918話 嫉妬する理由
ジョセフィーヌが魔力を出して怒っていた。
今にでも迎えに行きそうだな……。
「少しは落ち着けよ。ソウタはお前を優先にして無理にでも教会から出てくるぞ。心配する必要はないだろ?」
「もちろんそう思っている……。けど……なぜかあの女を思うと……胸が引き裂かれそうほど苦しい……」
「それって……アマーニのことが好きなの!?」
「いや違うだろ……。今の話しを聞いて好きってことないだろ……」
「冗談でもやめてくれ……。あの女は許せない……。私のソウタを……」
エフィナはからかって言ったと思うが、余計に刺激させてしまった。
ちょっと空気を読んでくれないか……。
「ごめんごめん。だけど、ほかにもソウタの嫁がいるけど、嫉妬はしないの?」
「何を言っているんだ? ほかなんて気にしてはいない。ソウタは絶対に私を真っ先に選ぶからだ」
なぜか自信に満ち溢れて胸を張って言う。
身体もそうだが、フェロモンで誘導できるのはでかいのは確かだ。
「じゃあ、なんでアマーニは嫉妬するの?」
「わからない……。感覚で受け入れない……。これだけは言える、警戒しなければいけない女だ。あの女よりも早くソウタとの子どもをつくらないといけない」
ただ、優位に立ちたい――マウントを取りたいだけなのか?
女の争いに首を突っ込んではいけない。
「そんなんだ。じゃあ、アマーニより先を越されないように頑張ってね〜」
他人事だな……。まあ、エフィナはとってそこまで期待していないイベントだ。
何か起きたら面白そうっていう感覚だ。
まあ、俺に迷惑かけなければいいけど。
ジョセフィーヌに報告して領地に帰宅する。
自分の屋敷でゆっくりしていると――王様から連絡がきた。
『いや〜来ていたの知らなかったよ〜。ごめんね、少し考え事してね〜。声をかけたら会ったのに〜』
「いえ、陛下が忙しくしていたので声をかけづらいですよ……」
『ハハハ……そうだよね。それで、ジョセフィーヌに会ったんだよね?』
「はい、それでジョセフィーヌの処罰は……?」
『そんなことはしないよ。ソウタ君と契約したのは仕方ないよね。けど、契約したからにはたっぷりと仕事してもらうよ』
王様は戦力として考えてはいるようだ。まあ、勝手に契約したとはいえ、強力な大精霊と見ているなら処罰なんてもったいないよな。
『陛下の通りに従います。それでお願いがあるのですが、ソウタをアマーニからできるだけ早く解放させてください。ジョセフィーヌが暴走しそうなので」
『うんうん、契約者がいないと寂しいからね。わかった。できるだけ説得させるよ』
『ありがとございます』
『じゃあ、ボクからお願いがあるんだけど――リンアイナとクラーラをレイ君の領地に1ヵ月くらい滞在させていいかな?』
珍しいな、リンナさんとクラーラを行かせるなんて。
「いいですが、理由を聞いてもよろしいでしょうか?」
『そんな大したことじゃないよ。2人には息抜きをしてほしいだけだから。それに、この前レイ君の領地に行きたいとか言っていたしね。行かせるのだった今しかないと思って』
タイミング的にもいいか。
城に戻ってかなり経ったしな。退屈になったかもしれない。
「わかりました。いつでも歓迎しますよ」
『ありがとう。準備ができたら連絡するからよろしくね』
とうとう王女2人が領地に来るのか。周りを見たらかなり驚くだろうな。
来る人数は増えたが何も問題はない。
周りにはしっかり伝えないと。




