894話 精霊を解放させる⑨
『――――マリョク……マリョクをヨこセェェェェ!』
マナイーターになった信者は上空を浮遊して――周囲の魔力を吸収し、木々は枯れ果てる。
こいつ……理性を失っているのか?
このままだと精霊関係なく魔力を吸収する。
「みんな集まって! 魔力を吸収されるよ!」
エフィナが大声で言い、みんなを集める。
「みんな集まりましたね――――ルーンフィールド!」
アルカナが無魔法で周囲に虹色が輝く領域を発動させる。
魔法発動した周囲は魔力で吸収されることはなかった。
マナイーター対策はバッチリである。
ただ、邪石の効果で禍々しい魔力に覆われて、前回戦った奴より比べものにならない。
みんなを守れるなら問題はないが、外を出るとほとんどの者が命を奪われてしまう。
「なんだあの恐ろしい化け物は……」
ノッシュと精霊たちは得体のしれない物を見て怯えていた。
「もう前とは違うわ―――――スパイラルランス!」
リフィリアは風魔法で螺旋状に回る槍を放ち――直撃をするが、ゆっくりと飲み込まれていく。
おいおい……吸収して魔力に変換したぞ……。
『モット……モットヨこセ!』
さらに吸収が加速して今度は大地が枯れ果ててしまう。
「想像以上の強さですね……。もって3時間ですよ……」
それでもかなりの耐久だ。
「3時間あれば十分だ――――ジャッジメント!」
『――――グアァァァ!』
俺は光魔法で極大な光――裁きの光をマナイーターの頭上に降ろし、直撃する。
怯んで下に落ちてきたが、また浮遊する。
少し効き目があっただけか。
『マずイ! マズイマズイマズイ!』
狂ったように不規則に動いているのは吸収できなかったことになる。
「――――クリスタルランス!」
『マズイマズイマズイ! ウマいノヨこセェェェェ!』
追い打ちをかけるようにルチルは魔法で結晶の槍を放ち直撃すると――吸収することなくぶっ刺さって後ろに吹っ飛んでいく。
やはり結晶魔法は吸収はできないようだ。
だったら吸収を再開させないように無効にしてやる。
「みんな、ちょっと行ってくる――」
俺は領域を離れてマナイーターに向かおうとすると、エフィナもついてくる。
「抜け駆けはよくないよ。油断しないようにボクも手伝うよ」
心配性だな。だけど、エフィナがいれば確実にできる。
『魔力ヲヨこセェェェェ――――!』
「そんなことはさせないよ――――タイムストップ!」
マナイーターが動く前に、エフィナが時魔法を発動させ――静寂に包まれて俺とエフィナ以外は動きが止まる。
これは助かる。俺は無効の魔剣を出す――。




