で、まだ私の体温が残っている。今、それは私のポケットの中で静かに横たわっていた。
ためらわず、考える間もなく、私はポケットからそのマフラーを取り出した。鉛灰色の空模様の中、深灰色のウールはどこか鈍く見えたが、手触りは温かかった。
伶が私がマフラーを取り出すのを見て、目をぱっちりと見開いた。そこには信じがたい驚きと一抹の慌てた気持ちが満ちていた。
「えっ……?」
彼女は何かを察したようで、唇をわずかに開き、何か言おうとしたが、冷たい風が入り込み、わずかな息音しか出せなかった。
私はマフラーを持って、彼女に一歩近づいた。風はますます強く吹き、彼女の髪が頬に乱れながら貼りついた。
彼女は思わず半歩後ずさり、本を抱える指をもっと強く握りしめ、指の関節が力の入れ具合で白くなった。まなざしにはとまどいと緊張が混ざっており、驚いた子鹿のようだった。
私は足を止めず、まっすぐに彼女の目の前に立った。私たちの間の距離はとても近く、彼女のまつ毛に凝結した小さな水滴、凍って赤くなった鼻翼のわずかな動き、彼女の体から放たれる冷たい気配まではっきりと感じ取れた。
彼女は私よりもずっと背が低く、今は少しうつむき加減に私を見上げていた。澄んだ瞳には私の姿と、私の手の中の深灰色のマフラーが映っている。
彼女の息遣いは荒く、温かい吐息が冷たい空気の中で白い塊となって広がった。
私はマフラーを広げた、動作はややぎこちなかった。深灰色のウールが寒風の中に広がり、まるで小さな温かな雲のようだった。
手を上げて、マフラーの端を彼女の首元に回した。ウールのざらついた感触が彼女の冷たい肌を撫で、彼女の体が一瞬で硬直し、まるで火傷したかのように、わずかに縮こまった。
彼女の体の緊張と細かい震えを感じ取ることができた。
私は一瞬止まり、動きをもっと優しく、ゆっくりとしたものにした。注意深くマフラーを彼女の首にひと巻き、そしてもうひと巻きと巻きつけた。
動作はやや不器用で、指が時折彼女の冷えた顎や耳たぶに触れてしまうこともあった。
そのわずかな接触の度に、彼女の体はさらに硬くなり、息遣いもさらに荒くなった。頬の紅潮は急速に広がり、耳の先まで真っ赤に染まった。
彼女はうつむき、私を見ようともせず、長いまつ毛が激しく震えた。
マフラーは分厚く、彼女の顔の半分以上を覆い、澄んだ大きな目だけが残った。今は途方もない驚きと当惑でいっぱいの目だった。
私は不器用にマフラーの両端を彼女の胸元で結んだ。ぎゅっと締めすぎないように、適度な緩さで結ぶようにした。
深灰色のウールは、顔の外に出た頬や鼻先をより白く見せ、その一抹の赤みをより際立たせた。
マフラーにはまだ私の体温が残っており、どこかかすかに、私の匂い(たぶん洗剤の香り?)がした。それは彼女の冷えた首元と顎を優しく包み込んだ。
冷たい風は遮られ、代わりに分厚く温かな感触が広がった。
伶の体はまだ硬直したままで、本を抱える指は力が入って微かに震えていた。
彼女はうつむき、視線は胸元のよれよれに結ばれた結び目に釘付けだった。長いまつ毛が垂れ下がり、瞳に渦巻く感情を隠していた。しかし、彼女の耳の先は、血が出そうなほどに赤くなっていた。
私は彼女の様子を見て、動きを止めた。指はまだマフラーの結び目の上にあり、彼女の首筋の皮膚から伝わってくる、微かで、徐々に高まっていく温度を感じ取ることができた。
奇妙な静けさが空気に漂い、耳元でうなる風の音と、伶のほとんど聞こえないような、乱れた息遣いだけが響いていた。
「……」伶はついに、かすかでかすれたような声を発した。
彼女は突然顔を上げた。その澄んだ目に、今は水の光がきらめき、薄い水膜が瞬く間に広がり、瞳がかすんだ。
彼女は私を見つめ、唇を微かに震わせながら、何かを言おうとしたが、一言も口にできなかった。その視線には、驚き、信じられなさ、彼女を飲み込んでしまいそうなほどの温かさ、そして言い表せない恥ずかしさと当惑があった。
私は手を引いた。指先にはまだ彼女の首筋の冷たい感触とマフラーの柔らかさが残っているようだった。視線をそらし、枯れた梧桐の枝を見つめた。声は淡々として揺るがなかった。
「風が強い。寒いんだ。風邪引くな」
そう言うと、私は体を横に向け、さらに進もうとした。
「ま…待って!」
伶の声がついに喉を突き破った。明らかな震えと泣き声が混ざっており、まだとてもかすかではあったが、寒風の中でひときわはっきりと聞こえた。
私は足を止め、振り返って彼女を見た。
伶は本を抱えながら、片方の手を無意識に胸元の深灰色のマフラーに強く握りしめていた。指が柔らかいウールに食い込むほどだ。
彼女は私を見つめ、ついに涙が止めどなく流れ落ちた。大きな滴が、凍って赤くなった頬を伝い、深灰色のマフラーに落ち、深い色の染みを広げた。
彼女の肩は微かに震えていた。寒さのせいではなく、激しい感情の波ゆえに。
「あ…ありがとう…」
力を振り絞って、ようやく絞り出したその二文字は、粉々に砕けた声に聞こえ、ひどい鼻声と泣き声が混ざっていた。
「マフラー…すっごく…温かいよ…」
うつむくと、さらに涙がぽたぽたと落ち、抱えている本の硬い表紙に当たった。
彼女は声を殺して泣いていた。肩の震えと止めどなく落ちる涙だけが、心の内の嵐を証明している。
寒風は相変わらず小道を吹き抜け、枯れ葉と砂塵を巻き上げていた。
深灰色のウールが彼女の白く、涙の跡が何筋も走る頬を浮かび上がらせ、はかないけれども胸に迫るものだった。
私は泣いている彼女の姿を何秒か黙って見つめた。(……返す必要なんてない。こんな天気だからな)
結局、私はそれ以上何も言わず、ただ背を向けて、凍えるような寒風に向かいながら、再び校舎の方へと歩き出した。
背後の方では、伶の泣き声は風に消されていった。しかし、その言葉にならない温もりは、あのマフラーのように、しっかりと心に絡みついて、朝の最も身にしみる寒さを追い払ってくれた。




