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かってきままに  作者: 友枝 哲
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第66回 戦争をなくすことができる可能性を秘めた核融合について、調べたことを紹介してみた。(1)

まえがきは割愛させていただきます。

本文のみでお楽しみください。


●’26/3/29(日)

 最近また本業が忙しい。


 今回たぶんこれが9月くらいまで続きそうな予感。


 新作SFを書いてはいるが、いつここに上げられるか、ちょっと微妙なところである。


 それはともかく、最近、ロボティクスとAIを合わせたフィジカルAIが大きな話題となっている。


 これによってもしかすると職を奪われる人が出てきそうな勢いだ。


 私もプログラマの端くれとしてAIに取って替わられる日が近づいているのを犇々(ひしひし)と感じている。


 まあ、まだ難しい処理のコードを書かせようとすると、プロンプトをかなり精密に書かないといけなく、それならそのままプログラム書くわ!となるため、あと10年くらいは大丈夫かなと思ってはいる。甘いかな?(笑)


 ロボティクス技術、AI技術は人から職を奪うかもしれないが、逆に人に無償のサービス(エネルギー、食べ物、その他サービス)を提供できる可能性を秘めた技術がある。


 それが核融合だ。


 人の使い方によってはそうなると私は本気で思っている。


 核融合。


 ご存じの通り、重水素とトリチウムを高圧、高温下で文字通り”融合”させ、ヘリウムを作る反応のことである。


 これは太陽内で発生している反応で、若干の質量欠損が生じ、それによって莫大なエネルギーが発生する。アインシュタイン博士の有名なあの式で得られるあのエネルギーが生まれる。


 それを回収して電気を作ろうというものである。


 太陽を代表とする恒星内に水素がなくなれば、次はヘリウム同士で核融合を行い、最後は鉄となり、恒星自身の重力と内部での核融合反応によるエネルギーのバランスが崩れ、星が急激に圧縮され、超新星爆発を起こす。


 こんな大好物な宇宙の話を語り出すと長くなるので、これはこの辺で。(笑)


 核融合に話題を戻すと、この核融合は、現在国際プロジェクトとして進められているITER(イーター)という機構がある。


 ITERは”核融合の科学的、技術的な実証を目的として、実験炉を建設、運用する国際共同プロジェクト”である。


 細かいことを言うと実は発電までを目的としてはいない。あくまで核融合という技術的実証が目的である。


 参加国としては、日本、EU、アメリカ、中国、ロシア、インド、韓国である。


 現在、フランスに実験炉を建設中だ。


 さらにこのITER以外にもアメリカのCommonwealthFusionSystemsや中国のEASTなどが有名で、これらはトカマク型というタイプの核融合炉を用いて、すでにプラズマ発生まで行っている。


 これら核融合に関するニュースは時折流れており、なんとも実現が近いのかと思ったりする。そんな匂わせな書き方も見受けられる。


 では、現状現実性はどの程度かを調べてみた。


 私の調べる限りの結論から述べると、実際のところ、実現時期はまだ結構先のこととなりそうである。


 たぶん10年後くらいにようやくエネルギー取り出しができ、それでも投入エネルギーの方が多く、それが逆転し、本当の意味で発電として機能するのはもう少し先の15年後くらいではないだろうか。


 実際のITERプロジェクトでは運転開始が2034年。


 当初では2025年であったが、何度かの延期があり、現状では当初計画の9年遅れとなっている。


 実現時期については、私が調査した結果からの何となくの感覚なので、全く当たらないかもしれない。


 個人的にはもっと早くなってほしい。早く遊んで暮らしたい。(笑)


