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3話




_______フォルフォニア・アミュレット。

蝶々のような儚い名前で、性格も臆病。

付けられた酷いあだ名すら自分には罵倒が足りないと思う程、彼女はネガティヴだった。


「ふぃ、フィオエル……」


自室にて、彼女は小さく声を張る。

そうして現れたのは、二枚羽根の天使…、フィオエルだった。


「ニア、どうしたの?」


薄い水色の髪をポニーテールにして、ゆらゆらと揺れながらフィオエルは優しく声を掛ける。

彼女はあわあわと焦りながらある物を見せた。

魔力測定計、家庭用の簡易版のものだ。

数値は196を示している。


「また、……減ってたの、わたしみたいなブサイクで無能なゴミが……魔力すらないなんて…」


フォルフォニアは、ある悩みを抱えていた。

普通成長すれば増えていく筈の魔力が、彼女は減っているのだ。

最初に測定した時、6歳にして魔力計は平均よりもずっと多い500を示していた。

しかしフォルフォニア14歳、現在は196。

8年の間に300もの魔力が減っていたのである。

これは14歳の魔力平均ギリギリで、彼女はあと少しすれば平均以下の魔力にまで減ってしまうことになるのだ。


「でも魔力あった所で…ニア使わないでしょ?オレの聖力があればなんとかなるって」


「でもっ、でも…魔力がなくなったら、死んじゃうんだよ……?」


この世には、魔力を元に発動する魔法が使えない人間はあれど、魔力がない人間など存在しない。

なぜなら人間にとって魔力とは、生きる為のエネルギーだ。

それを失うのは、体の機能が停止し、心臓が止まり、血流が止まり、死ぬことと何も変わりない。

このままの速度では彼女は二十歳になる前に魔力が0になってしまう。

だから、震えていたのだ。これを治さねばならないと。

しかし医者に当たっても原因は不明で、不治かつ不明な病として名付けられた。

研究をしても成果はなく、年月がすぎる度にフォルフォニアの魔力は減っていく。


「んー…と言っても、オレにも原因わかんないんだよね。ニアの魂が超綺麗だから、神王サマがニアを欲しがってるんじゃない?」


「……からかわないでよ。神王様が……、わたしなんか欲しがるわけないでしょ?」


フォルフォニアはフィオエルの話を冗談と軽く流し、立ち上がる。


「学校……行きたくないな」


「じゃあオレに体渡したまま行けば?オレが全部何とかしておくよ〜♡」


「貴方……、わたしの体でナンパするでしょ…?」


彼女はその景色を思い出す。

弱音を吐いてフィオエルに体を預けたその日、その光景は見難いものだった。

フォルフォニアの見た目のままで他の曰く別嬪なお姉さんをナンパし回ってるのだ。

当然フォルフォニアの肉体だから相手にされないものの、その姿に聖魔法でフィオエルを貼り付け出したら逆に寄るようになってきて酷い目にあっていた。

以後戦闘時以外フィオエルに体を預ける事はなく、嫌々と弱音を吐きながらも休むか行動するかの二択になったのだ。


「ちぇ、バレたか。でも本当に嫌なら、不純な事なしに御奉仕してあげるよ、お嬢様?」


「……、貴方の事…信じられない」


フォルフォニアは元より人間不信の節があった。

両親から放置され、妹は愛想はあるものの夜に人を殺し回ってる問題児、フィオエルは女色が強い。

周りに頼れる人間などいないフォルフォニアは、誰が居ても孤独を感じ……そして、心の内を覗けるフィオエルにすら心を閉ざしきっていた。

自分を性的な目で見るか、それとも妬ましく見るか。

学園に入っても変わらずそんな目線にばかり当てられていて、フォルフォニアは億劫だった……






そうして、装飾の多い面倒な制服を着た後にフォルフォニアは聖フェイリス学園へ向かった。

いつもより厳重に装備を整えて、フォルフォニアはきゅっと口を締める。

それもそのはず、今日の白魔法学科の授業は遠征だからだ。

聖フェイリス学園の校門を潜れば同じ白魔法学科の人間達が着替えだのなんだのが入っているであろう大荷物を魔法で縮めカバンに小さなスーツケースのアクセサリーとして付けていた。

