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かってきままに  作者: 友枝 哲
37/60

第37回 AIは発明者に成り得るか?について、エンジニアとして書いてみた

まえがきは割愛させていただきます。

本編が短いので、本編のみでお楽しみください。


● ’24/4/21(日)

 久しぶりに休みと思ったら、気持ちが緩んだのか、朝から頭痛が酷い。偏頭痛、緊張型頭痛というやつで、吐き気もする。もうこうなると何もできない。明日を考えると無理もできないので、薬を飲んでゆっくりしている。

 子供の頃からずっとバファリン派だったが、30歳くらいの時に、あまり効かなくなり、最近ではナロンエース派だ。

 薬も色々開発が進んでいるので、またバファリンを飲めばきっと良く効くのだろう。(海外の薬はとてもキツく、飲むとむしろそのせいで1日怠くなったりするため、日本から持ち帰っている。)

 私もエンジニアとして、いろんな開発に携わっており、特許もすでに100件以上出願している。

 で、今日、ニュースを見ていて、気になる内容があった。

 題名にも書いているが、AIが発明者に成り得るか?である。正確なニュースの題名は以下だ。

「『AIが発明者』企業、団体の8割が懸念、、、特許庁調査、現実性が検証されていない技術増える」

 というものだ。

 少しだけ詳細には、特許庁の有識者委員会による調査で、AIを発明者として認めるかの是非を聞いたところ、回答した企業、団体の8割が「問題をもたらす恐れがある」との懸念を示した。という内容である。

 特許庁の有識者委員会が本当にこういった質問をしたのかはさておき、本当にしたのだとすると、企業などは当然問題をもたらす恐れがあると答えるだろう。当たり前だが、まだAIは人として認められていない。発明者として認められるわけがない。

 質問がこうなら、ちょっと悩む。

「AIが導きだした方法を誰の特許とするか?」

 例えば、Chat-GPTに質問して、ズバリの答えが返ってきて開発した内容があるとする。これは誰の特許になるのだろうか?

 質問が非常に詳細で、もうこう返すしかないでしょ!?という質問であれば、それは質問者な気もする。

 だが、そんなに詳細に質問するならAIは使わない。すでに頭にアイディアがあるなら、試験して、結果を確かめるだろう。大量のデータから決め手となる特徴量が選び出せず、全然見当がつかないからAIに頼るはずだ。そこで、結構素晴らしい方法が見つかった場合、これは本当に質問者が開発した内容と言えるか?

 そこで、少し調べてみた。

 実は、特許法には発明者の明確な定義が無いようである。学説としては『発明者とは当該発明における(自然法則を利用した)技術的思想の創作行為に加担した者』となっている。

 ただし、以下の内容も(学説として)ある。

 ・部下の研究者に対して一般的管理をした者

 ・発明の過程において、単に一般的な助言、指導を与えた者

 ・課題の提供、または課題解決の方向づけを行った者

 これらは(共同)発明者ではない。

 とのことである。つまり、Chat-GPTに質問を投げ掛けただけの開発者は発明者ではないのではないか、と思う。

 ただし、実際の経験から言うと、一般的に使うAIはまだそんなに明確に答えを返したりしない。というのも、私もChat-GPTに聞いてみたことがある。ただ、今の開発内容だと情報漏洩の問題が起こるので、以前行っていた燃料電池関係で聞いてみた。だが、すでにある程度答えがあるものでもまともに返ってこない。

 つまり、よほど特化したAIを作らない限り、よほど良い教師データ、学習データを入れてやらない限り、うまく開発に結び付いてくれないのだと私は考える。そこまで的確に特化したAIを作ろうとする場合、例えば他社と開発するなら、すでに共同開発契約などが結ばれており、うるさい法務(法務関係の方いたらすみません。(汗))が重箱の隅を突っついて出来上がった契約書には細かく特許に関しても書いているだろうと思う。自社でAI開発したなら、それをどう使おうが勝手である。自社内でそれは会社のものとするのか、質問者のものとするのか、勝手に決めれば良い。そう考えると、もしかすると懸念を示していない2割はこういう考えで、「懸念なし」なのかもしれない。

 むしろ私の懸念は、特許庁がこういった懸念があるにも関わらず、特許法を放置している方が問題なのではないかと思う。今やAIを開発に取り込もうとしない大企業はないだろう。それなのに、そこにメスを入れず、日本が遅れてしまうのではないかと勝手に心配している。AI開発自体に関しては何となく少し日本が遅れがちに見える。もちろんAI関係で本当に大きな問題になりそうなものは騒ぐべきだが、特許庁有識者委員会が本当にこんな質問したのであれば、そっちの方が問題では?と思ったりもする。

 特許申請が増加するのは素晴らしいことである。もちろんAIが導入されれば、検証が十分行われていない特許が増えるのだろう。だが、海外の特許を見ると分かるが、絶対検証していないような特許がガンガン出ている。そして明細(実験などの詳細内容を書く部分)に恐ろしいほどいろんな条件が書かれており、ある時、その条件が請求項(実際に権利が発生する部分)に付け加えられ、強力な特許として浮上してくるのである。いわゆるサブマリン特許というやつだ。海外はこんなのばかりである。

 海外で驚くのは、優秀な特許事務所はそういったことを考えて、明細にこれでもかと付け加えてくる。日本でも特許事務所に依頼したことはある。が、私の見た感じではそれの比ではない。

 そして、申請が増えて困るのは特許庁である。特許審査がパンパンなのはずいぶん以前から言われていた。なのになぜかずっと審査員の増員もせず、2024年からは逆に減少させようとしている。資源の乏しい日本は技術で生きていくしかないのに、それを軽視しているのではないかと思わざるを得ない。

  ということで、結論としては、AI使ってでも、何ででもバンバン開発していこうよ!かなり細かく指示しないとAIはちゃんと返さないんだから質問者の名前で出せばいいじゃん!である。何とも適当ですみません。(笑)が、海外はこんな感じでバンバン出しているので、日本もそうすべきと思う次第である。(すでにやってることとは思いますが。)

 何だかんだ言って、海外にいても私はやっぱり日本が心配で、日本が好きなんだなとつくづく感じる今日この頃である。

 そんな心配をしつつ、自分のプロジェクトの特許も書かないとなとまた心配になり、再び頭が痛くなってきた気がする。次、日本に帰った時は、バファリンも買っておこうと思う。(笑)

 読んでいただけた方で、もし良く効く頭痛薬ご存じなら教えていただけるとありがたいです。


あとがきは割愛させていただきます。

読んでいただき、ありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  今回も興味深いエッセイをありがとうございます。  AIに発明をさせるというのは現時点では難しいのかもしれませんが、特許を書かせることはできるんじゃないかなーとか思ったりします。  目的…
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