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第13話少女たちの招待

午後の陽光がだらりとブラインドを抜け、部室の床にまだらな光の帯を落としていた。


空気には紅茶のほろ苦い香りと、鉛筆が紙を撫でるサラサラという音が漂っていた。


伶(レイ)がようやくペンを置き、ほっと一息ついてノートを整えた。一方、日向夏橘(ヒナタナツ)は椅子に胡坐をかき、広げたスポーツ雑誌に向かって新しい戦術を研究しながら、時々空中で指を動かしフェイクの動作を練習していた。


優凛(ユリン)部長は珍しくマンガに没頭しておらず、頬杖をつき、窓の外を流れる雲をぼんやり眺めながら、口の中でぶつぶつと呟いている。


「……うーん……なんかさ……部活……もうちょっと……画期的な……飛躍……必要かも……」


彼女は突然ももを叩き、ソファから飛び起きた。メガネの奥の目が一瞬で輝いた。


「決めた!」


両手を腰に当て、大きな声で宣言した。その声は一瞬にして部室の静寂を打ち破った。


「本部長が発表する! 応援部のメンバー構成が安定したことを祝い、部員同士の固い絆をより深めるため! それに……えっと……新しい応援のインスピレーションを探すためだ! 今週末! 我々は——未曾有の! 校外での! 集団! 団! 結! 活! 動! を決行するぞ!」


「団結活動?」


夏橘が最初に顔を上げ、目が「ぱっ」と輝いた。


「どこ行くの? どこ行くの部長? 山登り? 海? それとも……遊園地⁉︎」


興奮のあまり、地面から飛び上がりそうになった。


伶も突然の発表に興味をひかれ、手にしていた湯呑を置き、優凛部長の方へ好奇の眼差しを向けた。咲幽(サクユ)は筆を止め、目にもいくぶんかの期待が浮かんでいた。


優凛部長は得意げにメガネを押し上げ、声を清めてから、重大な決定を発表するような荘厳な口調で言った。


「場所に関してはさ……本部長が深く熟慮を重ねた結果……ここに決定したぞ——植物園だ!」


「植物園?」


夏橘の熱意がほんの少し冷めたように見えたが、すぐに再燃した。


「植物園もいいね! 走れるし! 植物の形態観察! 観察力のトレーニングにもなる! うん! いい場所だよ!」 彼女はいつもポジティブな面を見つけた。


伶の目もぱっと輝いた。植物園……静かで、緑豊かで、観察や記録すべきものがたくさんある。


そっと咲幽の方を見ると、彼女の顔にもほのかな笑みが浮かんでおり、指が無意識にスケッチブックの縁を撫でていた——描きどころが多すぎたからだろう。


「そうだ!」


優凛部長は自ら計画した青写真に浸りながら、


「花々の海で自然のエネルギーを吸収! 大樹の下で生命の真実を体感! そして——」


彼女は伶と咲幽を指さした。


「伶はリラックスできる! 咲幽は数えきれない感動の瞬間を描ける! 夏橘は……えっと……警備と力仕事担当! そして私! 部長として! 全体を取りまとめ、この歴史的な瞬間を記録する役! これは応援部が輝かしい新たな章へと歩みを進める記念すべき一歩になる!」


ますます興奮して語り続け、まるですでに植物園で四人が楽しく過ごす姿が目に浮かんでいるかのようだった。


「どうだ? みんな! めっちゃ楽しみじゃないか⁉︎」


優凛部長は両手を広げ、伶、咲幽、そして夏橘を見渡すと、ようやく何かを思い出したように、ずっとよそ事をしていた窓際の片隅に視線を向けた。


「当然! 北辰君も参加必須! 応援部の……えっと……戦略的予備戦力として! 欠かせない存在だぞ!」


彼は強引に役割を押し付けた。


夏橘は即座に呼応し、跳ねるように私の椅子のそばまで走り寄った。両手を肘掛けに突き、身体を乗り出し、顔には隠しようのない興奮と期待が満ちていた。


「だろだろ! 北辰くん! 一緒に行こう! 植物園! 一番珍しい花を見つける競争しようよ! それか一番植物に似た絵を描く勝負! 伶が勝っちゃうかもだけど、僕も頑張るからな! だろ伶?」


