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かってきままに  作者: 友枝 哲
45/60

第45回 世界の単位?プランク長、プランク時間を通して、物理の面白さについて書いてみた。

実はこのエッセイは8/18に書いたものです。

今新しいSFを書いているのですが、そちらがあまり軌道に乗らなかったもので、

1ヶ月ほど潜ってました。

ようやく最終シーンまで書いたので、また戻ってきました。

これからもちょこちょこ思い立ったら更新いたします。

よろしくお願いいたします。


●’24/9/24(火)( 実は書いたのは’24/8/18(日)です。 )

 我々は日々生活する上で、便宜上、決められたスケールで物を測ったり、その結果を見て、その価値を判断している。

 例えば誤審ピック。もとい、オリンピック。(笑)

 100mを何秒で走り抜けるか?世界中の人が注目する。

 高さ5mの壁を制限時間4、5分以内に登りきるスポーツクライミング日本女子選手の身長は何cmだっただろうか。

 柔道の団体決勝でデジタルルーレットによって選ばれた階級は何kg級だっただろうか。

(すみません。ネタに使ってしまって。。。)

 我々は意識せずとも、知らず知らずのうちに、スケールを使って判断している。

 そのスケールであるが、有名なところで言うと、MKS単位系だろう。

 M、K、Sはそれぞれ

 長さ : m、メートル

 質量 : kg、キログラム

 時間 : s、秒

 だ。これは実際には国際単位系=SI単位系から来ている。

 理系の方であればこれも聞いたことがあると思う。それぞれの単位は、

 長さ : m、メートル

 質量 : kg、キログラム

 時間 : s、秒

 電流 : A、アンペア

 温度 : K、ケルビン

 圧力 : Pa、パスカル

 物理量 : mol、モル

 光量 : cd、カンデラ

 などである。

 これら単位には厳密に定義がある。

 例えばメートルであるが、これは有名なのでご存じの方も多いと思うが、地球の赤道から北極点までの1000万分の1である。

 では、秒はどうか。秒の定義は昔は地球の自転=1日を86400秒としていたが、季節変動、経度変動があるため、1967年からはセシウムという原子の固有共鳴マイクロ波の周期から定義されている。このマイクロ波の9,192,631,770周期が1秒である。

 しかし、これらの単位の多くは我々地球人が勝手に作った単位だ。ゆえに、例えば火星人にこれが1mだよと言ってもそれは納得してもらえないかもしれない。

 それではどんな単位であれば納得してもらえるのか?あらゆる条件において、全てを同じ単位で示すことができるものはないのか?

 その昔、本気でこれを考えた物理学者がいる。それがマックス・プランク博士である。

 プランク定数などは有名で高校物理にも出てくるので、ご存じの方も多いだろう。

 マックス・プランク博士は単位を考える上で中途半端な端数が出ることがない単位を考え抜いて、最終的に出来上がったのが、プランク長(プランクスケールとも呼ばれる)、プランク時間であった。

 プランク長というのは、陽子と陽子をブラックホールができるほどの密度まで超接近させた時の距離である。ただ普通に接近させただけではそこまで接近させることはできない。

 そこで加速器を使って陽子をほぼ光速まで加速させて、ぶつけることでこれを可能としている。

 実際に欧州ジュネーブにあるCERNという加速器でそれを実証している。

 その接近した距離たるや、1.1616×10^-35mである。(10^-35は10のマイナス35乗)

 ちなみに、水素原子のサイズは約10^-10m。1Å(オングストローム)とも呼ばれる。

 この水素原子サイズの10分の1したものを、さらに10分の1したものを、さらに。。。と25回繰り返したサイズである。もう訳の分からないくらい小さいサイズ。

 ここまで接近させると超高密度になり、光すら出てこられない事象の地平面(Event Horizon)という状態になり、観測不可能となるのである。

 量子力学の世界では観測不可能=存在しないということになり、これ以上小さいサイズはあり得ないと考えられている。

 つまり、このサイズ1.1616×10^-35mが最小単位とマックス・プランク博士は考えた。世界的にもこれは理解が得られており、この長さはプランク長、プランクスケールと呼ばれている。

 このスケールの素晴らしい点はやはり宇宙のどこに行っても成り立つ点にある。もちろんプランク長という名前ではないだろうが。

 また、これを使ったプランク時間というものがある。

 プランク長を使って時間を求めたいと考えた時、都合の良いものがある。皆さんの中にもピンと来られた方もいらっしゃるだろう。いつも同じ速度を保っているもの。そう、光である。

 相対性理論で明らかになっているが、光の速度は常にどのような状況でも一定である。

 それを利用して、プランク長を光が通過する時間、これをプランク時間としたのである。

 我々の生活で使う秒に置き換えると、1プランク時間=5.391×10^-44秒である。

 確かに最小単位の距離をこの世界最高速の光が通り過ぎる時間が最小単位時間。とても分かりやすい。

 ただ、このプランク長、プランク時間の話を聞くと、少し奇妙な気持ちになりはしないだろうか?

 距離も、時間も、連続したものとして認識しているのに、実は最小単位があり、離散的な振る舞いをしているというこの事実。まるで世界がアナログなものではなく、デジタルなものであるかのような感覚。

 実はこの最小単位を持って、空間も時間も、離散的な粒子的な振る舞いをしているという物理の理論がある。それがループ量子重力理論である。

 物理とか、数学とか、聞けば聞くほど、世界の恐ろしいほどの深さを思い知らされる。

 この深さを保ったまま、130億年以上ずっと、同じように動き続けているなんて、なんと摩訶不思議なことか。

 そんなことを考えていると、何かがそうさせているのか。これを作ったものがいるのか。なんて思ったりもするのだ。

 超弦理論やループ量子重力理論など、物理の超絶理論までいくと正直全くついていけない程の数学になるので、私は詳細には分かっていない。

 だが、そんな理論で世界が作られていることを知る、感じられるというのが、本当に一歩一歩真理に近づいていく感覚がして、そこが物理、数学の面白いところだと感じている。

 で、最後に宣伝ですが、このプランク長、プランク時間を用いて、仮想空間に宇宙を作るのが、実は私の書いた『ガロワのソラの下で』という小説です。

 結局それが言いたかっただけでは?と聞こえてきそうですが、まあ、もうすぐ削除した上記作品を再アップする予定もあって、そう言うことです。はい。(笑)


読んでいただき、誠にありがとうございました。

10月から『ガロワのソラの下で』を再度1話ずつアップいたします。

(ちょこっとだけ内容を変えておりますが、大きくは変えておりません。)

もし良ければ、また読んでやってください。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  今回も興味深いエッセイありがとうございます。  何をするにも基準になる単位の話ですね。  今や1メートルも原器じゃなくて、光速が基準になっているので、究極的にはプランク時間やプランク長…
[一言] ちょっと読み切るのがキツいかな 言わんとする事は分かる気がしますが ちと一般人にはキツい 。・゜・(ノ∀`)・゜・。
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