865話 勇者たちの帰還
念話でアイシスと話しをしたところ、みんな無事で戦争が終わった。
ヨシマツの件も解決はした。
ただ、残念な知らせも多数報告があった。
後処理はソウタとアンバーたちがやってくれてアイシスたちはすぐに戻ってくるようだ。
念話から数十分後にはみんな戻ってきた。
その中に、おどおどしている小柄の女の子――キャンメラに乗っ取られたメイと報告で【魅了】のスキルで操られたイケメン3人――東山輝、和田聖也、中尾陽翔も一緒だ。
メアはこの子らをエメロッテに状態を大至急見せてもらうように頼まれた。
すぐにエメロッテが駆けつけると、4人をその場で勝手に服を脱がせて吟味する。
特に下半身を。
『イケメンのわりには、下のものはお粗末ねー。男として残念ー』
なぜかシャルさんとつながっているんだが……。
まあ、気になって見ているのは仕方ない。
「うん、4人とも重度の感染症だけど、魔法で治せるし大したことはないよ〜」
そう言って「龍脈」で4人の身体を治した。やはりキャンメラがやりたい放題していたか。しかも、お気に入りだったとはいえ、ずさんな管理だ。
4人は首を傾げてさっぱりわからないようだ。
報告ではこれまでの記憶がないと言っていた。
事実を話してもつらいだけだ。
「お前たち、知らないと思うが、江ノ上の身体を乗っ取っていた奴が、イケメンを操ってイチャイチャしていたんだよ。それも病気になるまで」
ヨシマツはベラベラと話してしまった。
口が軽いにほどがある……。
「委員長何言ってんのよ!? 空気を読みなさいよ!?」
「だって、このまま隠しても後味が悪いだけだ。そのうちバレてしまうから今言ったほうがいいだろ?」
エミカは慌てて言うが、ヨシマツは悪気がなく言っていた。
「い、いやぁぁぁぁぁぁ!」
察したのかメイは顔が真っ青になり、しゃがんで頭を抱えて叫んでしまう。
イケメン3人もかなり焦っているようだ。
女性陣はメイを背中を擦ってヨシマツを睨みつける。
「本当のことだからいいんじゃないか! ほらイケメン3人は責任があるぞ! しっかり責任は取れよ」
完全に投げやりだな。こんなことで解決――。
「3人とも……責任取ってね……。私……、3人と結婚する……」
メイは頬赤くし、つぶらな瞳でイケメン3人に言う。
この子も何を言っているんだ……。天然なのか……?
当然それは違うと女性陣は説得する。
「フフフフフ……意外に魔性の女ですこと……。これは楽しみが増えました……」
メアさん、面白がっているが、最終的に俺に回ってくるので笑えません……。
「とにかく、お疲れさん。いろいろあったが、ゆっくり休んでくれ」
「ありがとうございます。ですが、俺とケイトはこれから修行しないといけません」
「どうしてだ? もうこの件は終わったぞ。あとは俺たちの問題だ」
「まだ終わってません……。帝国軍――いえ、グリュムを倒すまで俺たちの戦いは終わりません。亡くなったクラスメイトの仇は取らないといけないです。だからこれからも参加させてください」
ヨシマツは責任があるかのように言う。救えなかった者に対するケジメか?
「そう言ったらキリがないぞ。今まで大目に見たが次は違う。今戦ってきた中で比ではなく、命の保証は絶対ない。もうゆっくり休んで自分の未来を決めてくれ」
「未来はグリュムを倒してからです。俺たちはまだ時間があるので考えるのはそのあとです」
またか……。いい加減おとなしくなってほしいところだ……。
「レイ、気が済むまでやらせろ。それで強くなったか判断して連れていけばいい」
「そうだ、私たちに説得するように言っても無駄だからな。好きにさせてくれ」
アウロさんとウルマが来て、呆れながら言う。
この2人はもう諦めて言っている。
「はぁ……、わかった。ただし、同行できるか俺が判断する。それでいいな?」
「「はい!」」
返事だけはいいな……。
「じゃあ、さっそく修行を――」
「ダメだ。こんなボロボロなら数日は休め」
「師匠の命令だ。心身ともに休んでからにしろ」
「「うっ……」」
当たり前だ。こんなにボロボロになったあとに修行とかバカげている。
とりあえず2人の指示に従ってくれたのはよしとする。
仕方ない……、様子を見て判断するか。




