847話 勇者との約束⑬
必死に逃げるがメアはモーニングスターで輿を担いでいる奴に投げつけて身体にぶつけて邪石が破壊され灰になる。
「――――フギャァァァ!?」
輿はバランスを崩されてキャンメラは勢いよく飛ばされ地面に叩きつけられる。
それでも必死になって部下をお構えなしに逃げてしまう。
メアは残りの軍を倒して笑いながらキャンメラに近づき――。
「――――シャドウチェーン……」
加減したのか影の鎖を地面に出してキャンメラの身体に巻きつける。
「は、離せガキ!? なんで【魅力】が効かないさ!?」
「ババアの魅力なんて効きません……。寝言は寝ていってください……」
「身体は娘さ!? 私が厳選して決めた完全無欠の娘さ!? 効かないのはおかしいさ!?」
キャンメラはなぜ【魅力】が効かないのかわからないようだ。
キャンメラの魔力ではメアには絶対効くわけがない。圧倒的に差がある。女神の加護がなくとも余裕だ。
「はぁ……、これだからババアは困ります……。そんなことより聞きたいことが山ほどあります……」
「ガキに教えることなんてないさ!」
「はぁ……そうですか――」
「――ひぃ!?」
メアは【威圧】を軽めに使い脅す。
キャンメロは涙目になる。
「まだまだ序ノ口です……。ババアだから加減していますこと……。それ以上の恐怖を味わいたいなら止めはしませんが……どうします……? 教えてくれるのでしたら止めます……」
キャンメラは大きく首を振って頷き。【威圧】を中断する。
「や、やっと収まったさ……」
「ババアをいたぶる趣味はございません……。さぁ、教えていただきましょうか――ババアたちが言っている聖石――醜くて酷い石は今は誰が作っているのです……? ワグダス・ウーテス意外に作っているのはわかっています……」
「せ、聖石なんて私は知らないさ!? 私に聞いても無駄――――ヒィィィッ!?」
メアは再び【威圧】放つ。嘘だとわかり少し強めに。
「わ、わかったから教えるさ!? お、教える代わりに私を生かしてほしいさ!?」
「生かす……? 捕まっているババアに選択権などありませんこと……」
「私は軍から抜けるさ! 情報を出すから匿ってほしいさ!」
「はぁ……仕方がないババアですこと……。わかりました……。では言ってください……」
「ぐ、グウルドン大佐だ!? ワグダスの後任として開発しているさ!?」
メアは必死に言っているキャンメラの仕草を見て本当ことを言っているとわかり【威圧】を中断した。
「そのグウルドンはどこに……?」
「そ、それは知らないさ! 聖石は頼んだ分を持ってきているからわからないさ!」
「では……その持ってきている業者は、ドミベック商会ですか……?」
「なんでそれを知っているさ!? そ、そうだ、ドミベック商会だわさ! これ以上は知らんさ!?」
「そうですか……。ではグリュムについて――」
「グリュム様は突然現れた女神ソシアの夫になる神様しか知らんさ! 女神ソシアのために魔王の討伐命令をしているとか言っていただけしか知らんさ!」
キャンメラは嘘を言ってはいなかった。
メアはそれしか情報を聞けなくため息する。
「はぁ……、もういいですこと……。では最後に――あなたにキャスリーという娘はいますか……?」
「キャスリー? ああ、あの生意気なバカ娘のことさね。まだ生きていたさね」
「実の子をバカ呼ばわりとは……、ババア……毒親ですこと……」
「本当のことさね。あのバカのせいで私は狙っていた男を奪われたのさ。しかも【魅了】を使ってもあのバカを選んだ」
「当然ですこと……。それはキャスリーが1番魅力があったことです……。誰がババアを選ぶと思う……?」
「う、うるさい! あの頃はまだ若さを保っていたさ!? なんでガキがあのバカを知っているのさ!?」
「フフフフフ……知り合いですこと……」
「そういうことさね……。まさかプレシアス大陸に行っていたとは……、これもあのバカが情報を教えたのも納得さね……?」
キャンメラはキャスリーが情報を漏らしたと思ったようだ。
「それはいいとして……、ババア……、キャスリーを無理やり娼館で働かせたと聞いています……。虐待にもほどがあるですこと……」
「虐待? 勘違いしているさ。あのバカが欲情して自ら娼婦として働いてたさ。そこは本当さ」
キャンメラは苦笑いして返すが、メアは嘘だとわかった。
しかし、メアは呆れて影の鎖を解除する。
「そうですか……。これ以上ババアを縛る必要もありません……。ババア、お前は捕虜してついてきなさい」
「話がわかるガキで助かったさ。わかったさ」
話が終わると、ライカたちが向かってくるのがわかる。
それも【魅了】かけられた勇者3人とも一緒に。どうやら【魅力】が解除されたようだ。
だがキャンメラは、ほくそ笑んでなにか企んでいた。




