第20回 神がいる?素晴らしき水の特性について
まえがきは割愛させていただきます。
本編が短いので、本編のみでお楽しみください。
●’23/11/19(日)
全然題名と異なる、皆様には全く必要のない情報であるが、実は今日が私の誕生日なのである。
特に何かをするわけでもなく、もうこの歳になると、自分が何歳なのか分からなくなってきているのだが、一応、書いておきたいと思って書いてしまった。(笑)
こんな歳になっても、心のどこかで祝ってほしいと思っているのかもしれない。(笑)
前回のコラムの反省も踏まえ、私のここでのやるべきことの1つは、技術の面白さを伝えることなのかもと思った次第で、誕生日の今日(笑)、この題名にした。
で、本題=「水ってすごい!!」である。
私は15年くらい前、燃料電池の発電部やシステムの開発をしていた。
燃料電池の主な発電方法は、
アノード側(陰極)=水素をプロトン(H+)と電子に分解
電解質=プロトン(H+)だけ通過
回路(我々が使う電気回路)=電子だけ通過
カソード側(陽極)=電解質を通ってきたプロトン(H+)、回路を通ってきた電子と空気中の酸素を反応させて水を生成
非常に簡単な原理だ。
水素から電気(電子)が取り出せ、生成された水は飲み水としても利用できる。
排熱利用で一般的な発電システムの2倍ほど高効率にできる。
などなど、いろんなメリットがある。
そして、この発電部を開発するにあたり、この水素をプロトンと電子に分解するところで、触媒として白金(Pt)を使っていた。
この白金。ご存じの方もいらっしゃるかもしれないが、水素を分解する能力がすさまじいのである。一瞬で水素から電子を剥ぎ取り、プロトンにしてしまう。この水素の分解能力こそが燃料電池の性能を司ると言っても過言ではない。なので、燃料電池を製品化しようする者は、一人として例外なく白金を使うのだ。
だが、高価。なので、人は代替となる材料を一生懸命開発しようとしている。
しかし、鉄などを使って開発された触媒は、白金の性能の10〜100分の1にも満たないのである。(もう15年くらい前なので、今はとんでもないのができているのかもですが。)
その時、私は強く感じた。白金は神が触媒として使えと作った元素なのだと。
前回のコラムで神をあんなにバカにした人のいう台詞ではないのかもしれない。(笑)
なので、指輪になんぞしてはもったいないのだ。と言いながら私の結婚指輪はプラチナ製だが。(笑)
そして、白金のそれと同じくらい強い意思を感じるのが、水である!(やっと本題。。)
水はありとあらゆる面が特殊で、生命を生み出すために作られているとしか思えないのである。その理由は以下の通りである。
1.固体時密度の秘密
2.分子数と沸点の秘密
3.表面張力の秘密
などなど。もっと色々あるが、この3つは特に異常である。
1.固体時密度の秘密
水が固体になった時、つまり氷になった時、氷は水に浮く。生活の中で当たり前の現象である。
だが、少し考えてみていただきたい。
他に固体になった時に浮くものがあるだろうか?
普通固体になると密度が高くなり、重くなる。つまり沈むのだ。
物性値を調べてもらうと分かるが、そんな特性をもつものは水くらいなのだ。
そのため、寒い冬になると湖の表面が凍りつき、全面が凍っても内部まで凍らない。私の小説にも出てくるのが、これのお陰で地球が他の星の影響で長期間氷河期(全球凍結)になっても海の底は凍らず、生命が生き永らえていたのだ。
明らかに水だけ特別扱いされている。
2.分子数と沸点の秘密
ご存じの通り、水はH2Oであり、沸点は100℃である。水素が2つ、酸素が1つでできており、水素は質量数1、酸素は質量数16なので、水は質量数18である。一般的に質量数=分子数が大きいものほど、沸点が高い。だが、質量数が同じくらいのものと比較しても圧倒的に水の沸点が高いのだ。
メタン(CH4=質量数16)=沸点-164℃
シラン(SiH4=質量数32)=沸点-112℃
硫化水素(H2S=質量数34)=沸点-60.7℃
質量数から考えると、水の沸点は-150℃程度であるべきなのだ。だが、ご存じの通り、沸点は100℃。
そのお陰で、我々の生きているこの地球の平均気温15℃範囲において、水は液体で存在してくれている。実はそれが明らかに異質だ。
少し難しい話だと、現状の化学では、水素結合が多いものの沸点が高いと言われていて、それに水が含まれる。逆に言うと、水はそういう分子として選ばれているのだ。
そして、分子数。
この水が液体として存在する星(岩石惑星)の温度において、大気成分は宇宙の元素存在比率から考えると、窒素、酸素になるだろう。
水素、ヘリウムが宇宙の99%以上を占めているが、これらは軽すぎる。カーボンも比率は大きいが、それはこの温度では固体だ。
水は液体として存在している時は密度が高いため、地上に落ちる。だが、蒸発する、つまり気体となると窒素分子N2(質量数=28)や酸素分子O2(質量数=32)より軽いのだ。つまり浮く!
だが、上空で冷やされると液体になり、また地上に落ちる。このように循環が促されるように作られている。としか、思えない分子なのだ。
この循環こそ、生命誕生に必要不可欠な要素である。
どうですか?少しずつ、何かいるのかも!?と思い始めてきてませんか?(笑)
3.表面張力の秘密
そして、極めつけは表面張力。他の液体に比べて3〜5倍ほど強いのである。
例えば
水=72.75[N/m]
エタノール(皆さん大好きなお酒の素)=22.55[N/m]
トルエン(好きになっちゃダメ!)=28.4[N/m]
酢酸(健康に良いけど、取りすぎ注意)=27.7[N/m]
水銀(最近この体温計見ないな)=475[N/m]
水銀は水銀でまた選ばれた元素なのだと思っているが、それ以外と比べると水は異常に高い。つまりは丸まろうとする=集まろうとするのである。
このパラメータは、上に書いた循環をより強く起こす原因となり得る。さらには形状を保つのにも有利なのだ。
これも水素結合が関係しているのだが、明らかに水だけがその状態を持っていると言えるのだ。
水には他にもいろいろ特殊属性があるが、これらだけ見ても明らかに水は特別扱いをされている。
もう何かがそう作ったとしか思えないのである。
なので、私は生命誕生が偶然ではなく、必然だと思っている。そう作られていると信じている。(私の小説”ガロワのソラの下で”にもそういう匂わせがいくつか書いてある。)
いつかそれ(その説)が解明される日が来るのだとも信じている。
科学技術で新しい製品ができるのも面白いのだが、数学、物理、化学のこういう根本の部分も本当に面白いなと思う。
少しでもこれを読んで、科学に興味を持っていただけたなら、ありがたい限りである。
誕生日の今日くらい、真面目に締め括ろうかな。(笑)
あとがきは割愛させていただきます。
本編が短いので、本編のみでお楽しみください。