821話 強制創造
しかも強制創造で止めることができない。
もしかして怒っているのか?
前回は自我がないように創造したはずだったが、どうやら加減ができなかったようだ。
一度限りではなくなった。
わかった、相当ご立腹なら許可しよう――。
「――――来い、無効の魔剣!」
俺の左手には、白銀のルーン文字が虹色で刻まれている剣を持っている。
しかも、身体の負荷ほとんどなく創造できた。頭の中には【絶対無効】のスキルと新しい無魔法が追加される。
前回、創造したからと思ったが、無効の魔剣が魔力を溜めていたことがわかった。
いつでも主人が創造できるように。だが結果的にツトムが許さなく、勝手に出てしまった。
「サプライズ失敗したな」
『なんでわかったのですか!?』
魔剣は少女っぽい声で驚いてで言う。
「なんとなくだ。まさかこのタイミングとはな……」
『どうしてもあのストーカーが許せないのでご理解ください』
前回、コトハとナノミのときの影響を受けたのかもしれない。
「わかったよ。じゃあ、その力思う存分使うぞ」
『はい! 思う存分やっちゃってください! ご主人さん!』
「レイ、魔剣と話しているのはいいが、もう来てるぞ!?」
『そんなに急かさないでください、むっつりさん。こう見えても私は強いのですよ。コトハとナノミを救った魔剣ですよ』
魔剣は自慢げにソウタに言う。少々承認欲求がある子だな……。
まあ、強いの本当だが――。
「――――ルーンワード!」
「な、なんだ!? 僕のジャスティス鉄槌が動かないぞ!?」
驚くのに無理ない。俺は無魔法でツトムに向かって「止まれ」と言って強制的に命令したからだ。
この魔法は任意の相手に言った言葉通りに従わせる魔法だ。
ただ、この魔法だけでは効力が発揮できるわけではない――【絶対無効】のスキルで相手に魔法を効きやすいよう無力化にした。
これで街を巻き込まなく済んだ。
「それじゃあ、お前を無効にするぞ。覚悟はできているな?」
「や、やめろ! く、来るな!? 僕はエミカを連れて帰るんだぞ!?」
「――――絶無!」
「――――ギャァァァア!?」
ツトムに近づき、本体を切る――泥の津波は静まり元に戻り、ツトムの身体は全裸状態の元の姿に戻った。
だが、邪石は付いたままだった。
さすがに邪石本体は無効――壊すことはできないか。だが、それでいい。
「どうしてだ!? なんで地面に潜れない!? エミカ、エミカが近くにいるのになんでだ!?」
ツトムは無傷だとわかると、必死に頭を擦り付ける地面に潜ぐろうとする。
無駄だ。邪石を効果――すべてを無効にした。ただツトムがやっているのは奇行でしかない。
『うわぁ……。あれだけのことをしてエミカにか目に入ってないのは、気持ち悪いですね……』
無効の魔剣もドン引きするほどだった。
さて、邪石を破壊してもいいところだが、安全だとわかったのか。みんなが駆け寄ってくる。
ヨシマツたちとこれが本当の最後のお別れの挨拶をさせるか。




