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89話 大陸で最強種族の実力


 とんだ大迷惑なことが起きたが、みんな切り替えが早く気にしていないみたいだ。

 ミツキさんがスールさんを蹴り飛ばしたことでイライラがスッキリしたようだ。

 

 このままスールさんが同行していたら……うん、考えるのやめておこう……。


 今のところ街道を走り続けている――。


 先頭はミツキさんが務め――その少し後ろ横にウィロウさん、グラシアさん――後を追うように俺たちは並んで走る。


「普段通りのペースで走っていますが、大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ、これくらいの速さなら疲れることはないです」


「わかりました! じゃあ、このままで行きますよ!」


 この速さなら俺たちは余裕でついていけるが、ほかの人は数分で疲れると思う。

 やっぱり小人族の魔力と体力は尋常ではない。

 遠い故郷でも5日でつくのも本当のようだ。

 

 ――2時間後。


「これから森の中に入るので、その前に休憩をしましょう!」


 街道の端で休むことになった。


 精霊はミツキさんの顔に近づき頬っぺをスリスリし始めた。

 

「小人さん、変態残念エルフから助けてくれてありがとう!」


「いえ、大したことはしていません! あはっ、くすぐったいです!」


 精霊にとっては英雄そのものですな。


「微笑ましい……」

「微笑ましいですわ……」


 相変わらず2人は親のような目で見ていますね……。 


 アイシスは無限収納から休憩用に作ったお茶、各種類の餡で作ったあんこ、みたらし、ずんだの団子を出した。

 

「わ~い、お団子大好きです! ありがとうございます!」


 やっぱり和食中心で生活しているから好きみたいだ。

 口を大きく開けて笑顔で頬張る姿は……すいません、子どもにしか見えないです……。

 

『いや~母性が溢れて安心安心! このままボクはレイの母性に当てられてお母さんになりそうだよ!』


 全く意味がわからないのだが!?

 変な冗談はやめてください……。


「美味しい……まさか甘い物を旅の途中で食べられるとか意外だ……」

「この甘味……上品で美味しいですわ……」


 2人はミツキさんの村で食べたのかと思っていたがそうではないのか。


「ごちそうさまでした! アイシスさんおいしかったです!」


「恐れ入ります。旅をしている間は食事やおやつを用意しますのでよろしくお願いします」


「いつもありがとうございます! こんなおいしいものが毎日食べられるなんて遠足気分です!」


 今のところは遠足みたいだが森の中に入ればガラリと変わる気がする……。 


「それでは行きましょう!」


 街道を外れ――森の中に入る。


 季節は冬だから枯れた木の多く周りの見通しがいい。

 今のところ魔物の反応はない――順調だ。


 ――30分くらいに経つと反応が出た。


 このまま遭遇しないで素通りがいいのだが――大きな灰色の図体を見つけた。

 オーガだ。さすがに強い魔物は野放しにしてはいけないから気づいていない内に仕留めよう。


「わ~い、オーガだぁ~! 先に行ってますね!」


 えっ、今喜んでいなかったか!? 

 ミツキさんは物凄い速さでオーガに駆けつけて――背後に回る。


 アイテムボックスからミスリルの短剣を出し――首を狙う。


「――――刹那!」 


「――――ガアァァ!」


 オーガは気づいたときには首を切られ――倒れた。

 瞬殺だ……。

 完全に暗殺者(アサシン)ですね……本当に商人か疑うレベルです……。


「フランカさんが作った短剣は切れ味が良くて助かります! 魔物を狩るのが楽しくなりました!」


 しれっと恐ろしいこと言いますね……小人ってみんなこんな強さなのか……。 

 ウィロウさんとグラシアさんは平然としている……通常運転みたいです……。


「強いですね……」


「そんなことはありません! 村の人と比べると普通です! 私よりもっと強い人はたくさんいますよ!」


 これで普通なのか!?

