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82話 魔剣、商人に頼まれる


 ――翌日。


 

「マスター朝だよ!」


 精霊が小さい手で顔を叩いて起こしてくれる。

  

「おはよう……まだ眠い……」


『今日はフランカを男の娘に挨拶しに行くのだから二度寝はダメだよ!』


 いや、挨拶するだけだからもう少し寝てもいいだろう……。


「アイシスが朝食を作ったから食堂に来てだって」


 それはダメだ。

 朝食が冷めたらアイシスに悪いから起きないと。

 あっ、でも無限収納あるから冷めやしないいか。

 まあ、それはいいとして――。


「わかった、すぐ行くよ」


 食堂に向かい――アイシスはイス座って待っていた。

 テーブルに用意されているのはペンネグラタンとサラダである。

 

「ペンネとか……作るの大変じゃなかったか?」


「いえ、そんなことはありません。むしろ、楽しかったです」


「そうか……それならいいのだが……」


「熱いうちに食べましょう」


 まさかペンネを手作りとは……パスタマシンで生地をローラーで薄くしてそこから成形するとか中々やりますな。


「そういえばフランカは?」


「工房で作業しております。先に食べてくれとのことです」


 昨日、あんなに飲んでいたのに朝から作業しているのか……。

 酒で魔力を回復するから二日酔いはないと思うが。

 そういうことなら先に食べる――うん、ペンネがベシャメルソースと絡んで美味しい。

 ペンネでカルボナーラを作るのもアリだな。

 あとで作ろう。


 食べてる途中フランカも来た。

 やっぱり酒を大量に飲んだから魔力の輝きが尋常じゃない。


「みんな食べているな! アタイの分は?」


「今出しますよ」


 アイシスは無限収納からグラタンとサラダを出し――フランカも食べ始めた。


「美味しいぜ! ダンナ、もうちょっと作業したいから悪いがミツキのダンナに挨拶しに行くのは2時間後くらいでいいか?」


「ああ、いいよ」


「助かるぜ! アタイは工房に戻る!」


 フランカは急いで食べ終え――食堂を出ていった。

 ミランドさんの受注品を作るのに忙しいみたいだ。

 ちゃんと休んでいるだろうか……。


 

 ――2時間後。


「じゃあ、行こうぜ!」


 フランカはブラウスに着替えて準備ができたようだ。

 今回アイシスは裁縫をしたいとのことでフランカと精霊と行く。


 商館に着き――ミツキさん、ウィロウさん、グラシアさんがいつも通りに出迎えてくれる。


「お久しぶりです! 待っていましたよ!」


 2週間くらい会っていなかったから久しぶりになるのかな?

 相変わらず子供のような笑顔で出迎えてくれるとは……ほっこりします。


『いい母性だ! 安心安心!』   


 エフィナの言っていることはわからないからスルーで。


「あの、そちらの方は?」


「アタイは賢者の弟子のフランカだ! よろしくな!」


「アイシスさんと同じ故郷の人ですか!? 私はここの商館のオーナーをやってますミツキと申します! こちらこそよろしくお願いします! フランカさん!」


 フランカの印象は大丈夫みたいだ。

 ウィロウさんとグラシアさんとは初対面だからそっちにも挨拶をした。


「今日はアイシスさんと精霊は来ていないのですか?」


「アイシスは忙しいので今日は来ないです。精霊は来ていますよ」


 そう言うと精霊は【隠密】を解除をして姿を現した。


「こんにちは!」


「「「しゃべった!?」」」


 3人とも驚いていますね。

 訳を話して納得をしてくれた。


「なるほど……しかし私も精霊の姿が見えるようになるとは……すごいなレイは……」


 以前、ウィロウさんは精霊の姿が見えなったようだ。


「なりゆきでしたことなので大したことはしてません」


「何を言ってなさるの? わたくしにはあのスール(変態)から離れたおかげでレイはいろいろと開花したと思っているですわよ。誇りを持ちなさい。はぁ……全くあの変態は……」