忘れずに伶の方へも視線を向けた。伶も湯呑を置き、スケッチブックを手に取り、素早く書き始めた。


「一緒に行きましょう! 植物園は静かだし、綺麗な花や草がいっぱい見られますよ」


字は整っていて、ほのかに控えめな期待がにじんでいた。書き終えると、私の方向へとノートを掲げ、その瞳には純粋な誘いが映っていた。


咲幽は言葉には出さなかったが、彼女も筆を置き、静かに私を見つめ、澄んだ目の中には声なき賛同と期待が溢れていた。身体をほんの少し前に乗り出すようにし、まるで肯定的な答えを待っているかのようだった。


一瞬、部室中の視線が私一身に集中した。


太陽も特別にその片隅を慈しむかのように、私を暖かな光の輪に包んだ。


優凛部長は腰に手を当て、夏橘は期待を詰めた顔、伶はノートを掲げ、咲幽は静かに待っていた。空気の中に、無言ながらも「早く承諾してよ」という集団的な意志が重く圧し掛かってくる。


私は広げた本の頁から視線を上げ、落ち着いて目の前の四人の、それぞれ違う表情を見渡した。皆、一様に「期待」と書かれた顔だった。


夏橘の活気は今にも溢れ出しそうで、伶の眼差しには柔らかな懇願が、咲幽の沈黙の奥には静かな信頼が、優凛部長の顔は「承諾しなければ泣いてやる」という誇張した顔の準備段階だった。


それぞれの顔を数秒間見つめた。その間、部室は窓の外の木の葉のざわめきさえ聞こえるほど静かだった。そして、私はまた瞼を落とし、指で本の頁の端を無意識にかすれさせ、かすかな「サッ」という音を立てた。


「行かない」。


声は大きくはないが、驚くほどはっきりと、私の持ついつもの、全く波風の立たない落ち着いた口調で響いた。


空気は瞬間的に凍りついたようだった。


夏橘の顔の笑みが硬直し、一時停止ボタンを押されたようだった。肘掛けに突っ張った指がわずかに縮み、目の奥の輝きが目に見えて弱まり、やがて信じられないような失望と困惑に変わった。


「え……? な……なんで?」


声にはかすかに、掴みとれるほどの悔しさが滲んでいた。まるで水を掛けられた子犬のようだった。


伶がノートを掲げていた腕も宙に固まった。彼女は私の平静で波ひとつない顔を見つめ、自分のノートに書かれた期待に満ちた誘いの言葉を覗き込んだ。長い睫毛が微かに震えた。


彼女はゆっくりと、ゆっくりとノートを下ろし、そっと閉じると膝の上に置いた。


私を再び見ようとはせず、ただうつむき、指で無意識にスカートを揉み続けた。陽射しが彼女のうつむいた頭のてっぺんを照らし、小さく静かな光の輪を落としていた。その無言の喪失感は、何よりも雄弁に部室中に広がっていった。


咲幽の少し前のめりになった身体もほんのわずか後ろに引いた。私をじっと見つめ、次に隣に座る明らかに落ち込んだ伶と夏橘を見て、複雑な感情——理解と、それ以上の仲間の感情への共感が一瞬眼に光った。


そっと下唇を噛み、黙って筆をしまい、視線は自分のノートの上に落とした。しかし、筆先はいっこうに紙へとは向かわなかった。


その頁には、優凛部長の居眠りの下書きの隣に、決して加わることのない絵を待っているかのように、空間がぽっかりと開いたままだった。


優凛部長の誇張した表情も崩れ、失望とほんの少しの敗北感に変わった。


口を開け、何か言おうとした様子だった。「北辰君! 集団活動はチームワーク育成の要だ!」とか、「植物園には超レアな食虫植物もいるぞ!」とか。


しかし、私の全く交渉の余地もない平静な横顔と、そばにいる三人の娘達の明らかに落ち込んだ感情を見て、最終的には肩を落とし、長く「はあ……」と溜め息をつき、またソファに倒れ込んだ。抱き枕を抱きしめながら、小声で呟いた。


