表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
825/915

819話 中二病勇者⑤


「――――ブボゴボゴヘッ!?」


 ボコボコに顔を殴り続けて最後に邪石部分に当てて吹っ飛ばしていく。


「これは俺たちに最低なことをした仕返しだ。クラスメイトとして情けをかけようと思ったが、甘く考えた俺がバカだった。お前は反省して罪を償え」


 ツトムのクズっぷりに罪を軽くするのはやめたか。

 ここまでくれば同情もなにもない。


「気が済んだか?」


「はい。これ以上殴っても虚しいだけです。あとはよろしくお願いします」


「わかった。コイツを王都に連れて行く。処分は王国側がやるそれでいいな?」


 ヨシマツたちは頷いて承諾した。

 本当ならここで邪石を破壊して終わらせるのがいいが。

 ヨシマツたちに見せても、ただつらいだけだ。


 俺は結晶魔法(クリスタルチェーン)で再び拘束した。


 違うところに移動して邪石を破壊する。王都に連れて行ったところで暴れるだけだ。


「ふざけるなぁ……。僕はここで終わっていい人間じゃない! 僕は選ばれた勇者であり、主人公だ!」


「そんな主人公がクズなことをして捕まっているのはどうかしているけどな」


「躾って言っているだろうがぁ!? どいつもこいつも……僕を邪魔して……許さない……」


 ツトムの邪石が禍々しく光ると、ツトムの身体が茶色のドロドロの液体になり結晶の鎖をすり抜け地面に溶けた。


 しまった!? 地面の中を移動している! 向かっている先は――マズい、エミカが危ない。


「ライカ、みんなと一緒に空間魔法で――」


「きゃあ!?」


 その瞬間、大きな泥の腕がエミカの背後に出現して、掴まれて地面の中に入っていく。

 間に合わなかった……。


 そして遠くのほうから液体のツトムと泥の腕に掴まれているエミカだ。

 コイツ……泥の身体になったか……。


「ハハハハハハハ! やっと捕まえたぞ! ご主人を困らせておいて本当に困った子猫だ! 帰ったら調教してやるからな!」


 逃がすわけないだろ――俺はツトムに近づこうとするが。


「させるか! いでよ、僕の分身!」


 地面から泥で作られた人間の形――無数の泥の剣を持ったツトムが俺の前に現れる。

 

「「「――――ジャスティス神速剣!」」」



「――――風塵剣!」



 俺は剣を振り、竜巻を発生させ泥の人形を飲み込ませる。

 竜巻が止むと、泥そのものになり落下していく。

 所詮は泥だ。耐久性はない。


 ヨシマツたちのほうにも無数現れたが、これくらいならライカ、ソウタ、カイセイが余裕で対処できる。



「お前、泥遊びでもしているのか?」


「そうさ、ただのお遊びさ! これならどうだぁぁぁぁ――」


 今度は十数m高さのツトムを作りあげて襲ってくる。

 土があればなんでもできるってわけか。



「――――ジャスティス最強剣!」



「――――アブソリュート・ゼロ!」



 俺は氷魔法で泥の図体を氷漬けにし、動きを止める。

 所詮は泥だ。水が含んでいれば固まりやすく氷が有利だ。


「僕の最高傑作が!?」


 意外にも焦っていた。よほど自信があったか。

 そしてヨシマツたちが駆け寄り合流する。


「ふざけるのも大概にしろ! さあ、エミカを返してもらうぞ!」


「黙れ! エミカは僕のものだ! こうなったら……僕の正義の怒りを喰らえ――――ジャスティス憤怒!」


 周りの地面が泥に変化し、俺たちを囲むのように泥の津波が襲ってくる。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