834話 周りの違和感②
エフィナがムスッとしながら散歩を再開して集会場に移動した。
人だかり――相変わらずアルカナの占いでかなり集まっている。
「みんな、今日はこのへんでお願いします。予約の方が来ましたので」
アルカナは俺たちに駆け寄って引っ張って席に座らせた。
「予約なんてしてないぞ?」
「ボクが予約したんだよ。ちょっと気になってたんだよ」
エフィナが占いなんて興味あったのか?
創造神でも占いを信じるのは意外だ。
「さあ、何を占ってほしいですか? 金運恋愛仕事健康なんでもいいですよ」
エフィナがそんなベタなの占うわけ――。
「じゃあ、健康でお願い」
「わかりました」
まさかの健康……。たしかにエフィナにとってこの世界の行く末を見届けたいし、気になるよな。
アルカナはタロットカードをシャッフルして、光り輝いたカードを引く。
「運命の輪の正位置ですね。まったく問題ないですよ。ただ、無理をしないでくださいね」
まあ、当然といえば当然だ。へたなことをしなければ健康のままだ。
「それはよかったよ〜。じゃあ、レイの健康も占ってよ」
俺もか? 別に問題ないと思うが――。
「隠者の逆位置ですね……。ご主人さんは狙われています……。特に夜は気をつけてください……」
ある意味当たっています……。警戒しないとまずいな……特にシルセスに。
「うわぁ……いままさにそうだよ……。レイは誘惑に負けたらソウタみたいに干からびると思って……」
「そんなに心配しなくとも大丈夫だろう」
「ほんとかなー。心配になってきた……」
「ソウタみたい誘惑に負けると?」
「うーん、それもそうか。でも気をつけてね」
まあ、シルセスが自ら襲うことはないから大丈夫だろう……多分……。
「ならいいよ。じゃあ次は金運も占ってよ」
「了解です」
ほかにも占うのかよ……。エフィナに金運なんて関係ないだろう……。
こうして占ってもらって時間が経過して夕日が沈む。
占いに3時間とはどういうことだ……。しかもその大半は雑談だった。
「もう占うことはないです。私に時間稼ぎは無理ですよ」
「時間稼ぎ?」
「ちょっ、何を言っているの!?」
エフィナは慌ててアルカナの口を押さえる。
これは……どう見ても怪しい……。
なるほど、みんなして俺に隠し事しているな。
「アルカナ、正直に言ってくれ。本当のことを話したら、1つほしいものをやるぞ」
「ぷはぁ、本当ですか!? みんなしてご主人さんをメデアコットに行かせないようにしていました。あそこで戦争が起きているみたいなので。あいて!?」
「こらっ! 内緒だっていったでしょ! 君って本当に口が軽いな」
エフィナはアルカナに頭をチョップした、
なるほど、どうりでみんな落ち着かなかったわけだ。
「それで戦争に巻き込まないようにと?」
「はぁ〜、そうだよ。レイに言ったら無理に行くと思ってね。それでごまかしていた」
「占いではご主人さんが行っても問題ないと結果が出ているのに本当に困りました」
「君ね……。レイが過剰に魔力を使うから言っているんだよ!? 倒れたらどうするのさ!?」
「ご、ごめんなさい!」
アルカナは涙目で俺の後ろに隠れた。
別に行っても様子をみるだけだと思うけどな。
まあ、かなりピンチだったら参戦はしたけど。
『皆様、もう安全をなられました。ご主人様に言ってもよろしいかと』
アイシスから念話がきた。
安全って、もう対処したのかよ……。




