831話 海竜にお願いする
お茶会は終わり、リヴァを探す。
忙しくないからこの機会に言わないといつ言えるかわからない。
探すといってもいるところはわかる――集会場に向かうと、オーロラとリヴァは一緒にイスに座ってのんびりしていた。
「リヴァ、ちょっと相談があるんだが?」
「相談ですか? レイちゃんが僕に相談とか珍しい」
「リヴァしか頼めない相談だ。詳しくは屋敷に来てくれ」
「ここで話さないの?」
「実は俺じゃなくて、ほかの者がリヴァに話したいと。だから屋敷で待っている」
「はぁ……、わかりました」
「レイちゃん、その者は誰なの? 怪しいわね……。私も行くわ」
オーロラが怪しむのは当然のことだ。
そこは想定内だ。
「オーロラ……リヴァにとって重要な存在だ。将来、リヴァを成長させてくてる者だ。オーロラが行くとややこしくなる。ここは我慢をしてくれないか? 今日は話し合いだけだから心配はない」
「リヴァちゃんの成長……。まあ、レイちゃんがそこまで言うならわかったわ。リヴァちゃん行っておいで」
とりあえずオーロラを説得できた。保護者にメリットがあることを言えば納得する。
俺はリヴァをと一緒に屋敷――書斎に向かうと、シャーロさんと顔を赤くしてそわそわしているシルセスだ。
シャーロさんも立ち会うのか。それはいいが、シルセスがいまにも襲いそうだが……。
「相談したいのは二方ですか?」
「いや、私だけだ。これを見てくれ――」
シルセスの身体が光り輝くと――凛々しい姿をしたスタイルバツグンの美女に変わった。これ男ではなければ惚れるほどの美女だぞ……。
特に尻追い組は男関係なく絶対に狙う。
「わぁ、トリニッチちゃんみたいだ」
「そうです。そして君にしかできないことがある――君が大きくなったら私の子を産んでほしい。君だけが頼りなんだ」
いきなり言うのかよ……。
さすがのリヴァはドン引き――。
「いいですよ。僕で良ければあなたの子を生みます」
…………はい!?
あっさり承諾したぞ!?
「本当か!? じゃあ、10年後に頼む!」
「わかりました。10年後ですね」
「ちょっと待て!? リヴァ、お前の子を生むのだぞ!? そんなすぐに許可していいのか!?」
「ん? レイちゃんなんでそんなに慌てているの? シルセスさんと隣に一緒に寝ればいれば、ロックバードが卵――僕たちの子どもを送ってくれるのでしょ? それくらい知っているよ」
コウノトリと間違えている……。たぶん、オーロラがごまかして言っている……。
さすがに幼いリヴァに本当のことは言えないか。
この感じだともう少し意味がわかってから言ったほうがいいな。
ちゃんとした知識を――。
「そうだとも! ロックバードが私たちの子どもを送ってくれるのさ!」
うわぁ……このままゴリ押すみたいだ……。
「なんだ……アタシがいなくてもスムーズだった……」
なるほど、シャーロさんがいるのは、うまく事を進めるためだったか。
「では約束交わそうじゃないか。目を閉じてくれないか?」
「目を? は、はい……」
リヴァは目を閉じるとシルセスはリヴァのデコにキスをする。
すると――リヴァの身体が輝き始めてすぐに収まる。
なんか嫌な予感が……。
「これで約束は交わされた」
「僕の頭に何をしたのですか?」
リヴァは首を傾げた。
キスされたと認識していないのか……。
「細かいことは気にしないでくれ。では10年後頼んだよ」
「えっ? は、はい、わかりました」
「これは男の約束……。誰も言ってはいけない……。オーロラにも内緒……」
「男の約束……。わかりました。主には言いません」
「ん、よろしい……」
ここでシャーロさんが念を押した。悉く二方の思惑通りなってしまった……。
リヴァは部屋を出ていき、オーロラの元へ――。
「計画通り……」
「うまくいった……」
二方して不気味な笑みを浮かべる。
完全に何かしたな……。




