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863話 勇者との約束㉙


 リフィリアたちはハヌヤではなく、この身体の大精霊だとわかった。


「あなた、どこまでわかる?」


 リフィリアが問いかけると急に涙を流す。


「無事だったのね……。よかった……」


 大精霊はリフィリアたちを見て自分の仲間だと思っていた。


「残念だけど、あなたと暮らしていた精霊ではないよ」


「えっ……うそ……、じゃあみんなは……?」


「それがわからないから聞いているの。何があったか教えて」


「わかったわ……」


 大精霊は涙を流しながら淡々と答えた。


 大精霊は自然に溢れる場所――人も魔物もいないところで無数の精霊たちと暮らしていた。

 だが、帝国軍が来たことによって大きく変動する――周囲の木々は燃やされ、湖は濁され、大地が枯れてしまった。


 大精霊は精霊たちと魔法で軍の進行を止めようしたが、歯が立たなかった。

 精霊が魔力を過剰に使いすぎて消えて亡くなってくる者が多くなり、大精霊は精霊たちを逃すために1人で帝国軍に立ち向かったが、ノンダリに捕まり抵抗していたが、その後まったくわからないと言う。


 大精霊の住処はどこにあるか聞いても外に出たこともなくわかるはずがなかった。


「それじゃあ……、住処に返すには難しそうね……」


「みんな無事だといいのだけど……。あななたたちが私を助けたのはわかる。けど……違和感があるの……何者かにつながっているのが……」


「よく聞いてねそれは――」


 リフィリアはこれまで起きたことを話すと――大精霊は真っ青になって頭を抱える。


「私がエルフと契約……い、いや……」


 勝手に契約されたことにかなり拒絶をしていた。

 周囲の地面は揺れて地響き鳴る。


「もう大丈夫よ。契約した奴はもう亡くなって破棄できる状態よ。だから落ち着いて」


「じゃあ、まだ感覚はあるのはなに……? いやよ……」


「いやなのはわかるよ。だけど、まだあなたの中にハヌヤの魂がある。乗っ取られるから気をしっかりして」


 不安になるとハヌヤの魂が大きくなっている。

 これ以上不安にさせるとまたハヌヤが出てくる。


「な、なんで私がこんな目に遭わないといけないの……。みんなと楽しく暮らしていただけなのに……。こんなのあまりよ……」


「だから気をしっかり。ねえソウタ、本当にあのド変態を倒したの? 全然つながっているままだけど」


「そんなはずはない。邪石を破壊して身体はボロボロなはず。あいつの魔力だって感じないぞ。もう死んでもおかしくはな……い……」


 ソウタはスールのほうに向くと、黒い靄を纏った人型がこちらに向かってくる。


「どういうことだ……。あれはド変態なのか……? 魔力も何も感じないぞ……」


「考えるのはあとよ。魔法で――」



「――――キエェェェェェェ!」


 リフィリアは魔法を発動させようとした瞬間に、スールは奇声を上げた。

 まだ遠くにいるはずなのに、リフィリアたちが耳を塞ぐほどの騒音だ。


「ハヌヤハヌヤハヌヤハヌヤァァァァ!」


 スールはハヌヤしか連呼しない。


「や、やめて……」


「気をしっかり! ハヌヤに負けないで!」


 大精霊の中にいるハヌヤの魂が大きくなり――大精霊の魂が飲み込まれる。


「い、いやぁぁぁぁぁぁ――――!」


 大精霊は悲鳴を上げると、不気味な顔をしてスールに向かう。


「そ、そんな……あの子魂が消えた……」


 大精霊の魂は完全に消滅し、ハヌヤのものになってしまった。


「スール様、私はここにいます!」


「ハヌヤハヌヤハヌヤ!」


「はい、スール様のそばにいますよ!」


「お前は精霊王の命令を無視した……。王の命により、お前は用済みだ……。私の魔力になってもらう――」


「えっ? 何をするのですスール様!? 子づくりは帰ってから――――ギャアァァァァ!?」


 ハヌヤは、黒い靄――スールの中に取り込まれていき、消滅した。


 そしてスールの身体は黒い靄が消え、肌は黄色になり。頭は2本の触覚が生え、蛾のような枯葉模様の羽が生えて膨大な魔力溢れ出す。


「ヒャヒャヒャヒャ! これが真の精霊王の姿だ!」


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