95話 魔物の巣窟
――翌日。
「今日はいい天気ですね! 行きましょう!」
昨日、土砂降りだったのが噓のように快晴だ。
向かう山も雲に覆われていたのがなくなり、より一層大きく見える。
平地を進み――山麓の前で休憩を挟んだ。
「ここから大変ですので、頑張って行きましょう!」
登る前から魔力反応なくても見覚えのある魔物がうじゃうじゃ飛び回っていますけど……。
ワイバーンだ……倒しながら山を超える感じか……。
「いい素材がいるじゃないか、腕が鳴るぜ!」
「この数は倒しがいがありますね」
フランカとアイシスは好戦的でした……。
「ワイバーンで……この数は異常だ……」
「こんなにいるなんて予想外ですわ……」
ウィロウさんとグラシアさんは啞然としている……やっぱりその反応ですよね……。
Bランクの魔物が大量にいるとかあり得ないですし……。
登り始めると――。
「ギャアァ――――!」
俺たちに気づいて1頭が向かってくる――。
「お任せください――――アイシクルランス」
「ギャァァァァ!?」
アイシスは魔法を使い――氷の槍を放ち――ワイバーンの頭に直撃し、地面に落ちた。
相変わらずの瞬殺ですね……。
アイシスは無限収納にしまい、先に進む――。
登り続けると――暖かい。
この山は活火山かと思ったが。噴火後も何もない、ここの気候が違うみたいだ。
だから暖かいのを好むワイバーンにはうってつけの場所だと思った。
「「「ギャアァ――――!」」」
今度は4頭向かってくる――。
「わ~い、私は1頭相手します!」
ミツキさんは迷いなくワイバーンに近づく。
「とうっ、――――豪襲脚!」
「グギャァァ!?」
大きく飛び――背中目掛けて足蹴りし、地面に叩き落ち――。
「――――刹那!」
首を切り――倒した。
「「「ギャアァ!」」」
3頭のワイバーンが火を吐いてきた――。
「ここはわたくしの出番ですわ! 水よ我が身を守る盾となれ――――アクアシールド!」
グラシアさんは魔法を使い――水の盾で火を消し止めた。
ワイバーンは3頭同時に低空飛行し、向かってくる。
このタイミングならちょうどいい、氷魔法を使う――。
「――――アイスチェーン!」
「「「ギャアァ!?」」」
地面から氷の鎖を出し――ワイバーンを巻きつかせ身動きが取れなくした。
「これで楽に倒せる――――落烈槍!」
「ダンナ、ありがとよ! ――――炎烈破!」
「これなら当てられる――――ウインドランス!」
「「「ギャアァァァァ…………」」」
その隙にウィロウさん、フランカ、精霊が仕留めた。
また新手が来た――今度は10頭だ……キリがない。
「全く……ゆっくり狩らさせてくれないのか――フレイムバレット!」
「「「ギャアァァ――――!?」」」
フランカは炎の弾丸を放ち――全部命中し、地面にボトボト落ちていく。
「わ~い、今だ!」
ミツキさんは次々と首を切りつけてあっけなく終わった。
このメンバーは何頭いようが問題ないですね……。
その後、倒しながら登り――中腹に到着した。
小さな洞窟を発見し、周りが安全だと確認したらそこで昼食を摂る。
「今日も順調に進んで助かります!」
「レイたちがいなければ全然進まなかったな……」
「私たちだけでは無理でしたわ……」
いや……ミツキさんが入れば大丈夫だと思うが……。
それにしても多いな……30頭以上倒しても上にはあり得ないほどいる……。
食べ終え――再び登る。
「「「ギャアァァ――――!」」」
上に行くたびにワイバーンは気性が荒く――イラついている。
「少し速いな――――フレアバレット!」
豪炎の弾を放ち――スピードが速かったワイバーンでも見事に命中し、仕留めた。
そのあとに……次から次へと来る……順調だったのがここで足を止めた。
「う~ん、ちょっと厳しいですね……」
「引き返した方がいい気がする……」
「さすがに無理ですわ……」
数十頭がこっちに向かってくるとそうなるよな……。
「では私が倒しますので皆様は見てください」
アイシスが【混合魔法】を使う――。
「――――ブリザード」
「「「ガギャァ…………」」」
氷の強風がワイバーンの群れに襲い掛かり――凍らせた。
「これでよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます! やったぁ~これで進める!」
「あの数を一瞬で……さすが賢者の弟子……」
「さすがですわ……アイシスさんは絶対に敵に回したくありませんわ……」
「恐縮でございます」
少しドヤ顔しているのは気のせいだろうか……。
次の瞬間――ワイバーンが上から転げ落ちて来る。
焼けて死んでいる。
みんなフランカを振り向く――。
「アタイは何もやっていないぞ! 上の奴らが争っていると思うぞ!」
確かにそうだが、焼け跡が……肉も焼けていてかなり威力がある……。
けど、ワイバーンでもこんなに威力は出せない……上に強いのがいるのか?
魔力感知ではワイバーンぐらいしか反応がない。
確かめるか。
「すみませんが、先に行ってますね」
「わかりました!」
行こうとするとまたワイバーンの群れが来る――。
「私に任せて! ――――サイクロン!」
「「「ギャアァァ――――!?」」」
精霊の魔法で群れは暴風に飲まれていく――弱まると再び魔法を使う。
「――――エア・プレッシャー!」
風の圧で地面に叩きつける。
「助かるよ。じゃあ、行ってくる」
「私も行きます」
アイシスもついて来るのか、やっぱり数が多いとそうなるか……。
「あっ、ズルいぞ! アタイも行く!」
『早いもん勝ちだね! フランカは男の娘を援護に回った方がいいよ!』
『アネキが言うのだったらしょうがない……わかったよ』
フランカは渋々納得してミツキさんたちと残り、精霊が叩き落としたワイバーンの処理をすることになった。
先に進むと――微かにだけど頂上付近の洞窟? に出たり入ったりしている多くのワイバーンがいる。
あそこに何かあるのか。
距離があるから――時魔法を使う。
「――ヘイスト!」
俺とアイシスに身体を速くさせ――その場所に向かう。
途中で襲い掛かってくるワイバーンは氷魔法「アイスソード」を創り――「絶氷」で切り抜ける。
アイシスは「アイスバインド」や「アイシクルランス」などで援護をしてくれた。
よし、足を止めることなく進める。