 グラシアさんは俺のことで一時期スールさんと揉めてたことがある。

 スールさんはたまに変な教えて方をしていたからグラシアさんはそれを見て悪影響な教育をするなと言って揉めていた。

 まあ、変だったことは、完全に無視はしたから大丈夫だけど……別にそれは関係ありません……。


『じゃあ今度から残念変態エルフって呼ぶか!』 


『私もそう呼ぶ!』


 エフィナと精霊はスールさんの印象がさらに悪くなりました……。


「わ~い! 精霊と会話できるなんて嬉しいです!」


「フフフ、私もだよ! 小人さん!」


 ミツキさんはテンションが上がって飛び跳ねている。

 2人を見てると……はい、微笑ましいです……。


「取り乱してすいませんでした! 今日はどのようなご用件ですか?」


「今日はフランカを紹介しに来ました。それとお世話になっているのでフランカが作った短剣をよろければ受け取ってください」


「いいのですか!? はい、喜んで受け取ります!」


 気持ちがいい返事ですな。

 ミツキさんにミスリルの短剣を渡した。


「ミスリルだ~! こんな良いの受け取っていいのですか?」


「もちろんです。今後もよろしくお願いします」


「ありがとうございます! わ~い、もらっちゃった! これで魔物が簡単に倒せる!」


 嬉しさのあまり、ウィロウさんとグラシアさんに見せて大変喜んでいます。

 なぜかその2人は目を光らせて――。


「フランカ、私にもミスリルの槍を作ってくれないか?」

「フランカさん、わたくしにもミスリルの棍を作ってくれませんか?」


 やっぱりそうなるよな……。


「えっ、ちょっと待ってくれよ。今、領主様の受注品があるから後で考えてさせ――」


「私にもお願いがあります! ミスリルの短剣を村に20本欲しいのですがダメですか……? いくらでも出します……」


 ミツキさんも村の小人族にもあげたいようだ……。 


『ダンナ……アタイ……こういうのに弱いのだが、どうすればいいんだ……』 


 フランカはミツキさんの眼差しにやられる寸前です……。


『お任せするよ……けど受けるであれば無理はしないように……』


「わかったよ……ダンナの世話になっているからな……時間がかかるがいいか……?」

 

「ありがとうございます! いつでもお待ちしております! ウィロウさんとグラシアさんの分も払いますよ!」


「ありがとうございます! ミツキさん!」

「ありがとうございます。ミツキ様」


 押しに負けましたね……そして2人分も払うとか太っ腹ですね……。


 その後お金の商談をし、短剣1本、大金貨1枚。槍と棍各、大金貨5枚で全部で白金貨3枚と成立した。

 ミスリルはタダで持っているからフランカ的には適性価額だと思ったが、ミツキさんはそれでも安いからもっと高くていいと言ってきた。

 さすがに申し訳ないから村で作る純米酒を定期的にもらうことの条件でミツキさんは納得した。


 もう酒には一生困らないですね……。


「では、よろしくお願いします!」


 こうしてミツキさんの挨拶が終わり――屋敷に帰る。


「ダンナ……酒は嬉しいがこんなに大金が入ってどうしよう……」


 いきなり大金を受け取ったから動揺をしている。 


「別に自由に使っていいんだぞ」


「自由ね……そんなに使わないと思うけどな……」


「じゃあ、アイシスに預ければ? 管理はしっかりしてくれるし」


「そうだな、そうしとくよ。さて、アイシスに渡してから工房に戻って作業するか!」


 切り替えが早いですな……。

 受注が増えたことによりフランカは大忙しくなった。

 アイシスもそうだが、2人とも無理はしないでほしい。 


 この場合、俺がすることは――好きな物を作るしかないな。

 屋敷に帰ったら俺も作業に取りかかりますか。  

     

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