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882話 長期休暇を与える


 ――翌日。


 アンバーは鬼の隠れ里に行き長老と話し合いをし、うまくまとまったようだ。


 しかも工房を見学して、製造された武具を見て高品質だとわかると、発注の申込みもしたようだ。


 相変わらず抜け目がない。

 今後に備えてできるだけ良い武具を揃えたいのはわかる。


 それはいいが、昼に書斎で資料の整理をしていると――。


「主様……しばらく領地から離れます……。ワタクシがいなくて心配すると思いますが……どうか……許可のほうよろしくお願いします……」


 メアが入ってきて涙を流しながら頭を下げてお願いしてきた。

 急なことで、なにがなんだかわからなかった……。


 涙を流しほどとは……かなり精神が病んでいる。


 メアのことだ、理由を聞いても何も言ってくれない。

 ただ、俺と【絆】化できなくて神経を使っていることだ。


 いろいろと手伝ってくれたし、落ち着くまで休暇を与えると思ったほうがいいか。


「わかった。許可する。かなりメアも疲れただろう。その間ゆっくりしてくれ」


「ありがとうございます……。それでは……行ってまいります――」


 そういうと、空間魔法(ゲート)を使ってどこかに移動した。

 もう準備をしていたのか……。


 まあ、予定を立てていたなら別に構わない。


 昼食を食べに集会場に行くと、周りはメアの話が持ちきりだ。

 涙を流して歩いていたのを見かけたからである。

 それも、あのメアが涙を流したのが相当珍しく、周りは心配していた。


 ここまで噂になるとは……。


「あ、あの……、ゼロさん……ナイトメアさんはどうしました……? 最近様子がよろしくなくて……」


 なぜかサリチーヌ――オーストロ一家が心配そうに話しかけてきた。


「長期休暇を与えたから気にすることはない」


「そうですか……。私たちのために休むことなく、手伝ってくれたのは本当に感謝しております……。ですが、私たちが原因でしたら謝罪したいです……」


 ああ……、自分たちのせいだと思っているのか……。


「メアが自ら引き受けたからそこまでではない……」


「ですが、身を削ってまでしてくれたのは申し訳が立てませんわ……」


「そこまで言うのだったら、お礼をしたらどうだ? 宝石商なら宝石商らしいお礼で。良質な金剛石(ダイヤモンド)の原石が取れたって、喜びながらミツキさんが報告してきたぞ。それでメアに似合う装飾を作ったらどうだ?」


「そうでしたわ!? 謝罪よりお礼でしたわ! オーストロ家に名にかけてナイトメアさんに最高級の御品をお届けいたしますわ!」


 なぜオーストロ家は魔力を出しながら気合が入っています……。

 ちょっと適当に言ってみたが本気みたいですな……。

 それはそれでいいが、問題はメアだ。


 宝石に興味があるかわからない。

 まあ、お礼と喜んで受け取るとは思うけど。


「ゼロさん、ありがとうございます! さっそく取りかかりますわ!」


 オーストロ家は俺をあとにした。

 結果的に品質の良いものを売るから、メアの品で腕鳴らしにはちょうどいいか。

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