表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/911

86話 納品しに行く


 朝食を食べすぎた……。

 アイシスさん適切な量ではありませんよ……。

 消化するまで居間のソファで一休みする。


 ――2時間後。


 バタバタと足音がしてきてフランカが笑顔で来た――。


「終わったぜ! さっそく、トイレに付けようぜ!」


「できたか、え? 屋敷に付けるのか?」


「当たり前だろう。約束したしな、ダンナが優先だ」

 

「それはありがたい。じゃあ、つけるか」


「おうよ! 今持ってくるからな!」


 フランカは魔石が付いた温水洗浄便座の便器を持って、それをトイレで付け替えた。 


「これで衛生面は問題ないぜ!」


「ありがとう。これでほとんど前世と同じ生活が送れるよ」 


「それは良かったぜ! 不便だったらなんでも言ってくれよ! アタイが作るからさ!」


「そのときは頼んだよ」


「ああ、任せてくれ!」


 フランカが来て何かと便利になって本当に助かる。

 あとでいい酒を買ってあげよう。


「それじゃあ領主様に納品しに行くとするか。ダンナ、持つの頼めるか?」


「わかった」


 屋敷を出ようとすると。


「私も行きます」


「私も行く!」


 アイシスと精霊もついていくようになった。

 フランカの家に置いてある便器を無限収納に入れてミランダさんの屋敷に向かう――。


「「「――――おかえりなさいませ! ぼっちゃま、お姉様――――!」」」


 はい、いつものパターンです……。

 慌ててミランドさんが屋敷から出て来た。


「できたんだね!」


「ああ、約束の品を持ってきたぜ!」


「よし! セバスチャン、交換の準備だ!」


「かしこまりました」


 そんなに楽しみにしていたのか……。

 無限収納から便器を出すと執事とメイドたちがパチパチと拍手をする。


「これが賢者の技術が……」

「すごい……これは世界を救える……」

「賢者の発想はすごいわ……」


 みんな大袈裟です……。


 執事たちが交換をすると――みんなトイレの前で緊張した様子でいる……。


「では……行ってくる……」


「「――――ご健闘を祈ります!」」


 いや、戦いに行くわけじゃないから……。

 ミランドさんはトイレに入って――雄叫びがあがる……。


「――――ウオォォォォ!?」


「「「旦那様!?」」」


 何この茶番……。


『アハハハハハハハ! みんな大袈裟すぎておもしろい!』


 エフィナはツボにハマったようです。


「フハハハハハ! 素晴らしい! 実に素晴らしいぞ!」


 ミランドさん清々しい顔で出てくる。


「「「お疲れ様です!」」」


「みんな、ありがとう! これは素晴らしい! こんなに気持ちいとは思わなかった! 賢者の考えることは本当に素晴らしい! この技術に触れて賢者に近づいたような気がする!」


 いいえ、そんなことはありません……。   


『アハハハハハ! 近づいたとか何それ! おもしろい!』


 だいぶツボってますね……。


「ありがとう、フランカ君。感謝するよ!」


「喜んでもらって良かったぜ! 不備があれば駆けつけるからよろしくな!」


「おお、それは助かる! いや~賢者の弟子はみんな私に刺激を与えてくれるから本当に素晴らしいよ!」


 高評価で何よりです……。

 こうしてミランドさんの納品は終わった。


 残りはミツキさん達の納品だ。

 フランカは帰宅後すぐさま工房に戻って作業に取り掛かる。

 俺も忙しいフランカが食べやすい食事を提供する。 

 

 ――3日後。


「ダンナできたぜ! 早くミツキのダンナのとこに行こうぜ!」


「わかった、今すぐ行くよ」


「私も行きます」


「私も行く!」


 やっぱりみんなついてい来るのか……。

 完成したミスリルの武器を収納してミツキさんの商館へ向かう――。


「みなさん、待っていました! 今日はどうしましたか?」


 ミツキさんは笑顔で迎えてくれる。

 いつもながら笑顔が眩しいです……。


「微笑ましいな」

「微笑ましいですわ」


 なぜかウィロウさんとグラシアは頷いている。


「今日は頼まれた品を持ってきました。受け取ってください」


「もう作ったのですか!? ありがとうございます!」


 ミスリルの短剣、槍、棍を渡し納品は完了した。

 ミツキさんは喜んで飛び跳ねて、ウィロウさんとグラシアは武器を見てうっとりしています……。


「わ~い! これで狩りが楽になってみんな大喜びするぞ~! ありがとうございますフランカさん!」


「まさか私がミスリルの槍を使えるとは……ありがとなフランカ!」

 

「美しいですわ……この輝き……ずっと見とれてしまいますわ……ありがとうございますフランカさん」


 こちらも高評価でした……。


「では明日、故郷に持って行きます! 2週間以上は商館にいませんのでよろしくお願いします!」 


 もう持っていくのか……行動が早いですね……。


「そうか、それじゃあ、使った感想をよろしく頼むぜ!」    


「はい! 聞いてきます!」


 やっぱり使用感とか気になるよな。

 

「私は道中の魔物試してみるか!」

「わたくしも威力を試してみたいですわ」


 2人もやる気みたいでした……。

 そうなるとまた料理を提供しますか。


「また作り置きしますので何か食べたい料理とかありますか?」


「いいのですか!? いつもありがとうございます! またカレーをお願いします!

