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かってきままに  作者: 友枝 哲
51/60

第51回 光に質量がないのにエネルギーがあるという不思議に触れた時の感動を思い出して、ちょっと熱く語ってみた。

まえがきは割愛させていただきます。

本編が短いので、本編のみでお楽しみください。


●’25/3/23(日)

 冬の寒さが緩んできて、日の光を浴びるとその暖かさを改めて感じる今日この頃。

 ふと昔を思い出した。大学の時に光の不思議に妙な興奮を覚えたことをだ。

 何が不思議かというと、皆さんもご存じの通り、光、つまり光子=フォトンという素粒子に質量がない、なのにエネルギーを持っているという点である。

 こういう物理的なことを聞くとアレルギーが出る人もいるかもだが、一度だけ読んでみてほしい。本当に面白いと感じると思う。

 最初の1文の通り、皆さんも日光を浴びて暖かさを感じたことがあると思う。これは光のエネルギーを受けて暖められているのを”暖かい”と感じているのである。

 でも一度は見たり聞いたりしたことがあると思うエネルギーの計算式を考えてみてほしい。


挿絵(By みてみん)


である。(前も書いたけど、画像がデカいな。)

 あれ?光の質量が0。掛け算の中に0があれば答えは0。ということはEは0となる。

 もう1つ有名な式で考えてみる。アインシュタイン博士の美しい式。


挿絵(By みてみん)


 あれ?これも0になる。(これもデカいな。)

 我々が教わった物理では光はエネルギーが0ではないのか?と思ってしまう。

 そこのカラクリは質量、重さの定義にある。

 質量というのは実はエネルギーによって変わる。高いエネルギーを持つものは重くなるのだ。

 上に書いている2つ目の式で求まる。

 ヨーロッパの粒子加速器の中で加速された陽子は光の速度の99.9999%ほどになっているが、この時の陽子は止まっている時の陽子に比べて約50倍ほどの重さとなっている。

 これを人が体感した場合、50Gである。

 孫悟空なら普通に耐えられると思うが、我々が体験するとたぶんヤムチャのようにまともに動けないだろう。

 それどころか普通の人はたぶん自重に潰されてしまう。それはさておき。。。

 上に書いたように、物質はエネルギーを持っていると質量が変わってしまうため、物質の質量を正確に測定しようとすると、物質を止めて測定しなければならないのだ。

 じゃあ、光を止めてみよう。

 止めるというか、光の進行方向と同じ方向に徐々に加速してみる。

 光の速度は約30万km/s。正確には真空中で29万9792.458km/s。

 それではまずロケットに乗って移動する。

 宇宙第一速度約7.9km/s。地表面でこの速度を出すと、ずっとグルグル地球の周りを回っていられる速度である。

 いや、もうちょっと加速しよう。

 宇宙第二速度約11.2 km/s。地球の重力から逃れられる速度。

 よし!光の速度を測定してみよう!!

 測定結果。。。。29万9792.458km/s。。。。

 あれ?なんか変わってないような。。

 いっそのこと光の速度の50%まで加速してみよう。

 速度14万9896.229km/s。小難しくなるので、約15万km/s。

 よし!光の速度を測定してみよう!!

 測定結果。。。。29万9792.458km/s。。。。

 あれ?

 という茶番はこのくらいにしておいて。。。

 ご存じの方も多いと思うが、実は光はどんな速度から見ても29万9792.458km/s(真空中)なのだ。

 つまり止めることができないのである。

 ということは質量を正確に測れない。

 カラクリを言ってしまうと、実は光、フォトンはアインシュタインの相対性理論やニュートンの力学などの世界から逸脱した存在なのである。(本当の物理屋さんが読んだら怒りそうな書き方ではあるが。)

 じゃあ、なんで光のエネルギーがあるって分かっているの?となる。

 きっとアインシュタインも超不思議だったのだろう。そこでアインシュタイン博士は考えた。光のエネルギーの測定方法を。

 アインシュタイン博士はある物理現象に目をつけた。

 光電効果という現象。ある金属に紫外線を当てると火花が散る現象である。

 火花が散るというのは電子が金属から飛び出しているという現象である。

 いろんなデータを取得したアインシュタイン博士。

 光を当てる強さ。光を当てる時間。光の持つ周波数。飛び出した電子の量。などなど。

 そこからアインシュタイン博士は突き止めたのである。

 電子を飛び出させるためには、周波数だけが効くということ。

 つまり、金属にどんなに強い光を当てても、どれだけ長い時間照射しても電子は飛び出さないのである。だが、ある特定の周波数以上の光を当てると飛び出すのだ。

 それをまとめた式が以下の式。


挿絵(By みてみん)


 hというのはプランク定数という数字で、6.29 x 10^(-34) [J・s]。

 Jという単位はジュールと読み、1グラムの水を1℃上げるためには1[cal] = 4.2[J]必要。なので、光で水を暖めるのにはものすごい数の光子が必要なのである。

 1GHzの周波数だとしても、10^25個の光子が必要。つまり光子が10じょ個(漢字がない。。。兆、京、垓の次。)も必要である。

 しかし、地球はガンガン太陽によって暖められている。それどころでないほどの光子が太陽から降り注いでいるから驚きである。

 で、何が感動するかというと、いろいろ計算していくと、光というものが明らかに我々の想像を超えたような存在であるにも関わらず、それを追求して、


 あー空間が歪んでるのね


 とか、


 質量ないけど、ちょっとエネルギー測ってみるか


 とか考えて、さらにその答えまで出してしまっている点である。

 それを思うと感動すらしてしまう。

 理論を紐解いていくと、何か新しい扉が開かれたような感覚になる。今まで見てたものが違って見える感覚。

 それをこの相対性理論と光電効果にも感じ、感動したのである。

 アインシュタイン博士もきっとこれが解けた時、想像を絶するほどの快感を感じたのではないかと思う。

 我々も何か困ったことがあって、それが解決した時、おー!ってなるが、たぶんそれらの比ではなかっただろう。今風に言うと、脳汁ドバドバ状態。脳汁で溺れてしまうほどだったのではないだろうか。

 最後にちょっとだけ豆知識。

 実は太陽の中心あたりで発生した核融合によって産み出された光子は、プラズマ状態の太陽の中を反射しまくって出てくる。その時間は実に17万年。

 太陽から地球までの距離で光が走る時間は約8分19秒。17万年からするとほぼ誤差。

 つまり我々が見ている光の一部は17万年も前に核融合によって生成された光子なのである。

 17万年って紀元前とかそんなどころではない。

 ちなみに太陽の中で反射しつつ、閉じ込められている光子のエネルギーを質量に換算すると、太陽の質量の約0.000001%であり、月の1/3程度となるという。

 上記の極々小さいエネルギーの集合が月の1/3になるとか、本当にあり得ない。。。

 宇宙は知れば知るほど奥が深い。

 こんなことを考えていると、無関心になるとかの悪い意味ではなく、空爆がどうこうとか、関税がどうこうとか、どうでもよくなる。

 といいながら、JFK暗殺の犯人は気になっているが。(笑)



あとがきは割愛させていただきます。

読んでいただき、誠にありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
 今日も興味深い内容をありがとうございます。  光、身近な物ですが、考えてみると不思議ですね。  波動としての性質を併せ持つのもまた萌えます。  タングステンランプの高温から粒子として発生させた光…
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