しかしフォルフォニアは着替えも他の一日一着ずつのような貴族より少なく、化粧品等もまともに持って行って居ない故に普段のカバンに全て納まってしまい重力緩和の魔法を掛ければ終わりだった。


そうして集まった講堂で、何度も聞かされた遠征の注意事項等を改めて聞くことになる。

所謂パワースポットのような唯ではない森で、そこでは精霊や妖精が沢山住んでいる。

学生はそこで交流を行ったり、森のスケッチや非攻撃的な魔法を使い浄化を行うなど色々な課題を課されていた。

しかし、その森はとある噂があった。

それは、神隠しに合うというものだ。

精霊に好かれたか、それとも悪魔に好かれたか、そこに行くと事例は少ないものであるが誰も知らぬ間に攫われて、帰ってこないという話だったのだ。

まあフォルフォニアにはどうでもいい話だ。

自身は魅力もないゴミクズなので攫われる意味なんてないと思ってある意味余裕の余裕という様子だった。

ある意味呑気なフォルフォニアは説明をふんふんと聞いた後、学校に置かれた転送用の魔法陣に乗り遠征先である森の近くに移る。

一行は宿泊先である大きなホテルへ向かうと各々の部屋へ向かい、荷物を下ろす。

貴族の学校、しかも優遇された白魔法学科であるから当たり前のように一人一部屋割り振られており、フォルフォニアはカバンを下ろすと十字架をネックレスに繋ぎ、ぼんやりとベッドへ転がった。

荷物を整える自由時間は凡そ30分程だ。

フォルフォニアはその時間もあっという間に終えてしまったものだから、退屈で仕方なかった。

そうしてフォルフォニアは仮眠することにし、アラームをかけると眠り出す。

25分経った所でしっかりとアラームが鳴り、フォルフォニアは気だるげに目を開けるとダミー用の杖を持って歩き出した。

フォルフォニアの持つ十字架、セント・ドグマはフィオエルを呼び出し、操り、そして自らの身に憑依させることが出来るアーティファクトだ。

しかし、憑依したフィオエルは天使という強大な力を持つ人ならざるもの。

杖など使えば力の制御もつかないからと、素手で魔法を出しているのだがフリでも杖を持たなければ疑われてしまう。

故に、フォルフォニアはフィオエルが使っているふりをするための、見てくれだけいい杖のような棒を持っているのだ。

そもそも、なぜフォルフォニアとフランシミアはアーティファクトなどという珍物を持っているのか。

それは二人が幼い頃、侵入した自宅の別館の地下にアーティファクトが封印されていたのだ。

それを、フォルフォニアが触れた瞬間あっという間に解除されてしまい、それを好機と捉えたフランシミアは中に封印されていたアーティファクトを奪い、そしてフォルフォニアにもお裾分けた。

そうしてフランシミアは六個、フォルフォニアは四個のアーティファクトを持っている。

フランシミアはJewelryToBerryをいたく気に入っておりそれ以外のアーティファクトは荷物が多いと感じた時に家に置くほどの扱いであるが、フォルフォニアはアーティファクトの価値を理解し常に己の傍に置き、持ち歩いていた。

フォルフォニアの四つのアーティファクト。

一つは十字架のセント・ドグマ。

二つは絶対の防御障壁を出す腕輪のレストラ・サンクチュアリ。

三つは一時的にその体に偉人の手を宿し、才能を与える指輪のゴースト・ハンドラー。

そして四つは名前も付けられておらず、記録もされていない謎の四角いキューブだ。


フォルフォニアはそのよく分からないキューブも含めて持ち歩いており、ポケットの中は常にパンパンだった。

アーティファクトは身につけることを前提として小さいもので固められているからまだ良かったが、たしかフランシミアの持っているアーティファクトには図鑑のようなサイズの本のアーティファクトもあったはずだ。

あんなものが割り振られなくて良かったとフォルフォニアは心の中で少し安堵していると、そういえばと思い出す。

このままでは、遅刻してしまう。

フォルフォニアは慌てて走り出した。

そうやって集まった白魔法クラスたちは、森の入口まで集まり、教師の声を聞く。

_______なるべくグループを組んで入るように…。

つまり、絶対組まないといけない訳では無い。

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