「……戦略的予備兵力……肝心な時に役立たず……」


部室の雰囲気は先ほどの愉快で熱気に満ちたものから一気に氷点下へと落ち込んだ。


陽射しは変わらず明るく、紅茶の香りは変わらず漂っているのに、目には見えない期待と結びつきが、私の出したシンプルな二文字でたやすく断ち切られたように感じられた。


夏橘はしょんぼりと椅子に座り直し、膝を抱え、顎を膝の上にのせて、雑誌の上のバスケットボール選手のシューズを当てどもなく見つめていた。伶はうつむき、指でスケッチブックの表紙に無意味な円を描いていた。


咲幽の筆先は紙の上に浮かんだまま、一向に降ろされなかった。優凛部長は抱き枕を抱え、恨めしげな眼差しで北辰の方向をチラチラと窺っていた。


沈黙が広がっていく。ねっとりとした気まずさと淡い悔しさと共に。


その時、聞き覚えのある——ビニール包装がこすれる音が静寂を破った。


私はいつも通り、あの黒いショルダーバッグのチャックを開けた。四組の落ち込んだ、あるいは怨めしい視線にまっすぐに注がれながら、ゆっくりとバッグの中から取り出したのは——一つ、二つ、三つ……四つ? いや、五つだ! 透明包装紙に包まれた、丸々とした五個の、青ノリ付き三角おにぎりだった!


私は一つを取り出し、包装紙を開け、自分だけでもくもくと食べ始めた。そして、残った四つのおにぎりを、ごく自然に次々と置いていった——


夏橘の目の前の机の上;


伶が閉じたノートの上;


咲幽が浮かせた筆の側のスケッチブックの隣;


そして優凛部長が抱え込んだ抱き枕の上に。


動きは滑らかで一気呵成。まるでこれは毎日のルーチンであり、ありきたりな仕事のように思えた。


四人の少女達は皆、呆気に取られた。


夏橘は突然目の前に現れたおにぎりを見た。それからまた、相変わらず平静で波ひとつ立たず、咀嚼に集中している私の顔を仰いだ。悔しさと失望はすぐに複雑な表情に取って代わられた。


「……ねえ! 北辰くん! あんた……おにぎりで私達をごまかせると思ってるのかい!」


そう言いながらも、手は既におにぎりに向かって伸びていた。


伶は自分のノートの上に突然現れたおにぎりを見た。そしてまた私を見た。


私はうつむいて自分の分をかじりながら、横顔は夕陽の中で殊に静かに浮かび上がっていた。


伶の口元がわずかに上がった。ほんの少しの喪失感が、この馴染み深い、少々不器用な「埋め合わせ」によって散らされたかのようだった。彼女は黙っておにぎりを取り上げ、包装紙を開いた。


咲幽は自分の手元のおにぎりを見つめ、次に隣にいる伶と夏橘の動きを目にし、顔にほっとしたような微笑みが浮かんだ。筆を置いて、おにぎりを手に取った。


優凛部長は抱き枕の上のおにぎりをじっと見つめてから、再度北辰を見た。結局、天を仰いで一気に掴むと口に押し込み、唸るように愚痴った。


「……ふん! おにぎり外交……ずるい北辰め……でも……味は悪くないぞ……」


部室に漂っていた気まずい沈黙がおにぎりを咀嚼する音に取って代わられた。陽射しは再び温かくなっていった。


出かける計画は台無しになり、私の断りが胸に石のようにひっかかってはいたが、しかしこの馴染み深いおにぎりの香りと、その声の無い、少し意地っ張りな「気遣い」が、再び瞬時の傷口をそっと縫い合わせているようだった。


