第62回 ”インテル、かなりキテる”について、本当にやばそうなのでちょっと書いてみた。(2)
今回が全3回中の2回目です。
お楽しみください。
●’25/11/16(日)2回目
[最近の半導体メーカーってどうなのよ?の巻]
前回書いた通り、主な製造元は台湾のTSMC、韓国のサムスン電子、そしてアメリカのインテルである。
3社とも2025年末に配線ルール2nmの製品を量産しようとしているのも前回書いた通りである。
3社がどのような開発状況であるかを書きたいと思う。
まずはTSMC。
関係者なら1日に1回は聞く名前。(笑)
ここが頭1つ、いや2つくらい抜けていると言っても良い。
すでに2nm製品を量産しており、2026年後半にはA16プロジェクト(1.6nm)の量産体制に入ると言われている。
このA16には、前回出した最近のGate All Around(GAA)半導体構造で、より高速かつ正確にON/OFF状態を切り替えられる技術が当然実装済み。
さらに裏面電源供給(バックサイド・パワーデリバリー・ネットワーク=BSPDN)という電力線をウエハの裏面に配置する技術も導入して品質向上と高密度化を図っている。
ごくごく簡単に言うと、普通の電化製品や装置などの配電盤でも、電気的なノイズや熱管理の観点から、電力線と信号線を分けて配置させるのだが、これを半導体にも適用する技術である。
言葉は簡単だが、それをやるには
”ウエハを数ミクロン単位まで薄く研磨する技術”
”薄いウエハをハンドリングする技術”
”薄いウエハを貼り合わせる接合技術”
が必要で、ここにも日本の先端技術が多く導入されている。
さらにTSMCは2028年量産に向けてA14(1.4nm)プロジェクトも走っている。
回路設計も順調と言う噂も聞こえてくる。
そりゃ中国が狙いたくなる気持ちも分からなくない。
存立危機事態が発生しないことを祈るばかりである。(笑)
話を戻そう。
次にサムスン。
ここはテスラ向けに2 nm製品を25年7月に、33年末までの8年間で165億ドルの製品受注をしている。
実際のテスラへの供給は2027年とのこと。
ただその次として1.4nmを計画しているが、量産は27年から29年に延期されている。
これは私の勝手な想像であるが、GAAをより進化させる裏面電源供給技術を導入して、難しさに直面しているような気もする。
最後にインテル。
題名に”かなりキテいる”と書いたが、実はインテルはかなり危なくなってきている。
一応2025年末には18Aプロジェクト(1.8nm)の量産が開始されるとの話であり、ここには先程紹介した裏面電源供給技術も投入されている。
が、歩留まりがあまり良くないらしい。
また大口顧客も獲得できていない。
この大口顧客獲得ができていない原因はいろいろな要因が重なっているような気がする。
まあ、結果論ではあるが、ここ最近でも顧客獲得ができないのは、やはり昨年頭のCPUクラッシュ問題が大きいように思う。
問題を隠し、まるでマザーボードが悪いような素振りまで見せた。
この態度がきっと顧客にまだ天狗でいるという印象を与えたような気がする。
それ以前の不振は明らかにPCでの成功がスマホへの乗り遅れを招いたためだろうが、それなりのチップを作っても注文が入らない原因は上記ではないかと思う。
インテルでは2027年量産予定の14Aプロジェクトも進んでいるが、このプロジェクトに対する大口顧客が獲得できない場合、先端ロジック半導体から撤退すると言っている。
「インテル、先端やめるってよ。」である。(笑)
冗談はさておき、私の予想ではここを撤退するとインテルは潰れてしまうような気がする。
ゲーム好きな人は分かっていただけると思うが、それはまるでハードを作らなくなったセガのようにである。
では、インテルがどうすべきか、つぶれた場合、何が起こるかを書きたいと思う。
次回、第3回目。
[インテル、どうすべきなのよ、とインテル潰れたらどうなるのよ?の巻]
です。
乞うご期待!!




