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かってきままに  作者: 友枝 哲
27/60

第27回 海外在住エンジニアが日本の素晴らしい文化について、語ってみた。

まえがきは割愛させていただきます。

本編が短いので、本編のみでお楽しみください。


●'24/1/6(土)

 年末から年始にかけて、少し長い有給休暇を取り、日本に帰国した。

 今回、帰って感じたこと。それは日本の接客態度がとんでもなく、あり得ないほど、丁寧であることであった。

(日本の食べ物がおいしいことは除いてだが。)

 何があったのか、お伝えしたいと思う。

 日本の家に帰り、キッチンの水を出した時のこと。

 蛇口から水が出るものの、キッチンの流しの下からもジョボジョボと音がした。

 あれ?おかしいなと思い、下の収納を開けてみた。

 すると、その収納が水浸しになっており、さらにその下の床までビショビショになっていた。

「なんじゃこりゃ!!」

 最初は驚いたが、まあすでに築10年以上の家なので、経年劣化だろうと思い、立ててもらったハウスメーカーに連絡した。

 私「すみません。○○○に家を立てた□□□というものですが。。。」

 ハウスメーカーの方「いかがいたしましたでしょうか。」

 私「実は、キッチンで水を出そうとしたんですが、下で水が漏れてるみたいなんです。」

 ハウスメーカーの方「水漏れですか。それは大変ご不便をおかけしております。申し訳ございません。すぐに業者に連絡をしますので、もし可能でしたら、詳細など分かりましたら、教えていただけますでしょうか。」

 私「はい。水を出そうとしたのですが、蛇口から水がある程度出るんですが、何か流しの下で水漏れの音がするんです。もしかすると排水管から漏れているのかもしれません。」

 ハウスメーカーの方「かしこまりました。業者に連絡して、できるだけ早い日程を調整いたします。業者から連絡を差し上げることもあるかと思いますので、□□□様のご連絡先を業者にお伝えしてもよろしいでしょうか。」

 私「はい。全然大丈夫です。よろしくお願いします。」

 ハウスメーカーの方「かしこまりました。ご不便をおかけして、申し訳ございません。それではすぐに手配いたしますので、しばらくお待ちください。電話担当いたしました△△△と申します。それでは、失礼いたします。」

 当然のように向こうからは切らないので、こちらから電話を切った。

 ものの20〜30分くらいで業者から連絡が入り、私が伝えた内容がバッチリ伝わっていた。

 昼くらいにこの連絡を行い、結局、業者の方には午後7時くらいに訪問していただき、部品の説明もしっかりしていただき、修理がその日中に完了した。

 しかも、実は私が伝えていた排水管が問題ではなく、逆の給水管側だった。だが、ちゃんと周辺の部品を一通り持ってきていただいており、すっかり直ったのだった。

 どうだろうか?

 皆さんの感覚として、この対応は当たり前であろうか。

 私は海外に移住して5年以上が経つ。この数年はコロナ禍もあり、ほとんど日本に帰国できずにいた。そのため、もう今住んでいる国のサービスに慣れてしまっており、それが当たり前になっていた。そこでこれを体験したのだ。

 はっきり言おう。もうあり得ないくらい”神対応”なのだ。

 逆にこれに慣れるとダメだよと言いたくなるくらいだ。(笑)

 では、どのくらい違うか、説明したいと思う。

 私は、今住んでいる国でも同じようにキッチンの排気システムが故障し、交換を依頼したことがあった。

 まず家の管理会社に電話しても、なかなか出ない。結局繋がったのは、私が忙しかったというのもあったが、次の日だった。忙しかったと言いながらも、その日には10回くらいは電話を掛けていた。それでもこの状態だ。

