85話 競い合った後は結局こうなる……
――ギルドに帰宅。
受付で報告に行くと朝の職員と代わってリンナさんが担当をしていた。
「おかえりなさい。あら? アイシスとフランカ納得いかない感じね。何かあったの?」
いつもながら鋭いですな……。
「引き分けだった……」
「引き分けです……」
「引き分け?」
「サンダーバードをいくつ狩れるか勝負していたのですよ」
「あの厄介な魔物で競い合うなんてすごいわね……賢者の弟子って考えることは違うわ……どのくらい狩ったの?」
「16体だ……」
「16体です……」
「そんなにいたの!? 確認するからこっちに来て!」
解体場に行き――全部出した。
「アーマーベアーもいたのね! こんなにいたなんてギルド長に報告しないといけないわ……」
確かにこの数はザインさんに報告しないといけない。
そこの場所の警戒レベルも上がるかもしれないな。
「お疲れ様。依頼は成功よ。素材はどうする?」
「悪いが、アタイが使うからまたここで解体するがいいか?」
「いいわよ。じゃあ、私も手伝おうかしら」
「それは助かるがいいのか? 今回は数が多いぞ?」
「この数なら慣れてるわよ。私たち親友でしょ? 気軽に頼ってもいいわよ」
「ああ、そうだな! よろしく頼むぜ!」
フランカとリンナさんは握手をする……恒例になっていますね……。
2人は解体を始めて――ほかはゆっくりと見ていた。
1時間半ぐらいで終わった……相変わらず早いです……。
「サンダーバードとアーマーベアーのお肉いいな~私も食べたいな~」
リンナさんがおねだりするってことは美味しいみたいだな。
数も多いしおすそ分けするか。
「だったらダンナの屋敷でアイシスが料理するから今夜来るか?」
「いいの!? 今日は早めに仕事終わるからちょうどよかった!」
勝手に決めてますね……まあ、俺はいいけど。
「だそうだ。アイシスいいか?」
「問題ありません。ですがお好みで調理しますがよろしいでしょうか?」
「全然いいわよ! アイシスの料理は全部美味しいから!」
「やった! リンナちゃんが屋敷に来る!」
精霊は大喜びでリンナさんの周りを回っている。
「ええ、お邪魔するからよろしくね!」
そうと決まり、素材を無限収納に入れて、報酬金貨2枚を受け取り屋敷に戻った。
『まだ夕食には時間もあるからお風呂に入りなよ!』
「そうだな、雨で髪が濡れているし入るか」
それを言うとアイシスとフランカが腕を掴んでくる。
「それでは今すぐ入りましょう」
「そうと決まればリンナ嬢が来る前に早く入ろうぜ!」
「ちょ――待って――」
「私も入る!」
少々強引に浴室に行かされる……。
って、みんなで俺を脱がすんじゃない!?
そこは1人でやるぞ!?
お湯に浸るが……みなさん俺に密着しすぎです……。
「あの……もう少し離れた方がいいのでは……」
「あと10分はこのままでにさせてください」
「何言っていんだ。いつものことだから気にするな」
「私はここがいいの!」
無理でした……。
アイシスは食事の準備をするから先にあがった。
俺も手伝うよと言うと。
「大丈夫です。ご主人様はゆっくりと休んでください」
いいのかよ……なんか申し訳ない……。
「まだ時間があるからこのままでいようぜ!」
フランカに抑えられたまま1時間風呂にいました……。
風呂をあがり食堂でのんびりしていたらリンナさんが来た。
「お邪魔するわよ! 夕食が楽しみだわ~」
タダ飯は最高ですよね。
「お待たせいたしました。少し濃いめですがご了承ください」
アイシスが作ったのはサンダーバードの肉でから揚げ、油淋鶏。
アーマーベアーの肉でステーキ、果実酒煮込みである。
短時間でよくできましたね……。
「全部美味しいわ! さすがアイシス!」
「ありがとうございます」
サンダーバードの肉は少しピリピリして山椒を使っている感じでクセになる美味しさだった。
なぜか俺が食べるアーマーベアーのステーキはかなり量が多く、ニンニクも大量に入っている……。
「なんか量が多いような……」
「ご主人様は育ち盛りなので多めにしました」
「そうだぞダンナ、しっかり身体づくりしないといけないぞ!」
「若いのだからいっぱい食べないとダメよ」
『レイ、こんな美味しいの残しちゃいけないよ!』
「マスターこんなに食べるなんてすごい!」
あっ、はい……わかりました……うん、嚙みごたえがあって肉の味が濃くて美味しかったです。
「夕食ありがとうね! 明日の仕事も頑張れるわ! それじゃあね!」
リンナさんは機嫌良く帰りました。
さて、適当にくつろいだら寝るとしますか。
寝る時間になり、寝室に行こうとするとみんなついてくる……。
中に入ると、アイシスとフランカが服を脱ぎ始める……。
「あの……これはいったい……」
『引き分けだから2人にご褒美をあげるに決まっているでしょ!』
「なんだそれ!? 話が違うぞ!?」
「今日はよろしくお願いします。ご主人様、準備はできています」
「ダンナと2人でイチャイチャしたかったが今回はしょうがない。頑張ってくれよ」
フランカに背後を取られ――がっしりと両脇を掴まれて逃げられませんでした……。
「わかったよ……やるよ……けど、精霊は刺激が強いから見ないでくれないか……?」
「私は……興味があるから……見る……」
そうかそうか…………見るのかよ!?
『じゃあ、レイ頑張ってね!』
夜はアイシスとフランカに攻められて負けてしまいました……。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
本当の賢者になりそうだ……。
アイシスは服を着て上機嫌で朝食を作りに行き――フランカは俺の横で裸のまま笑顔でいる……。
精霊は……顔隠しながらチラチラと見てくる……。
「ダンナ、頑張ったな! 今度は2人っきりでやろうな!」
「ああ……そうしてほしいよ……」
2人一緒に要望を応えるのはさすがに厳しいです……。
そして朝食は予想していましたが量が多い……。
アーマーベアーの生姜焼きがどっさりと置いてある……。
「あの……肉の量が多すぎる……」
「適切な量でございます。これくらい食べませんと体力が持ちませんよ」
「ダンナ、無理してでも食べないと体が持たないぜ!」
『レイならこれくらい余裕でしょ!』
「頑張れマスター!」
あっ、はい……これ食べて今日はゆっくり休みますよ……。




