861話 勇者との約束㉗
ソウタと精霊たちは互いに情報確認をするだけだった。
『――問題ない。俺の考えが実行できる。ブリーゼ頼んだ』
『お任せください!』
ブリーゼは周囲に強風を発生させる。
「無駄だ、お前が魔法を使える体制ではない。これくらいが限度だ」
「自称精霊王が暑苦しくて風で冷やしているだけです」
「おお、愛しの精霊よ。王に敬意を表すなんて健気だ。決めた――最初に子づくりするのはあなたです」
「気持ち悪いので却下します! ソウタ様いいですよ――」
「「えっ?」」
ソウタはゆっくり立ち上がると、風を纏った剣を構えている。
「洗脳者、いつの間に!?」
「チッ……やはり殺しておけばよかった――」
2人が気づいたころには準備はできていた。
「――――タービュランス!」
「「――――グアァァァァ!?」」
剣を思いっきり剣を振ると人を軽々と吹き飛ぶほどの風をスールたちに放つと――。
ブリーゼが発生させた風とぶつかり不規則な風――乱気流が発生する。
周りは空高く吹き飛んでバラバラに分かれる。
「しまった!?」
「ハヌヤ助けてください!?」
スールは遠くにいるハヌヤに助けを求めるが、左右の風に揺さぶられて身動きがとれなかった。
そして集中ができなかったのか捕縛魔法が消えて精霊たちが解放される。
乱気流が消えると精霊たちはソウタに向かい抱きつく。
「心配もさせてしまったな」
「本当よ!」
「もう離れない……」
「本当によかったです!」
「スール様!?」
「ハヌヤ――――ブエェェェ!?」
ハヌヤは必死に回転しながら降下しているスールに近づこうとするが、間にあうことができず地面に叩きつけられる。
「どうしてですか……ハヌヤ……。大精霊になったのに……飛ぶのが遅いです……」
「しょうがないですよ! この身体思うように動かないのです!」
ハヌヤは言い訳をする。それもそのはず、元は自分の身体ではなく飛ぶのに慣れていなく、焦るとコントロールが効かなくなる。
スールは無理を言っている。
「あいつらが揉めているチャンスだ」
「うん……―――――タイダルウェーブ……」
「「ゴボボボボボボボボ――」」
ティアは、水魔法で大津波を発生させ、スールたちを飲み込む。
その隙にソウタはアイテムボックスからポーションを取り出して傷を回復させる。
「みんな大丈夫?」
ノンダリを倒したリフィリアは合流をする。
「面食らったが大丈夫だ」
「それならいいけど、早くド変態を倒さないといけない。あの子の救わないと……」
リフィリアは大精霊の魂があとわずかで消えると察知している。
救えるのなら救って早くレイに見せて、ハヌヤの魂を引き離そうと考えている。
「ああ、わかった。さぁ、反撃開始だ――」




