840話 勇者との約束⑥
マイヤは飛んで避けてサラマンダーの背中を魔剣で切る。
切った箇所は蒸発して固まるが、すぐに溶けてマグマになる。
「そう簡単にいかないか……」
マイヤ様子見して切ったようだ。相手がどのくらいか確かめるために。
「――――ギャアァァァァ!」
切られてサラマンダーは激怒し、口からマグマの球をマイヤ目がけて吐く。
「――――アクアウォール……」
マイヤは水の壁を創り軽々防ぐ。しかし立て続けにマグマを吐き、壁が蒸発する。
「あっ、ヤバいかも……」
耐えきれないと判断し高く飛び上がった瞬間に、壁が破壊された。
そのままマイヤはサラマンダーの頭上で魔剣を両手で構える。
「――――水流覇……」
「――――ギギャァァァア!?」
水を纏い、胴体を真っ二つし、地面まで振り下ろすと――大量の水が溢れ周囲を水浸しにする。
しかし、池になったマグマがサラマンダーに向かってマグマを放出し、周りの水は蒸発してマグマがくっついて元通りになる。
そして急いでマグマの池に飛び込んで中に入った。
顔を出して悠々と泳ぎ始めた。
「なんかバカにされたみたいでムカつく……」
マイヤは無表情で顔を膨らませた。サラマンダーはマグマの池から出てくることはなかった。
次第に池が拡大し、倍以上の範囲になる。
「このままの拡大されると……あいつの有利にされる……」
マイヤはサラマンダーを優先的に狙ったが、池があるかぎり何度でも再生するとわかった。
「はぁ……、仕方ない……。ウチの本気を見せる……」
マイヤはスライムになり、身体を大きく――ベヒジャミ並みの大きさになった。
そして身体から通常のときの大きさのスライムが出てきて次々と分裂する。
マイヤ本体は徐々に小さくなり、元に戻った。
分裂した数は数百を超え、マイヤと同じ人化になる。
そして、分裂したマイヤは、マグマの池を囲んで水魔法の準備をする。
「「「――――メイルシュトローム……」」」
大きな渦水を発生させ、マグマの池を徐々に冷やし固めていく。
「――――ギャアァァァァ!?」
サラマンダーは危険だと思ったのか、マグマを発生させる邪石を身体に入れて一心同体に――負けじとマグマを必死に生成しようとしている。
だが、分裂したマイヤの魔法には歯が立たなく、マグマの池は3分の1くらいまで小さくなった。
「――――ギャアァァァァ!」
サラマンダーはやられると思い、同化したマグマと飛び上がって逃げようとする。
「ラッキー……逃さない……」
マイヤはチャンスだと思い少しににやけてしまう。
そして氷魔法を発動させる――。




