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880話 身内の墓参り②


 今朝だるそうにしていたのは、呼ぶために力を使ったのかもしれない。

 シャーロさんにとってのサプライズを。


『皆、落ち着いてくれ。俺とチトセの姿は見えない。俺たちをは天国から声を出していると思ってくれ』


「そうなのか……。すまない……2人とも……俺のせいで……」


『バカだな、いまさら悔やむことなのか? 本当に困った兄者だ』


『もう死んだ私たちに謝っても遅いわ。本当に呆れる』


「ぐうの音も出ない……」


『けど、フウマと一緒にいられた人生は幸せだったよ。チヨメも生まれてたくさんの思い出になった。私にとってかけがえのないものよ』


『まあ、許すとまでは言わないが、チトセと里を離れたことは後悔していない。皆には急に離れたことには申し訳ないと思う、それでも大事な人と一緒にいたのは幸せだった』


「それはよかった。2人が幸せだって聞けて安心した」


『だけど、許してはいないからな!』


「そ、それは悪かったって……」


 周囲は笑い声で包まれる。もう昔の嫌なことを笑い話としていじっているのは、許していることだと思う。

 そうでなけでば、2人はみんなの前に来なかっただろう。


「チトセ! 儂に何か言いたいことはないのか!? 儂は儂は……お主がいなくて寂しかったぞ! 戻ってきて顔くらい合わせんか……」


 ライカは涙ながら訴えた。言いたいことはたくさんあるだろうな。


『ごめんね、いぬっころ……。帰るタイミングがなかったの……。本当にごめんなさい……』


「謝って済むもんじゃない……。何百年も待っていたんだぞ……」


『わかっているよ……。私の人生の中で1番の後悔だよ……。ごめんなさい、ライカ……』


「いまさら名で言っても遅いぞ……。そうやっていつもはぐらかす……。どうしようもないやつだ……」


 っと言いながらも、尻尾を振って嬉しそうだった。

 待たされていながらも声が聞けたのは嬉しのは当然だ。


『そんなどうしようもないやつのお願いを聞いて。チヨメのことをこれからもよろしく』


「まったく世話がやけるやつだ……。いいだろう、親子ともども面倒見てやる! 孫もひ孫もなんでも来い!」


 まあ、元からそうだったしな。ライカが断るわけがない。


『ありがとう。それとチヨメ、早く孫の顔を見せてね。お母さん、期待しているから』


「お母さん……そればっかり……。すぐには無理だけど期待して待ってね。お母さんはわかっているでしょ?」


「フフフ、そうね」


 チヨメは久しぶりに声が聞こえて嬉し涙を流す。

 ちなみにそのお相手は誰のことを言っているのですかね……?


「ち、チヨメに男がいるのか!? まだ嫁に行かせるわけには――」


『兄者、チヨメは俺の娘だ。兄者に権利は何一つもない』


『コウマは余計なことはしないでよね。チヨメにも嫌われるわ』


「わ、わかった……」


 再び周りは笑いで包まれる。さすがの長老もチヨメにちょっかいすることは控えるはずだ。


『そろそろお別れだね。レイさん、前にも言ったけど、これからもチヨメとライカをよろしくお願いします』


 やはり、あのときの声はチトセだったか。


『俺からも――チヨメはわからないことが多いのでこれからもよろしくお願いします』


「ああ、任せてくれ。安心して天国で見守ってくれ」


『それじゃあ、みんな、元気でね』


『皆も健康には気をつけてくれよ』


 こうしてチトセとフウマの声が聞こえなくなった。

 2人は今回の件で心残りはなくなったと思う。みんな2人の声を聞けて満足だし、シャーロさんはもう呼ぶことはないだろう。


 こうして墓参りは終わり、里に戻った。


 みんな解散をすると、ライカとチヨメはシャーロさんに問い詰めると――。


「眠い……おやすみ……」


 何も言わずに俺の背中で寝てしまった。

 まあ、結果的にはみんな満足したからいいと思う。


「ところで主よ、前にチサトと話したのか?」


「そうですよ。前にお母さんとつながりがあったのですか?」


 俺にも問い詰めてきました……。

 これはしっかり説明しないとあとが面倒になりそうだ。

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