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3,軟禁王子1ー2



 勉強しよ。日本の座学やるんじゃないしやらされるわけでもない。そして転生チートなのか、この世界の文字は全て日本語に変換され、日本語で書いた文字は全てこちらの文字に変換されるようになっていた。

 日本語で話してもこの世界の言葉になるし聞いた言葉も日本語に変換される。つまり外国語だけは満点だ。



 そこからの行動は早かった。善は急げならぬ勉は急げ、だ。転生チートで国外の書物も読み漁り、精霊に協力してもらい、これは法に触れる可能性があるので墓場まで持っていくのが得策だが、風の精霊イーゼに王宮に潜入してもらった。内密に。抜け道や取り引きなども全部把握している。


 あれ、私今6歳だよね。めっちゃ働いてる。偉い。


『リーゼ、王宮はイモーズって薬屋から第五王子の薬を入手してる。ここに原因があるかはわからないけど無関係ではないと思う。

 この薬屋があるのは10年くらい前にできた伯爵家。で、伯爵領は当主がアホだからあまり経済が上手くいっていない。イモーズからの収入頼みだろうね。あとはこの伯爵家は王位継承権を捨てていても第五王子を邪魔だと見ている。

 そしてあわよくば第四王子が自滅するように仕組んでいるみたい。そこの娘は第二王子の婚約者。医者の娘は第三王子の婚約者。いずれも王家との関わりが強いね』


 イモーズか。芋の複数形みたい。芋たち。キモーズじゃないだけいいか。キモーズはなんかヤバそう。


「ありがとう。あとは王宮で食べている物も調べた方がいいかな。魔道具を作る。コーリッシュ、ヨル、手伝って」

『任せてぇ』

『任せるといいね』


 コーリッシュは光の精霊で白い蛇の形をしている。ヨルは闇の精霊で黒い子竜の形だ。


 作る魔道具は本当に簡単なもの。作る過程は難しいが犯人特定は簡単。闇の魔法が使える人は少ないが一定数いる。私もその1人だ。

 沢山あるうちの1つに解析魔法というものがあり、傷を見る能力もあるが検知した物の内容物を調べることができる。今回はそれを使う。

 そして光の魔法。傷を癒すこともできるが明かりを灯すこともできる。解析魔法の結果が光る文字として浮かび上がれば成功だ。


 常につけていても怪しくないものがいいな。そして盗まれる可能性が低いもの。確かエルシー殿下はメガネだ。メガネに組み込むか婚約したからとお揃いでブレスレットを贈るか。うん。ブレスレットの方が良いね。渡し方のセンスには期待しないで。


 魔道具を作るのは2回目だ。1回目はエアコンを作った。日本のものとは形が違うけど極薄エアコンを壁に捩じ込んだ。んで、絵画で隠した。それを全部屋に。

 

 食堂はシャンデリアの上、キッチンは天井など場所に合わせているので今のところ悪目立ちはしていない。


 ただ、来客が来ると作れと言われることは容易に想像できるので来客は一切入れない。お陰で私達子供組を見た人は少なく、実は妖怪なんじゃないかとか外に出せないくらい醜い顔なんじゃないかとか巷ではそんな噂が飛び交っている。確かに私達は最上位精霊を連れているけど流石に人外じゃない。



 まあそんなことはどうでもよくて、まずは魔道具だ。第五王子と第四王子は双子。そして自他共に認めるほど仲が良い。

 第五王子が死ねば第四王子はなぜ気づかなかったのだと自分を責め自滅する。それを狙ったのだろう。つまり、第五王子を守れば少なくとも2人の命が救われる。


 エルシー殿下は病弱で、どんな病原菌を持っているかわからない。そう判断した大人達がエルシー殿下を療養のためと銘打って軟禁状態にした。上4人はそんな中でも度々顔を見せているそうだ。今の国王はエルシー殿下を軟禁という形で切り捨てる判断をしたが未来の国王は交流することを選んだ。 


 私のために作られた机の引き出しをひっぱり出し材料を用意する。ブレスレットを作るので鎖を。あまりジャラジャラしているのも嫌だが王族の服に合うものにしなければいけない。そこで金色の細い鎖を用意した。絡まらないギリギリのラインで。


 1つ、鳥の装飾ををつけてそこに魔道具に必要なものを組み込んでいく。解析魔法、光魔法、そしてこっそり反撃魔法を。付けている者が危険な目に遭えばどこまでも相手を追い詰めて苦痛を与えるえげつない魔法だ。


 因みに精霊達にはバレてドン引きされた。別に良いじゃん。私だって人生初の婚約者に死なれたくないもん。





「エルシー殿下、贈りたいものがあるのです。受け取っていただけますか?」

「……?贈りたいもの?」

「はい」


 ブレスレットを作り終わり次第、私はエルシー殿下の元に訪れていた。前にも言ったような気がするが手渡しセンスは問わないで。

 細く長い指で丁寧に包装紙を解いたエルシー殿下はブレスレットを見て不思議そうな顔をした。それは偶然一緒にいたエルシー殿下の双子の兄、レイ・ウォルフラン殿下も同じだった。


「ブレスレット型の魔道具です。少し気になることがあったので作りました。常に身に付けていてください。絶対に盗まれないようにベッドにいる時も同じように付けてください」



「……わかった。絶対に外さないでおくよ」

 エルシー殿下はその場で付けてくれた。レイ殿下はただ黙って見ているだけで何も言って来なかった。ほぼ空気。



「エリーゼ・ガーナメント。何のつもりだ。気になることって何なんだよ」

 おお目力やば。退出した瞬間から敵意剥き出しなのだが彼。

「病弱体質の原因です。私は少し違和感を感じたのでそれを調べるたの魔道具です」

「原因?」

 疑り深い視線が刺さる。


「はい。ピリッとしたのです。私は毒に触れると触れた部分に微弱な電流が流れるようにしています。エルシー殿下の手を取った時、同じ感覚がしたということは、そういうことなのではないかと思い、若干の犠牲はありますが調べていました。もしも毒が混ぜられていたら混ぜた人、指示した人、毒の種類、量。全て光の文字で映し出されます。あとは服用中の薬に関してもこちらで調べておりますので内密にお願いします」



今回の登場人物


・エリーゼ・ガーナメント(6歳)

・エルシー・ウォルフラン(9歳)

・レイ・ウォルフラン(9歳)

・ヨル(闇の最上位精霊)

・コーリッシュ(光の最上位精霊)

・イーゼ

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