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かってきままに  作者: 友枝 哲
23/60

第23回 小型原子炉SMRに見る資本主義内技術開発の危うさについて語ってみた。

まえがきは割愛させていただきます。

本編が短いので、本編のみでお楽しみください。


●’23/12/9(土)

 私事だが、最近仕事が非常に忙しく、あまりこちら(小説書き)に手を付けられていない。

 うーん。新作(”ガロワのソラの下で”の続き)の加筆がなかなか進んでいない。困ったものである。

 だが、仕事は疎かにできないので、仕方ないと思い、じっと耐える時だと歯をくいしばっているところだ。

 そう、認めてもらえなくなって仕事がなくなると食べていけなくなるのだ。

 と、こんな私事はどうでも良いのだが。。。(笑)

 話は変わるが、最近、加熱していた小型原子炉SMRが急激に失速してきている。

 ご存じかもしれないが、小型原子炉SMRというのは、言葉通り、原子力発電の小型版で約10万キロワット程度のものである。一般的な原子力発電は一基あたり100万キロワットと言われているので、約10分の1のスケールだ。

 小型であるため、自己冷却が速い。つまり冷却システムが簡素化できるメリットがある。

 また、反応炉の規模が小さいので、メルトダウンの可能性が極めて低い。(と言っている。)

 さらに、複数台作ることで部品を規格化できるので、量産メリットが出る。

 これらのメリットから一般火力発電よりも安価に供給できるとされていた。

 そして、これらをいち早く推進していたのが、アメリカのニュースケール社だった。

 アメリカの国立研究所と一緒に開発を進めており、補助金を受け、2029年には6機を稼働させる予定であった。

 だが、最近それが頓挫したと話が挙がっていたが、どうやら本当に辞めるらしい。

 理由は”インフレ”だ。

 部品コストが上がり、設備の費用がかさみ、企画当初の発電単価が1キロワット辺り約6セント(約8円)だったものが約9セント(約13円)の1.5倍になったとのことだった。

 同社は、”技術はすでに商用段階だ”と言っている。

 だが、上記の理由で辞めたのだ。

 この企業にはもうすでに日本の企業も含め、多くのお金が投入されている。

 日本の原発事故により、原発は危険という逆風に曝され、それでもCO2削減とメルトダウン回避を謳い文句に一発逆転を狙った案であったのは確かだろう。

 そして、なぜか分からないが、核廃棄物が少なくなるとのことも言われていた。

 これは私の勝手な見解だが、この”廃棄物が少なくなる”は全然理解できなかった。なにかキナ臭いものを感じていた。

 これ、もしかして、お金集めるためにやってるのか?とさえ思っていた。

 というのも、ああいった発電設備は当然、小型化すると効率が落ちる。

 冷却が必要ないということは熱が逃げているのだ。

 発電は熱によって行っている。その熱が逃げていることをメリットとして謳っている以上、発電効率は間違いなく大型より低いはずである。

 ということは今まで以上に核廃棄物が出るのは至極当然の話である。

 なのに、核廃棄物減少を謳っていたのだ。

 そして、もう一つ。1キロワット9セントは同じくCO2排出のない自然エネルギーと比べると遥かに安い。別に少し高くしても顧客は集まるのではないかと思うのだが、辞めると言い出した。

 それでふと思った。

 原子力発電関係を今までやってきた人にとっては、それが専門職であればあるほど、その技術が必要ないとされた時、仕事がなくなり、食べられなくなる。

 だから、何かキャッチーな話をするしかない状況になっていないだろうかと。

 私も専門職であるため、その気持ちは痛いほど分かる。

 資本主義において、自分がなにかサービスを提供することでお金を得る。当たり前のことだ。

 だが、技術屋にとって、それが要らないよと言われる恐怖。

 少し前だが、日本の有名な研究所で偉大な発見があったとされたが、それは嘘であったことは記憶に残っていることだろう。

 日本の研究職は1〜3年程度の単位で契約がされていると聞く。

 そこで実績を作らなければ、明日はご飯が食べられなくなるかもしれないのだ。

 だが、基礎研究や材料開発などは10年以上かかるものもある。いや、そちらの方が多いくらいだ。飛行機に使われているカーボン材料は25年も研究された結果なのだ。

 それを2、3年で成果出せはちょっと無理がある。

 だから、日本から有名な研究者が出ていってしまうというのも何かの記事で読んだ。

 かく言う私も海外遠征組だ。(全くもって有名な研究者ではありませんが。(笑))

 前にも書いたが、こちらの方が圧倒的に資金がある。

 その海外においてでも、自分の技術が必要ないと言われることは当然ある。

 その時、技術者はどうするか。

 すでにお分かりいただけていると思うが、もしかするとニュースケール社もそういうケースなのかもしれない。

 実は集めたお金の一部がどこかにあり、もう一生食べていくだけの分があるのかもしれない。

 これは実際にデータを見たわけではないので、非常に勝手な思い込みでしかないが、本当はSMRは危ない技術なのかもしれない。

 そう考えると、資本主義内での技術開発は少し危険な点があり、その職を失うリスクを考えるともう少し理系職は優遇されるべきだと個人的には思う。

 もしくは理系職に関して、ある程度の保証があるべきかもしれない。

 特に日本は何を売っているのかを良く考えた方が良いと思う。

 政治家の発言に反論するなら、別に2位になりたくて2位になっているわけではない。必死で1位を目指しても2位になることなんてざらで、むしろ2位なんてすばらしい位置だと思うのだが。

 そうやって予算を削減することで、開発力を削いでいるのが、現在の研究課員の契約システムだと思う。

 そして、それは科学者の悪意を生むもとになる可能性がある。

 ちょっとネタが古いか。(笑)

 SMRに関して、日本も作ろうとしている。原子力研究開発機構はこの話を受けて、今後どうするか。

 サウジアラビアだったか、砂漠に箱型の未来都市を作る計画が進められているが、あれにもSMRを入れる予定だったはずだ。

 この辺り、今後注目していきたいと思う。

 この技術が危ないというのが、私の杞憂であってほしいと切に願う。

 でも廃棄物が減るはかなり怪しい。。。

 あと、もう一つ。100万キロワットって何か違和感がある。なぜ1ギガワットって言わないのか。まあ、家庭でキロワット使うからって理由なんだろうけど、そんなだから理系離れが進むんだと思ったり、思わなかったり。。。(笑)

 ということで、明日は休出して、このことを頭の片隅に置きつつ、新しい技術開発を行いたいと思う。もとい、ご飯を食べるためにお金を稼ぎたいと思う。(笑)


あとがきは割愛させていただきます。

本編が短いので、本編のみでお楽しみください。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回も面白いエッセイありがとうございます。  元々原子力発電は熱源側の温度を低く抑えていた分効率悪かったわけで、そのへんなんとかすれば、小型化と効率UPは両立できそうな気がする。  でも…
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