第62回 ”インテル、かなりキテる”について、本当にやばそうなのでちょっと書いてみた。(1)
今回から長いものを分割して上げていこうと思います。
今回は3回中の1回目です。
●’25/11/16(日)1回目
[最近の半導体ってどうなっているの?の巻]
最近、まさに猫も杓子もAI時代。
そのAIを支える技術。それは半導体に他ならない。
半導体には2種類ある。
ロジックを考えられる半導体とそうでない半導体だ。
と、最近ちょくちょく聞くフレーズっぽく言ってみたが、真面目に書くとロジック半導体とメモリ半導体である。
メモリ半導体は、PCの中でいわゆるRAMと呼ばれているメモリが主流である。
メモリ半導体の主な製造元は韓国のサムスン電子とLGハイニクス。
今のところ、ハイバンドメモリ(HBM)というGPUボードに使われるメモリにおいてLGハイニクスが優位で、それによりハイニクスが頭1つ出ている状況である。
そして、ロジック半導体。
主な製造元は台湾のTSMC、韓国のサムスン電子、そしてアメリカのインテルだ。
3社とも2025年末に配線ルール2nmの製品を量産しようとしており、まさに文字通り凌ぎを削っている。
ここで最近の半導体構造について、ちょいと説明する。
最も簡単な構造はPlaner型であるが、そこからFin型に変化した。
最近ではこのFin型からGateAllAround(ゲートオールアラウンド、GAA)型が主流となってきている。
構造図は以下の通り。画像はSAMCO社HPから抜粋した。
ご存じかもしれないが、半導体素子は通常電気を通さない。
ところが、Gate(オレンジ色)から電圧が掛けられた時だけ、半導体(青色)が電気を通す状態になる。それにより、ON/OFFを実現している。
デジタル機器はよく0と1で計算されていると言われているが、この0と1を半導体のOFFとONで表現しているわけである。
半導体構造図を見ていただくと分かると思うが、Planer型は上1方向からしか電圧を掛けられない。
電圧を掛けた瞬間、ミクロな視点で言うと、半導体材料のGateと接している部分は電気を通すようになるが、奥の方はまだ電気を通さない状態である。
そして、じわじわと下まで電気を通すようになり、ON状態となる。
これに対して、Fin型では上と左右の3方向から電圧を掛けられる。
これによりGateと接している部分が多くなり、半導体が速く電気を通す状態となる。つまり、反応速度が速くなるのである。
さらにGAA型では半導体に対して上下左右4方向から電圧を掛けられる。
これによって反応速度がさらに速くなる。
なぜ反応速度が速いものが必要か。
それは半導体チップのクロックアップが求められるからだ。
最近の最近CPUチップだと5GHz以上のクロックが出てきている。
そのチップの中では1秒間に5,000,000,000回(50億回)の動作が行われているのである。
動作する時間のことを「クロックサイクル」と言い、回路一周り計算を行うことを言う。
さらに性能を上げるためには反応速度だけではなく、素子の数自体を増やすことも必要である。
その点においてもGAA型は優秀で縦方向に半導体を並べられる。つまり高密度化が可能ということだ。
現状この方法以外で2nm配線ルールの半導体を作ることは難しいと言われており、半導体の製造メーカーは今や全てGAA型である。
日の丸半導体復活を唱えているラピダスもこの方法である。
ただ非常に構造が複雑であり、製造行程は超が付くほど複数化している。
製造工場にウエハを入れると製品として出てくるまで、約2ヶ月かかるほどである。
構造が何百層にもなるのため、例えば1層を3行程だとしても約1000行程となる。
ここに日本の高水準精度の装置や高純度材料が必要となる理由が隠れている。
例えば、この1000行程に99%純度の材料、99%で成功する装置を使うとする。
このチップが1000行程を経て製品として出てくる確率は0.99×0.99×0.99×0.99 …(1000回掛けたもの)=0.000043%となってしまう。
つまり100万個のチップを作ろうとしても1個も成功しない確率となるのである。
それで世界各国で日本の高純度、高精度の装置が求められている。
では次に、この半導体チップに関して各メーカーの開発状況について述べてみたいと思う。
次回、2回目。
[最近の半導体メーカーってどうなのよ?の巻]
です。
乞うご期待!!




