879話 身内の墓参り①
――翌日。
ハナヨがみんなを起こして、朝食を持ってきた。
まさか大人数分を作ってくれるのは申し訳ない。
しかも山盛りにされたおにぎりに厚焼き玉子、山菜のお浸しを用意してくれた。
大食組が多いからこちらとしてもありがたい。
ただ……、廊下で長老が覗いているのがちょっと……。
気になって食べづらい……。
「コラ! 覗いてないでこっち!」
「やめてくれ、俺はチヨメと一緒に食べたい!」
ハナヨは長老を軽々掴んで離れていく。
とりあえず、助かった。
布団を片づけようとすると、シャーロさんはまだ起き上がらない。
起こそうとすると――。
「ダルい……レイ抱っこ……。朝食いらない……」
まだ寝足りないようだ。というか寝ぼけながら俺の背中に乗っているが……。
仕方ない、このままにしよう。
朝食を食べ終え、チヨメは長老に相談すると――。
「それはありがたい。すまんが、俺意外に連れて行ってもいいか? フウマと仲良かった者も墓参りさせたい」
当然、関わりのある人は絶対に墓参りしたいよな。
「わかりました。行けるようになったら声をかけてください」
昼になり、長老の家の前に数十ほどの人が集まり準備ができた。
空間魔法で島――浜辺に移動する。
長老たち周りを見渡し、初めて見る海に度肝を抜かれる。
近くでのんびりしていたセイレーンたち気づいては集まってくる。
そして――。
「おお! 鬼人族がいっぱいいる! 大勢で連れてきてどうしたの?」
「みんないらっしゃい〜、何もないけどね〜」
俺たちの魔力反応で先王と大妃が向かってくる。
事情を話し、納得した。
森の奥に進み、虹色の花畑の中心にある桜木の下の墓石に移動する。
チヨメが長老に説明すると、近づいて膝をつく。
「フウマ、チトセ……ごめんな……。こんなバカな兄で本当にごめん……」
涙を流して謝る。いろいろと込み上げて後悔しているだろうな。
ほかのみんなは手を合わせる。
これで無事に墓参りができた。
あとは長老たちが落ち着くまで――。
『兄者……兄者……』
『コウマ……しっかりしなさい……』
男の声とチヨメと似ている声が頭の中から聞こえる。もしかして――。
「フウマとチトセか!? どこにいる!?」
長老たちは周りを見渡すが、その声の人の姿はない。
おいおい……このタイミングで干渉させたとしたら……。
「イエーイ……」
そうだと思いました……。シャーロさんはサムズアップして、隠すことはありませんでした。
「チトセなのか!? 声しか聞こえんぞ!?」
「お母さん、お父さん! もう一回返事をして!?」
当然だが、ライカとチヨメもパニックになる。
これはさすがにやり過ぎでは……?




