第53回 トランプの関税政策が目指すものについて、いろいろと調べたので、ちょっとグダグダ書いてみたら、グダグダになった。(笑)
まえがきは割愛させていただきます。
本文短いので、本文のみでお楽しみくださいませ。
(今回、ちょっと長いかも。)
●’25/5/11(日)
私事ではあるが、本業のソフト開発がやっと一段落した。
これで製造される製品は当然のことながら輸出され、今なら漏れなく関税が掛けられるのだろう。
そう。世界は今空前の関税ブーム。(ブームって言うなよ。(笑))
ボケ老人の戯言に某国国民が勘違いし、投票してしまったため、世界が大混乱の渦に叩き込まれている。
前回、イーロン・マスクのことを書いたが、今回はその関税オタクこと、トランプ爺さんを取り上げてみたいと思う。
最初に断っておくが、どちらも私の好きな部類の人ではない。(笑)
ただ、ちょっとだけ理解できるところもあるので、その点を書いてみたいと思う。
ご存じの通り、トランプ米国大統領は世界各国相手に関税をかけまくっている。日本も例に漏れず関税を被っている。
トランプが関税をかける目的は大きく2つ。
1つは製造をアメリカ国内で行うように仕向けたいということ。
そして、もう1つは中国の台頭抑制である。
両方とも良く聞く話である。
以前からアメリカは中国の台頭に目を光らせてきた。
中国というよりは赤(共産主義)勢力の台頭に関してである。
これを防ぐために結構前にアメリカが仕組んだこと。それは中国に自由市場主義を取り込ませることであった。
自由市場では政府や権力による取引が行われるのではなく、個人の自発的活動により取引が実施される。
これはまごうことなき資本主義の姿である。
これが広まることで共産主義思想が崩壊する。そうアメリカは考えたに違いない。
そして、香港、上海など湾岸の大都市で順調に自由市場の広がりが見え始めた。と同時に、反政府活動が広がり始めたのもご存じのことと思う。
ところが、そこから大きく状況が変化する。(中国好きの方は読まない方が良いかも。(笑))
政府が製造工場の土地、工場設立、製造装置の費用を肩代わりし始めたのだ。
その代わりに企業トップは共産党員となり、政府の意向を取り入れることとなる。(これはもっと前からやられてたようではあるが。)
さらにその党員が3名以上いる企業内では「党委」と呼ばれる委員会を作らなければならず、それが政府によって管理される。
他の国の企業であれば、通常、土地、工場、製造装置などのコストを製品に上乗せして、価格が決まる。これが当たり前の価格設定の仕方である。
だが、政府から費用をもらった中国企業は、原材料、インフラのみのコストで製品を作れるようになる。
結果、他の国の企業よりも、圧倒的に安く作ることができる。
そして、圧倒的に安い製品が出回るため、他の国の企業はついていけず、体力がなくなり、消滅する。
そうして、中国企業が参戦した一部の市場は破壊されてしまった。
中国国内はと言うと、一時、反政府勢力が強まったが、企業トップが政府に取り込まれたため、反政府勢力弾圧に政府が乗り出してもその企業で勤める人々は反対できなくなった。
また知財においてもあり得ないことが起こっている。
大手企業で作られ、そのまま輸出となると、その製造に使われた特許が問題となる。
製品が持つ特定の形状、機構は当然であるが、材料、プロセス全てが調査されるべき対象となる。
だが、中国では一部の製品は比較的大きい企業で作られるも、その企業の名を掲げず、個人輸出の形で製品を出していると聞く。
個人輸出となるとそこに使われる特許などは問われない。
そうやって非常に多くの特許侵害が取り締まれない形となっているらしい。
さらに個人輸出を関税の範囲外とする国もあり、アメリカはその1つであった。
それでトランプはこの個人輸出に関しても関税をかけるようにしたのだ。
中国は2010年あたりから特許強国として活動を強めている。出願数もうなぎ登りである。
だが、それにも関わらず、こういったすり抜けが横行している。
これについてもトランプ爺さんはキレているのだ。
私は仕事柄、結構特許を出している。
こういった技術をないがしろにする行為には、私もありえないと思っており、この点はトランプの意見に賛同している。(他は全然ですが。)
こういう事情もあり、中国の弱体化を狙ったアメリカの対策は、まんまと中国に利用され、逆に中国を強くしてしまった。
今のままでは勢力の逆転が起こってしまうと考え、トランプは自由市場主義を壊すような、あんなムチャクチャをやっているのだ。
関税に対して、中国は平気な顔をしつつ、国内では5000万人とも言われる失業者を生んでいる。(明確な数字は出てきていないので、ニュースなどで言われている数字を書いている。)
不動産バブル崩壊もその一役を買っているが、トランプ関税に関して、実は中国にはかなりの痛手のはずである。
というのも、中国の輸出額は2023年データで3兆6000億ドル。
