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872話 鬼の隠れ里


 ――上空を飛んで2時間が経つ。


「もうすぐで着きますよ」


 周囲は山で広がり、少し霧がある街から遠く離れている。

 ウルマが住んでいたとこよりもかなり険しい道で人が到底住めるところではない。


 霧が晴れ、山に囲まれた場所に緩やかに傾斜している地形に建物が見えて煙が上がっている。


 これはハーピーでも行かない場所だ。こんな山奥なら誰も見つけられない。

 よくチヨメは見つけられたな。


 さすがにシルセスを見たら大混乱になるから近場――障害物ないところに降りて歩くことにした。


 茂みの中に入り、チヨメが先導して進むと――槍を持って里の外を見回りらしきをしている身長2mはある大柄で、甚平服を着た後頭部に2本角がある鬼人族の男が俺たちに気づいて慌てて槍を構える。


「久しぶりです! ハザマさん!」


「チヨメなのか!? びっくりしたぞ! また来たんだな!」 


 チヨメだと気づくと槍を降ろして近づく。


「はい、約束通り来ました。ちょっと大人数ですけど」


「これはたまげたな。ということは、母親の故郷に行けたんだな?」


「はい、いろいろありましたが、無事に行けました」


「良かったな。立ち話もあれだ、さぁさぁ、中に入ってくれ! お連れの人も入った入った!」


 俺たちを警戒せずに里に案内をしてくれた。

 チヨメの言う通り歓迎してくれる。


「今日は霧が濃くなくてよかったな! こんな大勢で大変だったろ?」


「いえ、竜に乗って空を飛んできましたのでそこまでは」


「竜に? ハハハハハ! 冗談がよすぎるな! そんな大型の魔物を手懐けるのはわけがない!」


 ハザマは冗談だと思い高笑いする。

 普通の反応だよな。


「本当ですが?」


 シルセスは再び元の姿になると――ハザマは驚いて腰を抜かして尻もちをつく。


 いや、見せなくていいだろう……。余計にややこしくなる。


 そのあとに、チヨメが説明をして納得した。


「まさか美人さんが竜だったとは……。外の世界は違うな……」


「いえ……シルセスさんは男ですけど……」


「ん? 聞こえなかったがどうした?」


「なんでもないです。この通り仲間なので、里の中に入っていいですよね?」


 小言で言ったが、面倒くさくなるから説明しない。そのほうがいいけど。


「まあ、大丈夫だろう。俺たちに害をあたえるわけではないだろ? そこは長老に説明してくれ」


「ありがとうございます」


「礼はいいから、さぁ、着いたぞ――みんなチヨメが帰ってきたぞ!」


 茂みから出ると――周囲は一面作物が実っている畑に入り、ハザマが大声で叫ぶと、次々と鬼人たちが駆け寄ってくる。


 みんなチヨメに「おかえりなさい」と言って笑顔で迎える。


「ただいま、みんな……」


 チヨメは涙を流して感極まってしまう。 

 ここの人に良くしてもらったのが物語っている。


 これからはいつでも会えるから心配しなくて大丈夫だ。


 それはいいのだが――。


「チヨメェェェェ――――! 会いたかったぞぉぉぉぉ!」


 すごい勢いで駆けつけてきたのは――180cmくらいある、額には一本角のある。30代くらいの長い茶色い髪を一本に結んだ男が、手に持っていた大鎚を放り投げてチヨメに抱きついた。


「えっ!? 叔父さん、どうしたの!? こんな性格じゃないのに!?」


 やはり叔父だったか……。けど、チヨメはかなり困惑していた。


「長老は、チヨメがいなくなって寂しかったんだよ。チヨメを弟と思い重なったみたいだ」


 っと、ハザマが言う。どうやらフラッシュバックしたようですね。


「えぇ……。叔父さん……もう離れてよ……」


「嫌だ! チヨメはもう俺の娘同然だ! 抱擁するのは当たり前だ!」


 ちょっと大丈夫かこの叔父は……?

 かなり息が荒く興奮しているぞ……。


「儂のチヨメ……」


 ライカさんは毛を逆だってバチバチと身体に電流が流れています……。

 あっ、これ以上やるとライカも暴走しそうだ。

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