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860話 勇者との約束㉖


 精霊たちは大声で叫ぶが、起き上がることがなかった。


「デシャシャシャシャ! やっと洗脳者を倒したぞ! これで精霊たちを解放できる!」


 スールは変な踊りをしながら喜んで、精霊たちに近づく。


「スール様、トドメを刺してください!」


「何を言うのですか? 洗脳者はそのうち死ぬのですよ?」


「まだ息はあるのに生かすつもりですか!?」


「王の勘は正しいのです。王である私に指図するつもりですか?」


 スールはそうは言うものの、精霊たちにしか目がないだけである。


「だったら私が――」


「待って、このままソータが亡くなったら私たちの契約は解除できないわ」


「待ってくださいハヌヤ、王の命令です!」


 プロミネンスは時間を稼ごうとしてごまかして言うと、スールは真に受けて聞いてくれた。ハヌヤは舌打ちをして不満げだ。


「愛しの精霊よ、それは本当ですか?」


「そ、そうよ、契約は解除されずに永遠にあなたと契約はできないわよ。精霊王なのに知らないの?」


「も、もちろんです! か、確認をしたかっただけです!」


 なんとかごまかして精霊たちはひと安心――皮一枚つながる。

 もちろんハヌヤは精霊事情を知らず判断することができなく、下手に動くことができない。

 だが、不機嫌ということは変わりない。


「確認ですが、洗脳者はどうやって愛しきあなたたちを解放してくれるのです?」


 もうスールは知ったかぶりをして、精霊に聞くしかなかった。


「そ、それは……」


 さすがのプロミネンスでも次のことは考えてはなかった。


「ソウタ様が心が折れているときに契約解除できます。もちろん知ってますよね?」


 この中で頭の回転が早いブリーゼが淡々と説明をする。


「そ、そうですとも! もちろん知ってますよ。ということは……、今まさに心が折れている状態ですね!」


「そうです。時間――早くて今日中に解除されます」


「そうですかそうですか。ブシシシシ、これで私は精霊と契約して子づくりができる。楽しみだ……」


 スールは舌を舐め回しながら、子づくりのことしか考えてなかった。

 精霊たちはなんとかソウタが起きるまで時間を稼ごうとするが、ドン引きして早くこのド変態から解放したいと心底思っている。


『うぅ……主……、早く目を覚まして……』


 ティアは涙を流しながら何度も念話でソウタに問いかけるが、返事はない。


「スール様……洗脳者は放置するとして、大将の応援に行きましょう」


「何を言うのです! あの人だけで十分です! 私たちが行っても邪魔になるだけです!」


「そ、それは……、そうですね……」


 ハヌヤは珍しくスールは正しいとことを言っていると思ったが、本人はただ精霊のことしか考えていないだけだった。


「そんなに心配でしたら、ハヌヤだけ行くといいです」


「いいえ、ここに残ります!」


 当然、ロクなことが起きないからハヌヤ一緒にいるつもりだ。


『いてて……今どういう状況だ……』


『ソータ!?』

『主……!?』

『ソウタ様!?』


 ようやくソウタは目を覚まし、念話で返答する。


『ソータ大丈夫なの!?』


『ああ……、なんとか……。まだ少し動くことができないが……』


 思っている以上にソウタはかなり傷を負って立ち上がるのに時間がかかるようだ。

 邪石で強化されていてもスールにやられるのはかなり悔しい。


『大丈夫じゃないでしょ!? こうなったらリフィリア様が応援に来るまで時間稼ぎするわ!』


『その必要はない……。俺に考えがある――』

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