 見た感じミツキさんはAランク以上の強さはもっている。

 そうなると村のみんなが……はい、恐ろしいです……絶対に敵に回したくない。

 もう街じゃなく、領土を軽く占拠されそう……。


「今日は魔物が少なくて予定通り進みそうだ!」


 魔物がいても早く進みそうな気がしますけど……。


 ミツキさんはオーガをアイテムボックスにしまって――何もなかったように先に進む――。


 ――2時間後。

 

 森を抜けて――周りは平地が広がる。

 

「魔物がいませんし、ここで昼食にしましょう!」


 ミツキさんはアイテムボックスから人数分のイスとテーブルを出し――続いてアイシスは作り置きした、おにぎり、から揚げ、厚焼き卵、野菜の味噌汁、精霊用に皮をむいたリンゴを無限収納から出した。

 

 このメンバーだと用意するのも楽ですな……。


「全部美味しいです! アイシスさんが作る料理は村とほとんど同じでほっこりします!」 


「美味しい! もう旅を忘れてしまいそうだ!」

「美味しいですわ……アイシスさんが入れば長旅も苦ではありませんわ……」


 3人とも満足しているが、まだこれくらいは序の口に過ぎない。

 夕方辺りからビックリするだろうな。


 昼食を終え――。

 

 先への進んで行く――平地を駆け抜けて次は山へと登って行く。

 今日はそこを超えたら野宿する予定だ。


 登って15分――。


 大量の魔力反応が出た。

 グラシアさんも気づいたようだ。


「多いですわね……みなさんここからは慎重に行きますわよ」


 ペースを落として先に進むと――犬型で鉄の剣(アイアンソード)木の盾(ウッドシールド)を持ち二足歩行しているCランクの魔物コボルトが数十頭いた。

 この数だと集落があるかもしれない。

 このまま放置すると繫殖されて今後厄介になりそうだ。


「コボルトだ! 放って置くと大変なので全滅させましょう!」


「わかりました。作戦はどうしますか?」


「自由な戦い方でいいですよ! それでは始めましょう!」


 ミツキさんは群れの中に入り攻撃をさせる暇も与えず首や胴体など切り刻んでいく――。


「――――瞬華!」


「――――ガギャア!」


 それに続いてウィロウさんとグラシアさんも続いて行く。


「ミツキさんばっかり活躍させないよ! ――――絶槍!」


 コボルトは盾で防ぐが――貫通をし胴体まで届き倒れていく。


「僭越ながらわたくしも、水よ貫く槍と化せ――――アクアランス」


 魔法で水の槍を放ち――コボルトの頭に直撃をする。


 さて、俺たちもやるか――【武器創造】で金の剣(ゴールドソード)を創り――右手に持つ。 


 敵に近づき盾ごと薙ぎ払う――。


「――――斬破!」


 真っ二つし仕留める。


「――アイスショック」


「――フレイムバレット!」


「――――エア・プレッシャー」


 アイシス、フランカ、精霊も続いて魔法で攻撃をして――――あっという間にコボルトの群れを全滅した。


「みなさん、お疲れ様です! さて、コボルトの剣を回収だ~!」


「アタイもその剣が欲しいぜ!」


「半分に分けましょう!」


「ああ、助かるぜ! ダンナ、しまうのよろしくな!」


「はいよ」


 コボルトが持っている剣は銀貨1枚で売れるから小遣い稼ぎにはちょうどいいがフランカの場合はそれを溶かして何か作るのかもしれない。

 俺とミツキさんは剣をしまった。


 ここからが問題だ。

 近くとは言えないが魔力の反応が多くある。コボルトは嗅覚が鋭く――血の臭いで来るかもしれない。


「まだ反応が多くありますがどうしますか?」


「冒険者としては無視できない話だ。近いのか?」


「距離はあります」


「わたくしの反応では出ませんわ……他はどうです?」


「私は反応がありますよ」

「同じくアタイも」

「私もあるよ!」


「レイたちは遠くまで感知できるのか……凄いな……」

「さすが賢者の身内は違いますわね……」


 2人ともここのみんなと比べてはいけませんよ……規格外ですし……。


「ミツキさん、悪いがコボルト退治するけどいいかい?」


「大丈夫です! この山を平和にしましょう!」


 ミツキさんこの状況を楽しんでいますね……。

 まさか隠れ戦闘狂なのか……。


「決まりだな、反応がわかる4人の中から先頭を頼む」


「俺がやります」


 俺が先頭につき、反応がある場所に向かう――。

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