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877話 長老と母親の関係


 宴はそろそろお開きになるところ、長老は飲みすぎて酔いつぶれてしまった。

 ハナヨが呆れてながら長老を軽々と抱えながら家に入れて戻ってきた。


「ごめんね、だらしないところを見せてしまって」


「お気になさらず。だけど、弟の娘をここまで溺愛するのはどうかなと思う……」


「もちろん、大好きだった弟と初恋だったチトセの娘だもの溺愛しないわけがない」


 チトセが初恋……。何かただならぬ関係がしてきた……。

 よかった……ライカは遠くで離れていて聞こえていなくて……。


「関係が複雑だな……。まさかとチトセとフウマと出ていったのは、長老が何かやらかしたとか……?」


「そのまさかよ。チトセを狙って弟と揉めてたんよ。チトセはフウマが好きで決まっていたけど、夫は認めてなくて諦めなかったの。そのしつこさで2人は離れたと思う」


 ですよね……。そうでなけでば邪魔されない無人島に移住しないよな……。


「これだと長老はかなり後悔してそう……」


「そうだね。いなくなったことがわかると、里の外――山をいくつか越えてまで探したんよ。帰ってきたら服がボロボロで、落ち込んで数カ月は引きこもって鍛冶ができなって周りは困っていたんよ」


 まあ、大事だった2人がいなくなるとそうなるな。長老が悪いのは否めないが。


「よく立ち直れたな」


「それは私が毎日慰めたおかげさ!」


「ということは、ハナヨは長老のことが好きだったのか?」


「やだねー、好きではなかったんよ。私は夫が赤ん坊の頃からかわいがっていただけで、放っておけなかっただけ。だけど、夫は一生懸命慰めた私を好きになって、しょうがなく結ばれたんよ。私が夫のしつこさに根負けしたことになる」


 なるほど、未練たらたらで結婚したわけではないようだ。

 ハナヨって姉さん女房なのか。まあ、言動的にそんな感じはしていたが。


「じゃあ、そのあとは……」


「2人の帰りを待っていたのさ。けど、それは叶わなかった。チヨメが来るまで」


「悲しかっただろうな」


「そうだね。けど、チヨメが2人が幸せに暮らしていたことを話してくれて安心していたのが大きい。夫は2人の幸せだったのは嬉しかったみたいよ」


 自分のせいで不幸になってないか心配と不安はあっただろうな。それも何百年も抱えて。

 ある意味、十字架を背負って生きていた――自分の罪みたいなものだな。


 十分、罪滅ぼしはできたか。


「なるほど、その後のことはだいたい察した。それでチヨメを溺愛したと」


「そういうことだね。何があってもチヨメを優先するみたい。それしか2人に許せないと」


 自分のなかでは2人に許されていないと思っているのか。

 チヨメ的にはかなりはた迷惑だけどな。


 まだ心残りがあるなら、チヨメに相談するか。ライカは……一応言ったほうがいいな……。


 宴が終わり、チヨメとライカに先ほどの話しをして相談すると――、


「儂は反対だ! 一方的な恋をした変態にチトセの墓参りをさせてたまるか!?」


 さすがのライカはダメなようです……。まあ、ライカにはそんな権限はないけどな。

 決めるのはチヨメだ。


「私はいいと思いますよ。兄である叔父さんが墓参りさせるのは当然です」


「チヨメ、早まるな!? あの変態を墓参りさせると調子に乗るぞ!?」


「そんなことはありません。私は叔父さんが縛られている過去を解放させたいです。叔父さんは私がお父さんとお母さんの話をすると寂しい顔をするんですよ。早く楽にさせたほうがいいです」


 長老にそんな一面があったのか。ただのおせっかいかなと思ったが、相談して正解だった。


「それに……、叔父さんがそんな理由で私を溺愛するなら、この件で落ち着くかもしれないし……」


 それはないと思うが……。


「なら儂も賛成しよう! あやつがチヨメにちょっかい出さないなら明日行かせるぞ!」


 信じるのか……。まあ、ライカが賛成してくれるならそれでいいか。 

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