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80話 コネの力はすごい……


 リンナさんの誕生日から3日経つ。


 今日はフランカをミランドさんに挨拶しに行く日である。

 アイシスと精霊は準備ができたけど、フランカは空き部屋でアイシスが裁縫した服を持って着替え中である。

 10分くらい経つが着るのに時間がかかるやつでも作ったのか?

 

「遅いですね。そんな派手な服ではありませんのに」


『恥ずかしいみたいだね!』


 着るのに抵抗がある感じか。

 ゆっくりとドアを開けてフランカは顔を赤くしながら恐る恐る出てきた。


「これ……アタイに似合わないだろう……あまり見ないでくれよ……」


 ブラウスとレギンスを着た姿である。

 完全にオシャレな10代後半の美少女にしか見えない。


「私の計算通り、似合っていますよ」


 アイシスは何か確信を持てたのかドヤっています。


『似合っているね! レイもそう思わない?』


「ああ、フランカは可愛いからこの服似合っているよ」


「そ、そ、そうなのか……? ダンナが言うなら定期的に着ようかな……」


 相変わらず押しに弱いですな。

 そのギャップがいいけど。


 屋敷を出てミランドの屋敷に向かう――。


 フランカが献上品として布に巻いた剣の形をしたのを持っている。

 もう察しました……。

 

「「「――――おかえりなさいませ! ぼっちゃま、お姉様――――!」」」

 

 久々に聞きました……。

 

「初めて聞くけど迫力あるな……」


 毎回聞くことになるので慣れてください……。

 セバスチャンに書斎に案内してもらい――ミランドさんが机に座っている。


「やあ、待っていたよレイ。私をお義父さんと――」


「言いませんからね」

 

 気が早い……いつもながら油断も隙も無い。


「そうか……残念だ。気を取り直して――いろいろと驚くばかりだザインが言う通り精霊が成長して私にもハッキリ見えてる大変に興味深い」


 そっかミランドさんはブレンダと違って今まで見えてなかったのか。  


「領主様こんにちは! いつもお世話になっております!」


「ハハハ! 礼儀正しい子だ! これからもよろしく頼むよ!」


「はい! ありがとうございます!」


「そして君がフランカ君だね。アイシス君と同じ賢者の弟子とか実に素晴らしい。この街に馴染めそうかい?」


「ああ、そうさアタイは賢者から鍛冶を教わったフランカだ。よろしくな領主様! ここの街は長閑でとても気に入っているよ! それに在住許可証まで発行してくれるとかアタイにとってはありがたいぜ! 領主様はほかのところと違って神様みたいだぜ!」


 精霊と違って少々馴れ馴れしい態度だが大丈夫なのか……。


「ハハハ、そうか! 見た目とは違ってドワーフと同じ性格なんだね! 気に入ったよ! もし困ったことがあれば言ってくれたまえ! レイと同じ身内だからね!」


 大丈夫でした……。


「それはありがたいぜ! 今回は挨拶とレイのダンナがお世話になっているお礼と感謝を込めてアタイが打ってきた剣を納めていただきたい」


「なんと! 賢者に教わった技術で作った剣だと!? ありがたく受け取るよ!」


 フランカはミランドさんに布で巻いてある剣を渡した。


「これはちょうどいい重さだ。さてどんな感じに――こ、こ、こ、これは……ミスリル!?」


 布を剝がすとミスリルで、できた鞘に気づき手が震えている……。

 予想通りの結果になりました……。


「今まで見てきたがこんなにも美しくミスリルをふんだんに鞘に使うのは初めてだ……」


 多分、ほかは真似はできないだろうな……。


「驚くのはまだ早いと思うぜ。剣が抜いてからだ」


「そうか……では――な、なんだね……この輝きは!? 美しい……世の中にこんな美しい剣があるとは初めてだ……」


「賢者から全てを教わったからこんなの朝飯前さ!」


 噓は言ってはいけませんよ……話を膨らませたら後が困ります……。


「なんだと!? これほど素晴らしいミスリルの剣を作ったのに朝飯前と……さすが賢者の弟子と言ったところだ……予想以上の上物で割に合わない……何か欲しい物はあるかね? あるとしたら差し上げるよ」