 そして、次にこの管理会社はこう言った。

「排気システムのメーカーを見て、そこにかけてください。」

「え?おたくが管理会社でないの?」

「家毎に使っている部品が違うので、そのメーカーに聞いてもらわないと分かりません。」

「。。。分かりました。っていうか、あんた誰?」

 一応名前を聞いたが、結局自分でメーカーに電話。

「設置業者が○○○なので、そこに電話してください。」

「。。。分かりました。っていうか、あんた誰?」

 結局、たらい回しされた後、自分で設置業者に電話して、状況を説明した。

 その時にはすでに故障から3日経っていた。

 私も一応エンジニアなので、自分でも故障箇所見て、排気ダクトの開閉バルブが壊れていることを突き止めていた。それも説明。

「訪問して、見たいと思いますが、最短でも3日後です。」

「。。。分かりました。」

 で、業者が来て、排気システムを見た。

「あー、排気ONにした時のバルブが壊れてますね。交換が必要ですが、部品が今手元になくて、取り寄せなので、1週間後ですね。」

「。。。分かりました。」

 いや、話したよね!!というか、在庫持ってないの?

 そして、結局、ほぼ二週間後に修理が完了した。

 本当にこんな感じである。

 まあ、本当に仕事が詰まっているのかもしれないが、それにしても全く遅れることに罪悪感を感じてない。そして、情報伝達がされていない。さらには、対応時間も全て定時内であり、たぶんそれ以外の時間には対応していない。

 これが海外の普通である。

 最初こそ腹立っていたが、最近ではもう慣れっこだ。

 加えて、日本よりも良く壊れる。だから業者が忙しいのかもしれない。

 いや、本当に日本の”おもてなし”文化や”察し”と”思いやり”の文化には感動すら覚えた。これはなくしてはいけないと感じた。

 ただ、海外の人からすると異常と映るのかもしれない。

 例えば今回、水漏れでハウスメーカーの方が謝っていた。築年数から考えて経年劣化なのは明確で、ハウスメーカーにはほぼ非はない。

 だが、ほんの僅かでも悪いところがあれば謝るべきという姿勢がそうさせるのだろう。

 ご存じだと思うが、これが外国だと、この謝罪は非を認めたと受け取られ、訴訟で負けてしまう恐れがあり、メーカーは絶対に謝らない。

 であるが、私は思うのだ。この姿勢こそ、海外が見習うべきだと。

 メーカーの横柄な態度は顧客をイラつかせ、余計な争いを生む原因となる。実際にこっちのメーカーの態度に腹を立てたこともあった。これをなくす方法として、日本の接客態度は非常に優れていると思う。

 だが、逆に顧客としても節度ある態度が必要で、そこに顧客がふてぶてしく出るとそれはそれで成り立たなくなる。その点も大部分の日本人は双方の節度ある態度が出来る民族なのだと強く感じた。(一部そうでない客もいるようだが。)

 言葉にもそれは現れている。

 尊敬語。実は英語にもそれなりの表現がある。

 だが、謙譲語。これは英語にはない。(と思う。私が知らないだけなのかもしれないが。)

 中国語には謙譲語があるにはあるが、最近では使わないらしい。使うとむしろ何か裏があるのではと怪しまれるらしい。韓国語には尊敬語はあるが、謙譲語はないらしい。

 この独特の文化こそがユネスコ世界遺産に登録すべき内容ではないかと本気で思った。

 私の周囲には(私がいるからかも知れないが、)親日の人が多く、日本は愛すべき国だと言ってくれる。

 これは完全に年寄りの愚痴だが、この愛すべき国を維持するために、この文化を守りつつ、ちゃんと給料を上げ、借金まみれの財政を建て直し、若い人がもっと政界に出て、女性の雇用を確立していかなければなと、そんなことを本気で考えないといけないなと思った今日この頃であった。

(ごめんなさい。真面目な締め方で。(笑))


あとがきは割愛させていただきます。

本編が短いので、本編のみでお楽しみください。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  興味深いエッセイありがとうございます。  私は海外で暮らしたことは無いので感覚的にはピンときませんが、やっぱり日本のサービス業はレベル高いんですね。  誇らしい話だとは思います。 [気…
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