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5話

「ミアたーん」


_______退屈な講義。ローウェン先生の低めの声は大変わたしを眠くさせるのが上手なようで、こくりこくりと首が揺れる中ちょんとわたしの肩をつついてきたのはアドラーだ。

虚弱体質ならこの場で倒れてくれれば保健室に連れていく口実でサボれるのに、と勝手に心の中で思いながら由緒あるメノディーヴァ家の御息女の話を聞く。


「実はですねぇ、ここ無属性学科に非常勤の講師が増えるって話なんですよぉ」


そんなどこからが聞いてきたゴシップに至極興味も無いので、とりあえず寝るよかマシだろうとアドラーの言葉を左から右に流しローウェン先生の事は頭から消し去る。


「それがですね?超絶イケメンで、しかも人間じゃないっていうんですよぉ。あ、平民ですらない、何だっけ…亜人の貴族らしいんですねぇ〜!」


はぁ、と適当な返事でながす。

無属性の教師なんかなかなかいないと言うのに、この国如きの学校ひとつに非常勤とはいえ二人もいていいのかよ、と辛辣なことを思ってしまうが、上の考えることなんか分からない。

もし猫亜人なら……。

またルオンのことを思い出してイライラしてきた。

あのスカした野郎め。次会ったら、本気でぶちのめしに行く。わたしのアーティファクトは6つ、JtoB以外にもイロモノ揃いなのだから。

例えば吸収した魔法を式に変換しプログラムすることによって融合ができる、タブレット型のアーティファクト、ディスプレイ・オブ・フォーミュラだとか……


「それで、午後から来るんですって〜。非常勤のイケメン亜人講師、禁断の恋が待ってそうじゃないですよねぇ?へへっ、うへへへ」


また、アドラーが変な妄想をしてる。


「この国未成年淫交犯罪じゃないけど」


「あぅ〜ミアたん、マジレスってやつはダメですよぉ〜。でもでも、アドちんは超絶イケメンは壁になって眺めたい民なので…」


そんな所で授業の終わりの鐘が鳴る。簡単にローウェン先生が締めると、パッとわたしたちの方を向いた。


「あのな〜〜……お前ら、4人しか居ないのに2人もサボってたら丸わかりだぞ」


「先生、アドちんは妄想に忙しいんですよぉ〜」


「居るだけで有難いって思ってくれない?」


その返答にローウェン先生は胃痛がしていそうなため息を着くと相手にならないことも分かっているので去っていく。

わたしは家で勉強をしているので成績も悪くないし、アドラーはこんなんだが神童と呼ばれたくらいの天才なのでノー勉でも成績トップだ。


「さーて、ミアたん〜ご飯食べましょうね〜♡もちろん、アドちんの奢りですよ〜」


「奢りなら行く〜」


そうしながら地上行きの転移陣へ行くと、ロンフェイとユングに再び会う。


「ミアちんもお昼〜?」


「うん、アドラーの奢り」


「また此奴奢られてやがる……守銭奴がよ」


うるせぇ、という目線をわたしとアドラーの両方から送られてその温厚そうな目の眉間に皺が寄るとブツブツと文句を言いながら、ユングは陣の上に真っ先に乗る。

ロンフェイは相変わらずぽーっとしていてよく分からない様子で居ながらわたしを見つめていた。


「ミアちん、アドラーちゃんが午後から来るって言ってた教師なんだけどさ」


「うん」


「俺分かるけどめーーっちゃヤバいやつだから、ミアちん気をつけてね?」


気配がもうダメなんだよ、って言ってるロンフェイに二つ返事で流すとわたしは壁を見つめていた。

ヤバいがなんだ。殺せばいいだけ、というかどうせサボるんだから教師なんか誰だっていい。

そう、誰だって………










_______其れは、一週間前の出来事。

聖フェイリス学園、学園長室。

夜の夜まで残って作業している学園長の元へ、ノックの音が響いた。


「誰だ?……皆、帰したはずだが」


声を掛けるも返事は来ず、学園長が立ち上がった瞬間扉が開く。

2メートル超の立端のある体格、人外的な美しい顔に尖った耳、血のような赤い目に漆黒の髪。

そして腰から触手を畝らせ怪しく微笑む男が立っていた。

学園長は、その男に見覚えがあった。

何せ学園長もよく生きてきた凄腕の魔術師だ。その男は、学園長よりも少なくとも10倍は長く生きては居るが、しかしその人生の中で相手が誰であるかなどあっという間に理解した。


「貴方は……、何故このような所へいらしたのですか。……裏世界の皇子殿下…ルオン様」


「お前に話す事等ない。ただ僕の命令に従えば良いだけだ」


「しかし、儂には学園の者達を守るという使命がありますゆえ……。幾ら貴方様の様なお方でも、そのような横暴は…」


ルオンはゆっくりと、ブーツの音を鳴らしながら近寄っていく。

学園長は立て掛けてある杖を取り、ぐっと力を込めて握った。

しかし黒光りする触手がすらりと伸びると杖はあっという間に絡め取られ、学園長の恐怖に怯える姿にルオンは優しく、笑う。


「ただ、僕は愛い子を愛でるだけなのだ。だから、大人しく言う事を聞くだろう?」


学園長の顔の前に、ルオンの手が出される。

そこから放たれる魔力は膨大で、あっという間に目の前の魔術師の意識を取り込むとルオンはゆっくりと呟いた。


「僕は、……無属性学科の非常勤講師、ルオン。猫亜人の貴族で、次元魔法を得意とする者だ。一週間後より編入し、午後に授業を執り行う。いいな?」


「……はい」


「宜しい。此処に、洗脳術式用のインクを置いておく。魔法プリンターに仕込ませ、全生徒、教師に連絡物として配布しろ」


「はい、了解しました」


ルオンは手を離すと、くるりとマントをたなびかせ踵を返す。


「さて、準備も大詰めだ」


そう呟いて、ルオンは全身鏡を見るとその中へ入っていった……


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