862話 勇者との約束㉘
大津波が收まるとスールとハヌヤは別々に離れてしまった。
ソウタはスール、リフィリアと精霊組はハヌヤに向かう。
「ゴホゴホ……ひ、卑怯だぞ洗脳者!? 私が泳ぐのが苦手なんだぞ!?」
「そうか水が苦手なのか。たっぷり堪能してくれ――――バブルボム!」
「ひぃ!? いつのまに――――ゴボボボボボボブホォォォォ!?」
スールはいつもながらいちゃもんつけていたが、すでにソウタが近づいていたことに気づかなかった。
ソウタはスール身体に触れると――水の球体に包まれて中で爆発をする。
スールは倒れて、身体をピクピクして痙攣していた。
「スール様!? ど、どういうことだ!? 羽が動かなくて飛べないぞ!?」
ハヌヤは羽が濡れて飛ぶことができなくなった。本人はなぜ飛べないのか理解していない。
「いい加減にして! これ以上はこの子の身体を使うのは許さない!」
「なぜ大精霊がいる!? まさかノンダリ大将がやられたのか!?」
「そうだよ。もう諦めて」
「黙れ愚か者! キサマらがいなければスール様と熱い日々を過ごしていたんだぞ! なのにスール様が……ああもうムカつく! ここで死ぬがいい――」
「言いがかりね――――アンチマジック!」
リフィリアは無魔法を使いハヌヤの魔法発動を無効化させる。
ハヌヤは魔法が発動しなくかなり焦っている。
「ど、どういうことだ!? キサマ何をした!?」
「教えない。魔法が使えない、飛ぶことができない、精霊としては致命的よ。それでも諦めないの?」
「あ"あ"あ"、ああああああああ――――!」
ハヌヤは何度も魔法発動を試みるが、心が折れたのか発狂して膝をついて下を向いた。 もうどうすることもできなくなった。
「ハヌヤ……、早く……」
スールはまたハヌヤに助けを求めている。助けてくれると思い、期待していた。
「あいつは絶望しているぞ。本当に他力だな」
「な、なんだって!? ハヌヤ、早く来てください!」
急に起き上がりハヌヤを確認すると、真っ青になり慌てて逃げ出す。
「お、王に免じて今日はこのくらいにします! 洗脳者、覚えてろよ!」
「お前、もう少し学習しろよ……。しっかり罪を償えよ――」
「――――ヒィィィィ!?」
「――――フリアティク・エクスプロージョン!」
「――――ギャアァァァァ!?」
剣でスールの身体に切り込みを入れると、水蒸気爆発をして吹っ飛んでいく。
その衝撃で邪石が破壊され白目を向いて倒れた。
「本当に情けない奴だ。悪く思うなよ」
ソウタはいろいろと思い返しながら、呆れている。
無様な終わりだと。
邪石を破壊したのを確認し、剣を収めた。灰になることが確定したからこれ以上戦うのは無意味だと。これもソウタの情けである。
リフィリアのところに向かい合流すると、ハヌヤは微動だにせず、目が死んでいた。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"、ああああああ――――!」
また発狂をして天を仰ぐ。
「こいつ大丈夫か? 早くレイの元に――」
「そうしたいけど、もう少し様子を見させて、この子の魂が大きくなっている」
リフィリアはハヌヤが心が折れたときに、大精霊の魂に変化が起きているわかった――ハヌヤの魂に抵抗していると。
「キエェ、キェェ、クワァァァァ――――!」
また発狂すると、白目を向いて気絶した。そして大精霊の魂がハヌヤの魂より大きくなり――。
「はぁ、はぁ……わ、私はいったい……」
目を覚まし、かなりの汗を出してリフィリアたちを見る。