夏橘はおにぎりをかじりながら、もごもごと呟いた。


「……まあいいわ……行かないなら行かないで……植物園だもんね……次は! 次はもっとすごい場所に行こう! 北辰くん! 今度こそ断らないでよね! 聞いたか!」


伶は小さくおにぎりを口に運び、口中に広がるご飯と海苔の香りを味わいながら、そっと窓際の方角へ目を向けた。


私はもう自分の分を食べ終え、指先をティッシュで拭いていた。視線は窓の外に落ちていて、何も言わなかった。


伶はふたたびうつむき、口元の笑みをわずかに深くした。


咲幽は筆を取ると、スケッチブックの空いたページの端に、素早く小さな、丸くてふっくらとしたおにぎりの輪郭を描き、隣には小さな、少々諦めと充足感を帯びた笑顔を描いた。


優凛部長は最後の一口を飲み込むと、手を叩いて、再びエネルギーを取り戻したように元気を出した。


「よし! 戦略的予備兵力の作戦行動拒否により! 我々の植物園計画……一時凍結とする! だが!」


彼女は突然立ち上がり、窓の外を指差した。


「応援部の旅路は星の大海原! たかが植物園、我々の歩みを止めることなどできん! 来週! 来週また協議するぞ! 今は! 解散! エネルギー補給完了! 終了だ!」


夏橘は一番に呼応し、おにぎりを二、三口で片付けるとバスケットボールを掴んだ。


「了解! ボールの練習に行ってくる!」


風のように駆け出した。


伶も自身の荷物を整えた。咲幽と優凛部長(そして窓際の私)に軽くお辞儀をすると、ノートと辞書を抱えて静かに部室を後にした。


咲幽は筆や本を丁寧にしまい、私の方角に向かってそっと一言。


「……おにぎり、ありがとう。北辰くん」


そう言うと去っていった。


部室には優凛部長と私だけが残った。


優凛部長は私のそばまで歩み寄り、両手を腰に当て(身長は劣っているが)、無理に真剣な表情を作って見下ろした。


「北辰くん! 今日の振る舞いは! 本部長として非常に不満足である! 集団への帰属意識! チームワーク精神! わかるか!」


私は瞼を上げ、淡々と彼女を見ただけで何も言わなかった。手に握られていた包装紙を隅のゴミ箱に正確に投げ捨てるだけだった。


「ふんっ!」


優凛部長はふくれっ面で鼻を鳴らすと、最終的には諦めた。


「……もういいわ……次……次は絶対に連れ出すからな!」


そう呟くと、マンガ本を掴んで部室を出た。


部室はすっかり静かになった。夕焼けの金色の光が空間全体を暖かなオレンジ色に染めていた。私は椅子の背に寄りかかり、夕焼けに染まる空を窓越しに見つめた。水平線のかなたには、帰巣する鳥の群れが列をなして飛び去っていく。


行かないのか?


うん、行かない。


群衆が集まる場所は、空気がねばついて窒息しそうになる。植物園の見知らぬ顔、交差する視線や雑音、想像しただけで神経が疲れ果ててしまう。


窓際の静けさ、ライトノベルの世界、あるいはただこの広い部室の独りの時間こそが、私が慣れた、自由に呼吸のできる領分だった。


彼女たちの落胆は……


うつむいてみると、今は何も握られていない空っぽの掌があった。そこにはおにぎりの包装紙の感触がまだ微かに残っているように思えた。


おにぎりで埋め合わせできるのか?


おそらく、できない。


少なくとも……お腹を満たし、沈みがちな気分をほんの少しは追い払える。


そう思うと私はカバンを手に取り、彼女たちの気配の残る空っぽの部室を最後にひと睨みすると、ドアを閉めた。


廊下では、夕陽が私の影を細長く引き伸ばしていた。


断ったその瞬間のほんの僅かな喪失感は、影の縁にぼやけた陰のようなものだったが、ついには背後の暖かな暮れゆく光へと吸い込まれて消えていった。

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