868話 捜索する大精霊
――翌日。
メアは偵察に行くのがだ、リフィリアも一緒に行く。
「マスター、私……どうしても行きたいの……。今行かないと当分は行けないと思って……」
精霊のことで頭がいっぱいのようだ。昨日、ズイール出身の者に精霊の手がかりを聞いた――どうやらサリチーヌは精霊に関してのおとぎ話を知っていた。
秘境に暮らしているエルフと守り神して祀っている精霊と恋をする物語を。
思い当たる節があり、昔秘境――エルフだけの村トピアに暮らしていたファルファに聞いたところ――。
「はい、崇めていた精霊と禁断の恋に落ちて駆け落ちしたことは村の言い伝えであります。その精霊がどこに来たのかも知っていますよ」
っと、思わぬところで大収穫があった。本当のようでした……。
どこにある聞くと――時計産業であるピランセの北にトピアがあり、3つの山を越えたところに精霊たちの住処があるらしい。
確かにファルファが住んでいた村は帝国軍に支配されていたし、あり得る話だ。
リフィリアが行きたくなるのもわかる。
「行ってもいいが、危なかったらすぐに帰ってくること。それさえ守ればいい」
「うん、そこは気をつけるよ」
本当なら誰か連れて一緒に行動させるのがいいが、リフィリアのことだ、自分のペースで探してしまうし、1人のほうがいいだろうな。
「住処を見つけたら俺も連れてってくれないか?」
「うん、見つけたらすぐ戻るよ。行ってくるね」
メアとリフィリアは空間魔法で移動する。
さて、報告がくるまで待機だ。
――十数分後。
屋敷でのんびりしよ思ったら――。
『皆さん……ご報告があります……。隣街に行ったのですが……人の姿がありません……。その先の街も誰もいないです……』
それはおかしいぞ……。帝国軍がやれたことはすぐ情報が入るわけがない。事前に放棄するとは思えない。
『シャルさん、聞こえますか? 一瞬だけでいいので勇者召喚の結界を中断をお願いします。メアが帝都に行って確認――』
『レイちゃん大変。ズイール大陸が大変なことになっているの。早く確認して』
シャルさんにお願いしようとしたら慌てて返ってきた。
『確認って……、メアどうなっているんだ?』
『主様……、奥のほうが浮いています……』
『浮いている?』
『メア、一旦戻ってボクたちを連れってて!』
『わかりました……』
「レイ、シャーロに許可もらったからレイも一緒に行くよ!」
「だけど……アタシもついていく……」
限定的だが、許可もらったのは助かる。この目で確かめたい。
待てよ、シャーロさんは俺の領地周辺でしか動けないはずじゃ……。
まさか……いや、今考えている場合ではない。
どうなっているか確認しないと。
メアが戻ってきてすぐさま空間魔法で移動する――。
移動したのはピランセだ。やけに薄暗くて……おい……笑えないぞ……。
上を見上げると、先にある地――広範囲の大地がゆっくり上がっていく……。
浮いているってそういうことか……。
「こんな大きな大地を浮かせるのはありえないよ……。グリュム……一部を空中大陸にする気なの……?」
エフィナでさえ口を開けて驚いている。
「どういう原理で浮いているの……? 魔法……? 邪石……? まったくわからない……」
シャーロさんでもわからないのか。
なぜ浮いているかはあとにして、問題なのは空間魔法で行けなくなった。
空間魔法はあくまで指定された位置でしか移動できない。
かなり厄介な状況になった。
もう飛んでいくしかなさそうだ。
『マスター……ごめん……私……夕方には戻れそうになさそう……』
『ちょっと待て、まさか……、浮いている大地にいるのか……?』
『うん……』
嘘だろ……リフィリアが捜索してるところも浮いているのか……。