レイさんが作るカレーが1番好きです!」


 子供のような笑顔でこちらを見てきます……尊い……。


『優しいね! そして母性が安定していてボクは安心だよ!』


 何が安心なんだかよくわからないです……。

 ミツキさんの要望でカレー、そのほか――親子丼、うどんなど作った。


「今日はありがとうございました! また来てください!」


 こうして全ての納品が終わった。

 屋敷に戻り――フランカは一息ついた。


「やっと終わった~これでひとまずゆっくりできるぜ~」


「お疲れ様」


「それじゃあ、風呂に入に入るか! ダンナ、一緒に入ろうぜ!」


「えっ、俺も?」


「そうだぞ! 納品後はダンナと入るのは当たり前だぞ! さあ、行こうぜ!」


 当たり前なのかよ!

 腕を掴まれ強引に浴室に行かされる……。


 フランカと一緒に風呂に入り、ゆっくりしていた。

 1時間くらい経って出ようとするが――。


「まだダメだぞ!」


 無理でした……。

 結局3時間くらい風呂にいました……。


『美少女と長風呂って贅沢だね~』


 エフィナさん茶化すんじゃあありませんよ……確かに贅沢だけど……。

 長風呂だったせいかアイシスが様子を見に来て水を持ってきた。


「はぁ~いい湯だったぜ! 風呂の後は酒だ!」


 夕食の時間になったことだし食堂に向かう――。


「アイシス、酒を頼むぜ! あとつまみも!」


「わかりました。おつまみはこれですよ」


 アイシスは果実酒とボアの角煮を出した。


「ありがとな! ――――納品後の酒は格別だぜ!」


 ドンドン酒を飲んでいますね……このペースだとすぐ酔いそうですな……。

 そうだ。あれでも出すか。


「フランカこれ食べるか?」

 

「ん、何をだ? こ、これは……生ハムじゃないか!?」 


 生ハムを無限収納から出した。

 これはボア祭が終わった後に作り始めて完成したやつだ。

 無限収納のおかげで調整しながら楽にできた。


「それで食べるか?」


「ああ、もちろん! こんな美味しいの食べないのはもったいないぜ!」


「アイシスも食べるか?」


「はい、私は生ハムメロンにして食べます」


 通な食べ方をしますね。

 アイシスが生ハムを薄くスライスをしてくれて食べる……うん、塩加減も良くしっとりとして美味しい仕上がりだ。


「これは美味しいぜ! 酒にも相性が良く毎日つまみとして食べたいぜ!」


「ああ……生ハムにメロン……甘じょっぱくて美味しいです……これはデザートでもいけます……」


 これはもっと作った方がいいな。

 時間がある時大量に仕込んでおこう。


「みんな食べているけどそれ美味しいの?」

 

 精霊も気になるようです。


「美味しいに決まっているぜ! この世界では珍しい食品だ!」


「ふ~ん。綺麗な色だし食べてみる!」


 色で選んでいるのか……。


「そのままで食べるとしょっぱいからメロンと一緒に食べた方がいいよ」


 さすがにこれも刺激が強いからそのままだと辛いトラウマがよぎるだろうな。


「マスターが言うのだったらそうするよ……」


 精霊はメロンを頬張り――生ハムを食べた。

 あれ? 震えている……口に合わなかったか……。  

 

「これ、すごく美味しい!? 1番好きかもしれない!」


 喜んで飛び回っている……意外だな、香辛料を結構使ったがこれは大丈夫みたいだ。

 まあ、食べて辛くないから平気か。 


「もっと食べたい!」


「わかりました。一切れ用意しますがいいですか?」


「うん!」


 アイシスが用意した生ハムメロンを口大きく頬張りながら食べていき――あっという間になくなった。


「美味しいかった! これ毎日食べたい!」


 すっかり虜になってしまったようです。


「ハハハ、さすがに毎日だとすぐになくなるから、たまにね」


「そうなんだ……もっと食べたいのに……」

 

 珍しいな、そんなに食事に興味がなかったのにこんなに気に入るとは初めてだ。


「わかった。明日から多めに作るから楽しみにしといて。作る期間は長いけど在庫の分も考えると間に合うかもしれない」


「やった! ありがとうマスター!」


「私も気に入りましたのでお手伝いします」


「やったぜ! これから生ハムが多めに食べられるなんて幸せだぜ!」


 明日やることも決まり、ゆっくりと生ハムでも作りますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