そのうち14.6%、5600億ドルがアメリカ向けであり、アメリカは中国の輸出相手国1位である。
それに対して、アメリカの輸出額は2023年データで2兆500億ドル。
そのうち7%、1400億ドルが中国向けである。中国はアメリカの輸出相手国としては3位。
それぞれの輸出品に関税をかけられた場合、圧倒的に中国の方が影響が大きい。これは間違いない。
中国からはアメリカへの迂回輸出があるとはいえ、それも調査したところ、東南アジア圏からアメリカへの迂回輸出額は各国合わせて約1000億ドル。(ホワイトハウス報告より。)
カナダからアメリカへの輸出は5500億カナダドル。その中のアジア圏と同じ割合が迂回輸出とするなら15%である約800億カナダドル=約500億ドル。
メキシコからアメリカへの輸出4900億ドルの15%とすると約800億ドル。
中国からの直接輸出額と比べるとやはり迂回輸出の額には限界がありそうである。(アメリカ政府も迂回輸出は計算してて、思ったよりも小さいとのこと。)
この点をアメリカ側に立って見ると、トランプは本当にヘタを打ったなと思う。
中国の台頭を阻止するという点においては、上記の自由市場主義への行為を取り上げ、中国だけに集中して関税対応していれば、もしかすると他の国の賛同も得られ、うまく行ったかもしれない。
周囲にイエスマンばかり置いたせいで、そんなことも見えない状況になってしまったのだろうか。(私のような素人ではなく、もっと素晴らしい経済学専門家が見るとそんなことはないのだろうか。)
ただ、皆さんも同意見と思うが、アメリカ国内での生産は賃金の面から見てもちょっと難しいと思う。(笑)
あと、これは私個人的な意見だが、今までの共産主義による資本主義の前提の破壊という行為を見ていて、シンプルな競争を越えていることには一種の怒りを感じてしまう。
ただ、皮肉なのは社会の平等性を説いた共産主義(それは社会主義か?)がアメリカと同程度の貧富の差を生んでいる事実である。その事実を受け、あの国でクーデターが起こりうるだろうか。いや、現状見ている限りでは起こらないのだろう。
その前にアメリカが世界各国から総スカンを食らっておかしくなりそうである。
関税対応でいうと、イギリスが関税緩和に成功したというニュースもあったが、実際の貿易収支はアメリカはイギリスに対して黒字である。
アメリカはそのイギリスに対して、基本の10%関税すらも撤廃していない。
相互関税というなら逆にイギリスの製品には関税0%が筋だろう。
メディアはイギリスが成功したように書いているが、全くイギリスが損しかしてないと感じるのは私だけだろうか。
また、今アメリカではリストラ、レイオフの嵐が吹き荒れている。
政府関係の20数万人を入れなくとも、IT関係Google、Intel、Microsoft、Meta、Zoomなどで数万人が解雇されている。
また様々な研究所でも解雇が発生している。これはトランプが研究、教育に対する費用の削減まで行おうとしているためである。
これら首を切られた人々がどこに向かうか。少なからず中国に行く有能な人材がいる。これは大きくアメリカの国力を落とす結果となるだろう。
なにはともあれ、以前も少し書いたが、もう始まりつつあるが、アメリカでとんでもないインフレが起こり、トランプを支持した貧困層が気づき、きっと中間選挙までも持たず退任することになるのではないかと思っているが、皆さんはどうお考えであろうか。
なんかいろいろグダグダと書いてしまったような気がする。
こんな状況だが、世界がうまくまとまって、近い未来にこのコラムを読んで、なんかくだらない心配しんな、コイツ。と笑ってもらえる日が来てくれることを願っている。
次は、なんかもうちょっと希望の持てる、面白いネタを書こうと思う。(笑)
OpenAIのアルトマンが言った、今のAIからAGIは生まれないという内容、AIとAGIの違いなんかはどうだろうか?
AIは人を滅ぼすのか?なんか前も書いたような。。。ちょっと考えます。(笑)
読んでいただき、ありがとうございました。
ちょっとだけ「資本主義とは?」のあとがきです。
もしかして、経済詳しい人がいて、これ違うんじゃない?というのがあれば是非ご指摘くださいませ。
<あとがき>
すでにご存じかもだが、資本主義の前提というのは、労働者が自分の持つ労働力を商品として雇用主に提供し、雇用主はその労働力を持って、使った労働力より付加価値の高い商品を作り、提供することで資本を増やすというサイクルを行うことである。いわずもがな、その労働力の対価が給料である。これを全て個人または会社が行うという前提もある。
共産主義が行った費用の肩代わりはどこからか発生したはずの労働力がそのサイクルに取り込まれていないわけである。それは正直、資本主義にすると暴力に近いのではないかと感じる。どこかで煮え湯を飲まされている人がいて、実はそれがその当人は煮え湯と感じていないように教育されているのかもしれない。もしくは圧力で押さえ込まれているか。
それが私にとっては恐ろしいなと感じる。