 次に調査した内容について述べたいと思う。


 核融合には方式が大きく分けて3つある。


 トカマク、ヘリカル、レーザーである。


 以下にそれぞれの方式に関して特徴を示す。


 ◆トカマク

 ・方式

  プラズマ電流による自己磁場閉じ込め。ドーナツ状のコイル内にプラズマを作り、そのプラズマを流すことで電流を発生させ、その電流による自己磁場で閉じ込めを実現する。

 ・利点

  構造がシンプル。すでに核融合温度達成の実証がなされている。

 ・難点

  現状、ディスプラクションという急激なプラズマ崩壊が発生しており、プラズマ形状安定化が困難。

 ・達成Q値

  0.6以上


 Q値というのは ”核融合出力” / ”加熱入力” であり、取り出しエネルギー(電力)基準ではない。


 プラズマを閉じ込めるコイル構造模式図は以下の通りである。図は”自然科学研究機構 核融合科学研究所”ホームページから抜粋させていただいた。


挿絵(By みてみん)



 では、次にヘリカル。


 ◆ヘリカル

 ・方式

  ねじれ構造の外部コイルにより磁場を生成し、その内側にプラズマを生成する。

 ・利点

  外部コイルによる磁場で閉じ込めるため、安定したプラズマを形成可能。

 ・難点

  ねじれたコイルの形状が複雑で製造が困難。

 ・達成Q値

  0.6以下


 コイルの構造模式図は以下の通り。


 確かに見た目からして結構複雑なコイル構造をしている。


 これはドイツのマックスプランク研究所で作られている”ヴェルデンシュタイン7X”という装置の模式図でそこのホームページから抜粋させていただいた。


挿絵(By みてみん)


 図の青色の帯がコイルで、黄色がプラズマ形状である。


 実際の建造中の炉の写真は以下の通り。


挿絵(By みてみん)


 見るからに複雑に歪んだコイル構造をしている。


 最後にレーザー。


 ◆レーザー

 ・方式

  核融合物質を爆縮させ、その中にレーザーを打ち込み、核融合反応を発生させる。

 ・利点

  融合反応の生成が容易。

 ・難点

  レーザー打ち込み毎に爆縮が必要。長時間連続運転が困難。

 ・達成Q値

  1.0以上


 トカマクはちょうどホールケーキを8等分するような形でコイルを作り、それを繋ぎ合わせて建造することが可能であり、実際にITERプロジェクトもそのように進めている。


 だが、ヘリカルは一体ものとして作り上げる必要がありそうなので、そう言った点で大型化が困難であろう。


 ニュースでは、トカマクとヘリカルが度々”プラズマ閉じ込め法”という言葉で1つにまとめられることがあるが、上記している通り、厳密には異なるようだ。


 ニュースを見る時に方式に注意していただくと面白いかもしれない。


 調べる限り、レーザー方式は連続運転が不可能であるため、未来はなさそうである。


 もちろん核融合という現象のデータ取りという点では非常に有用な研究には違いないが、これで我々が期待している半永久機関は不可能だろう。

(太陽くらいの質量があれば連続運転可能なのであることは太陽が実証しているが。(笑))


 トカマクとヘリカルについては、特徴のところにも記述したが、先に核融合反応温度の実証がトカマクで為されたため、世界各国でトカマク方式のプロジェクトが進められている。