「そんな物いらないよ。ただ条件は聞いてほしい」


「なるほど、その条件とは?」


「アタイは鍛冶師だけど、気に入った人しか打たないから頼みごとは聞かないし、いくら高い金を払おうが絶対に打たないからそこだけはわかってほしい」


「ああ、もちろんだとも! もし変な輩が来たらこの街を出禁にさせるよ!」


 確かに噂になって変な奴が来たら困る。後ろ盾にミランドさんがいればかなり違う。 


「それと、気に入った人に作って金をもらうこともある。普通は商業ギルドに登録しないといけないが領主様の許可でなんとかしてほしい」


 街によっては領主の許可があれば物とか売っていい仕組みになっているが、簡単な話を商業ギルドでギルドカードを作れば商売ができるけど、フランカは面倒事を回避するためにそれを選んだと思う。


「なるほど、では領主の権限で許可する! もちろん売った物の報告は頼んだよ」


 もう許可するのかよ!? 

 うん、コネですよね……。


「助かるぜ! あとアタイはスキルで家を作ることができる。レイのダンナの屋敷の庭に設置して工房にしたいから許可をお願いしたい」


「な、なんと!? そんなことができるのだね! わかった喜んで許可をしよう!」


 ザインさんの言っていた通り大丈夫でした……。


「しかし……そのスキルを是非とも見てみたい……」


「領主様の庭をお借りできるなら今すぐでも使えるぜ!」


「本当なのか!? では早速見せてくれたまえ!」


 屋敷を出て――フランカは庭に家を出した。


「まさか本当に出せるとは…………素晴らしい! 中は見せてもらってもいいかね?」


「領主様だから特別だぜ! けど、中は荒らさないでくれよ!」


「もちろんだとも! ここに賢者の秘密が隠されているかもしれない!」


 そんなものはありません……。


 工房以外は見てもいい条件でミランドさんは隅々まで見学をしてある物に触れてしまった……。


「こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、この便器はなんだね!? 見たことのない技術だ!?」


「ああ、これは温水洗浄便座だ。賢者は衛生面に厳しいからこの発想に辿り着いた」


「なんと!? これは賢者の極致だ……こんな発想誰も思いつかない……欲しい……」


 いや、極致とか大袈裟な……日本人の発想なのに……。

 確かに作った人はすごいけど……。


「欲しいなら作るぜ。時間はかかるけどな」


「作ってくれるのだね! 是非ともお願いするよ! 金はいくらでも払う!」


「金はいらないから酒が欲しいな」


「それだけでいいのならいくらでもあげるよ!」


「ありがたいぜ! あと、追加で条件を付け加えてほしい。もしかしたらアタイとアイシスと同じで賢者の弟子か身内がレイのダンナを探してこの街に来るかもしれない。無理も承知だがその時は在住許可証を発行をお願いしたい」


「まさかレイを探して……素晴らしい!? 喜んで発行するよ!」


 なんか話を壮大に膨らましてるが本当に大丈夫なのか……。  

 まあ、この街に納まるくらいならいいけど……。

 

「さすが領主様! 話が早くて助かるぜ! ちなみに温水洗浄便座の件もあまり周りに言わないでくれよ。めんどくさいのは嫌だからな」


「もちろんだとも! 領主に誓ってそんなことは言わないから安心してくれ!」

 

 こうしてフランカの挨拶は印象良く終わった。

 なぜだろう……アイシスもそうだけどフランカも媚を売るのが得意だな……。

 ミランダさんの屋敷のトイレに温水洗浄便座を全部設置することになり。

 その前金――いや、高い前酒を10樽分受け取った。


「いい酒も手に入ったし、今日はたくさん飲めそうだぜ!」


 ある程度飲んだら終わりそうな気がする……。


「ほどほどにな……」


「そこは大丈夫だ! 明日から忙しくなりそうだからな!」


『良かったね! 当分酒には困らないね!』


「おうよ! そうだ、ダンナ帰宅したらいいの渡しとくぜ!」


「いいの? 前回言ってたやつか?」


「そうだぜ! ダンナが絶対喜ぶぞ~」


 そんなにいいのか。

 屋敷に帰宅をし、フランカの家に入り――奥の工房へ移動した。 

  

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