886話 精霊を解放させる①
――翌日。
俺の屋敷の前に行くメンバーが集まる。
予想通り、トリニッチさんとアリシャたちも参加することなった。
ほかにも――。
「我輩はいつでも行けるぞ!」
ノワッチェも参加することになった。
前回リフィリアとパーティーを組んだから、親睦が深まって参加したと思う。
何があっても、対処できるから喜んで許可した。
「おばあちゃん、ソウタと久しぶりのお出かけで興奮して精霊をほったらかしにないでね」
見送りにきたララアはウルマに少しからかう。
ウルマも参加することになった。
やはり精霊と関わりがあったから参加はしたいだろうな。
「するわけないだろ!? ララアも私とソウタがいないからって、泣きべそかくんじゃないぞ!」
「もう、子どもじゃないんだから、心配しないで!」
そうは言っているが、少し寂しそうな顔する。
本当は一緒に行きたいけど、危険とわかって我慢しているだろうな。
行けないから、からかっている証拠だ。
「レイさん……なんでケイトがよくて俺たちはダメなんですか……?」
見送りにきたヨシマツたちは残念そうに言う。
今回はヨシマツたちに関わりがないから連れて行くことはできない。
「悪いが、ヨシマツたちを連れていく余裕はない。結界を張っている未知の場所は経験が浅い者を多く連れていけない。わかってくれ」
「ヨシマツ、レイの言う通りだ。お前が文句を言える権利はない。なんでもかんでも行けると思うな」
「わかりました……。ケイト、気をつけていけよ……」
厳しめに言ったアルロさんの言うことを聞く。
悔しがっているが、本当のことだから仕方ない。
まあ、師匠判断として危険に晒したくはないはず。
「ちゃちゃっと、精霊を説得して早く戻ろう!」
今回はエフィナも一緒だ。
エフィナ曰く、引っかかる点があって行くことになった。
みんな無茶をするから見張り役でもあり、俺が行く条件にシャーロさんがエフィナを同行させないといけない条件にからでもある。
「じゃあみんな、行くよ――――ゲート!」
リフィリアは空間魔法を使い――森の中に移動した。上空にいるのか少し寒気がする。
それはいい、目の前には、グニャグニャと空間が歪んで奥には無数の精霊の魔力反応がある。
ちょっとまて……この結界は――。
「やっぱりか……、空間魔法――リターンだね。ここまでの範囲だとリターンフィールドと言ってもいいかな。しかも何重にも層になっている。これはリフィリアでも無理だ」
エフィナの言う通りだ。
まさか空間魔法で守られているとは予想もしなかった。
「エフィナ、精霊が空間魔法使えると思うか?」
「100%ありえないよ。完全に外部からの魔法だよ。精霊がすごいとはいえ、こんな、バカみたいな魔法維持できると思う?」
「こんなのやったら自滅する。そうなると……アイツか……」
「そうだね、帝国軍――グリュムの仕業しかありえない。これに触れると――」
エフィナは前に進むと消えて――後ろにいた。
「――この通り、戻されるよ。たぶん、精霊も触れると戻されて閉じ込められている。
外部でも内部でも突破されないような仕組みになっている。ホント、面倒なことしてくれるね」
ため息しながら言う。
もうグリュムの手中にあるってことか……。
じゃあ、この魔法を解除すればグリュムに絶対バレる……。
本当に面倒なことをしてくれる……。