 前述の通り、ITERやアメリカ、中国の研究も多くはトカマク方式である。


 では、何がそんなに難しいのかを簡単に書いてみる。


 まずプラズマ温度だが、約1億~1億5000万度を実現する必要がある。


 温度で表現されるのはそれほど高密度なエネルギー集束がなされているという証拠だからだ。


 これ程のエネルギーで物質同士がぶつからないと核融合反応が起こらない(らしい)。


 当たり前だが、この温度の物質が接触して形状を維持できる物質は地球上にはない。


 とんでもなく技術の進んだ宇宙人なら持っているのかもしれないが、それは期待できない。


 そのため、磁場で閉じ込める必要がある。


 この磁場を安定して形成する必要がある。


 ここには大きなエネルギーが必要となる。ただし、人類に作れないほどではなく、トカマクもヘリカルも作れる状況にはある。


 だが、トカマクはこの磁場発生させたプラズマを流すことで自己発生させる必要がある。そのプラズマが突然消える問題があり、その原因がまだ分かっていない。


 世界では数10分安定させてプラズマ形成できたという報告もあるが、数10分安定させられたものが崩壊してしまうところに逆に私は難しさを感じてしまう。


 そして、もう1つの難点。


 反応時に中性子が飛び出す問題。


 簡単に書くと、これが外郭に当たり、その物質を破壊してしまう点である。


 ご存じの通り、中性子には、名称通り、電荷がないため、磁場で閉じ込められない。


 トカマク方式は現状これを中性子を吸収して熱に変換するブランケットというものでコイルの内側を覆っている。


 だが、これも変換率が100%ではなく、かなり速い速度で劣化するものと思われる。(反応時の中性子は14MeVという超強力なものであるため。。。)


 勿論ヘリカルにも同様の中性子問題がある。


 が、あるプロジェクトでは液体金属をコイルの内面に流し、循環させることで中性子を受け止めた液体金属を回収し、新しい液体金属を流す方式も提案されているようである。


 だが、ヘリカルは、前述通り、構造が非常に複雑でそのような炉の製造が容易ではない。


 この製造難易度という点は、トカマクが先に実証されたという事実にも反映されている。


 ただトカマクから遅れてはいるが、すでにヘリカルも核融合反応の実証はされている。


 これら長短所を調べていると、何となく将来的にはトカマクよりもヘリカルに分がありそうな気がした。


 まだまだ先だと言っているのには、実現されたQ値はまだどれも低いもので、レーザー方式以外で1を越えるものがない。


 これには炉のサイズが影響しているようだ。


 ITERの炉は直径約30mであり、最近のニュースに出てくる各国の反応炉はその2分の1から3分の1程度である。


 さらにはQ値は単に発生した温度=エネルギーが入力を越えたかを示しているだけで、実際に電力として取り出す構造にはまだ至っていない。


 核融合はたぶん原子力と同じ方式で発電されると思われ、出力電力/発生熱量の効率は30~35%だとすると、Q値は約3を越える必要がある。


 これを考えると先に述べた15年先くらいではないかと思ったりする。


 そんな折りに、日本のヘリカルフュージョンという会社が日本の国家プロジェクトとして計画を発表した。


 ヘリカルフュージョンでは2030年に発電を計画しているとのこと。


 そして、方式は会社名にもある通り、ヘリカル方式である。


 ただまだ核融合反応温度の実証も何もされていないようで、すでに炉を建設中のITERは元より、小型ではありつつも反応温度を実現しているアメリカ、中国からはまだかなり遅れているように感じる。


 だが、2030年発電という目標。まあ、このくらい言わないとお金が集まらないのかもしれないが。(笑)


 このようなニュースを見る度に最近思うのは、日本はAI、ロボット、核融合という未来の三種の神器(私が言っているだけであるが。)への国家戦略、投資が遅れに遅れていると感じる。


 これらの技術が出来上がった際、大きく2つのストーリーが考えられる。


 1つは薔薇色の未来。


 人類全体にこの技術が供与され、何もせずとも良くなる世界である。


 エネルギーはほぼ無限にあるため、AIを搭載したアンドロイドが家事や産業を作り、人間はその享受に預かる世界。


 是非こうなってほしいものである。


 そして、もう1つの未来は今よりも激しい貧富の差が発生する世界。


 AIロボット、核融合の技術を開発した国が技術を独占し、さらには他の国には作らせない。技術開発を妨害する。


 そして、その技術、エネルギーを非開発国が買い続ける世界。


 今の世界の流れを見るとどちらに転がるか明白だろう。


 その状況で、投資が大幅に遅れている日本は本当に大丈夫だろうかと本気で心配になる。


 だが、日本、とりわけ、日本の技術者に希望を感じるところもある。


 これについては次の投稿に書きたいと思う。


あとがきは割愛させていただきます。

読んでいただき、ありがとうございました。


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