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897話 精霊を解放させる⑫


「ワタシのソウタちゃんを返しなさい!」


 トリニッチさんは焦ってソウタを追いかけて離れてしまう。


 あのトリニッチさんが何も考えずに追いかけるとは……。

 かなりよほどのことだ。


 それもそうか、男であったマルティスにいとも簡単に取れたのは許せないことだ。

 焦って判断ができない。


「レイ、優先するのは魔物だよ。この数はある程度倒さないと、ちょっと厳しいかも」


 エフィナの言う通り周囲は大型の魔物が数百いる。

 問題なく倒すことができるが、守って戦うのは話が別になる。


 空間魔法さえ使えれば…………待てよ、空間魔法を使える方法があるじゃないか――。


「アルカナ、空間魔法(ゲート)の準備をしてくれ!」


「えっ? は、はい。解除できる方法を見つけたのですか?」


「ああ、説明する時間がない。そこを動かないようにしてくれ――――裂破斬!」


 俺は結晶の魔剣(ルチル)でみんながいる周りの大地を深く切り裂き――。



「わわぁ!? 準備ってそういうことですか――――ゲート!」



 切り終わると、周囲に地響きが鳴り、下にゆっくりと落ちていく。

 やはり、一部の大地を切り離すと落ちていく。


 切り離せば浮遊効果は消えることがわかった。


 下に落ちれば空間魔法を魔法陣の影響を受けない。


 アルカナは少々慌てるが、ある程度降下して「ゲート」を発動し、無事に移動した。


 これも結晶の魔剣がなければ、大地の底まで切れることはなかった。


「ありがとうマスター、おかげでみんなを移動できた」


 リフィリアは一緒に移動しなかったか。


「いいのか、戻らなくて?」


「もう領地に戻れば、みんなは安心だから心配しないよ。エメロッテに連絡して待機して診察してくれるから私も手伝うよ」


 リフィリアがいればすぐにトリニッチさんに追いつく。


 トリニッチさんは――止まって魔物と戦っている。


 急いで俺たちはトリニッチさんのほうに向かうと――。


 十数mのある大型カブトムシと戦っていた。



「――――烈震斬!」



 トリニッチさんは空高く飛んで背中を狙い――剣で叩きつけてカブトムシを真っ二つにする。

 しかし――大型のカマキリが向かってきてトリニッチさんに片腕――カマを振って襲ってくる。


「くっ……、なかなかやるわね……」


 剣で防ぐが、後ろに下がってしまう。そして両腕を振るって――。



「――――アアアァァァァ!?」



「トリニッチさん!? ――――フレイムバレット!」



 防ぐことができなく吹っ飛んでしまった。

 次の攻撃が来る前に俺は魔法で炎の弾を放ち、カマキリを跡形もなく燃やした。


「平気よ……。ソウタちゃん……無事でいて……」


 駆け寄ると――鎧に傷がついただけで済む。

 だが、かなりバテている。無理もない、周りにいる大型の昆虫系の魔物をかなり倒している。まだ数十分しか経っていないが、大型ならかなりの魔力を使う。


 強いトリニッチさんでも俺たちが遅ければ危なかった。


「これは面倒だね。レイ、リフィリアと先に行ってくれない? ボクはこいつらを相手するよ。2人ならあの変態にすぐ追いつけるよ」


「わかった。トリニッチさんを頼んだ」


「待って……、ワタシも……」


「ダメだよ、君のせいで2人の遅れを取らせてはいけないよ。それでソウタの身に起きたらどうする? ボクたちはあとから行くよ」


「そ、そうね……。レイちゃん、リフィリアちゃん……。ソウタちゃんをお願い……」


 トリニッチさんは我慢して俺たちに託した。

 自分を通さないでソウタを優先したのは偉い。


「任せてください。行くぞリフィリア」


 俺とリフィリアはかなり遠くに離れたマルティスの微かな魔力辿っていく。

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