あっと叫べば明日が鳴る
辛い時は大きな声で叫びなさい。そうすれば周りがパッと明るくなって明日が自分を呼びにくる。そう祖父から聞いたのはいつのことだったであろうか。
僕は今見知らぬ街に立っている。全く知らない、初めてくる街だ。日本ではない。南洋の寂れた地方の方の小さな街といった様子だ。学校終わりだろうか。中学生ぐらいの女の子数人が談笑しながら僕の横を通り越していく。ふと甘ったるい果実の香りがして顔を向けると斜め奥に果物屋がある。鮮やかな色が並び、まさに南の島といった様子だ。店の奥で店主らしき初老の親父がラジオを聴きながらタバコを吸っている。立ち寄ってみることにした。
親父は少しこちらをチラッと見ただけで再びぼーっとしだした。ホコリをかぶった壁掛け時計や茶色く染みのついたビールのポスターを眺めていたとき、ラジオの音が日本語だと気づいた。しかし、どこの方言だろうか。なまりがある。僕がラジオの音をもっとよく聴こうと近寄ったとき隣の棚のスノーボールにふれた。
すると、親父は突然どなりだし、ヒステリックに怒りだした。少しして落ち着いたかと思うと、今度は諦めたように泣き出した。
親父の鳴き声をかき消すように飛行機の音が近づいてきて、そのあとまた別に高くて大きな音が、音が、音がキーンと音がした。
大きな爆発の光が遠くに見えたと思うとあったいうまに僕はそれに包まれた。
最後にとなりで親父が夏が死んだ、と呟き僕は目を覚ました。




