836話 勇者との約束②
皆はアイシスたちと合流した。
「レイさんもすごかったが、2人もすごいな……」
ヨシマツは固まった溶岩を間近で見て驚きを隠せなかった。
「フフフ……まだまだ序の口ですこと……。私たちの力はこんなものではありません……」
「メアが言ってどうする……。あっ……また来た……」
マイヤがツッコミを入れると、今度は溶岩の球体がが空から降ってくる。
「――――アイスウォール」
アイシスはすかさず魔法で氷の壁を創り軽々と防ぐ。
勇者組は急に来たことに焦ってしまったが、胸を撫で下ろす。
「おいお前たち、こんなので驚いているなら街に戻れ。戦闘の邪魔だ」
「フフフフフ……、そう言っていますが……、危険だから心配していますこと……」
「う、うるさい、小娘!? 邪魔なのは本当のことだぞ!?」
アンバーは厳しく言うが、内心はヨシマツたちを巻き込まないように気を遣っている。平和な世界から来た子どもには刺激が強いと。
「ですが、私たちにとっては想定内です。このくらいなら一緒にいても大丈夫かと」
アイシスは落ち着いて言う。
全然問題はない。もし、危険を感じたなら空間魔法で移動させるだけの話だ。
安全対策はばっちりである。
「もうオレは知らんからな! 死んでも責任はとらん!」
アンバーは皆言うことを聞かないから投げやりになってしまった。
「フフフフフ……それでいいですこと……。では、街に戻ってください……」
「小娘、オレは戻らんぞ。ケリをつけないといけない奴がいるからな……」
アンバーは帝国軍から知っている魔力を感じ取ったようだ。
アイシスと合流する途中で感じ、最初は疑っていたが、ここに来て確信した。
「フフフフフ……残念ですこと……」
「残念でよかったな。それでどうする? オレは奴がリフィリアが気になっている奴と一緒にいるからそっちに行くぞ」
「では、私とマイヤがマグマを放っている者を止めます。ヨシマツ、あなたは私たちと来てください。あの球体なら【絶対防御】で受け止めることができるでしょう」
「わかった。2人についていく」
「じゃあ、俺もヨシマツと一緒に――」
「ケイトはこっちだ。ウルマ――俺の大事な妻から弟子をよろしく頼むとか言われている。あと【絶対防御】があるヨシマツしかマグマ対策ができない」
「わ、わかりました……。ソウタさんについて行きます……」
ケイトは師匠であるウルマから約束を守っている。ソウタの言うことは絶対に聞けと。
ここはこらえつつ、ソウタの言うことを聞く。
「じゃあ、カヤキとヒロヤもこっちだね。しっかり守ってあげる」
「「よろしくお願いします」」
「じゃあ、残りの私たちは……」
「ワタクシと一緒に来てください……。ワタクシはザァコの相手をします……。後ろにいれば確実に安全です……。特にお胸が大きい子は、むっつりのお兄さんとこに行くと何をするかわかりません……」
「なにもしないぞ!? というかこの状況でやれるわけないだろ!?」
メアはソウタに冗談でからかうが、女神化したサヨ、イスズ、アユミはドン引きして後ろに下がる。
「男って……胸ばかりね……」
エミカは自分の胸を触って、少し落ち込んでしまいヨイカが頭をなでて慰める。
「なに、無駄話をしている。なら儂はメアサイドでお主らの面倒を見るぞ。メアもいいよな?」
「では……お言葉に甘えます……。これでザァコを楽しく遊ぶことができます……」
メアは不気味な笑みを浮かべて楽しそうだ。
それを見てエミカたちはついてきていいのか不安になった。
「じゃあ、みんな誰かあったら絶対に説得はしろよ」
ヨシマツの返事に勇者組は頷いた。
三手に分かれたら、この戦争でクラスメイトの誰かしら会えると思っている。
皆は健闘を祈り、アイシスとたちは溶岩の元凶、メアたちは大勢のいる帝国軍、リフィリアたちは精霊とほかの異様な魔力、三手に分かれて行動する――。




