811話 解決策の問題
シャーロさんの話が本当ならソアレとセレネと【絆】すればグリュムを確実に倒せる。結晶の魔剣のほかに幅が広がれば、臨機応変ができるしな。
問題なのが、アンバーを強化する前に【絆】化できるかだ。
それに、ほかと比べて【絆】化にするのに魔力を尋常ではないほど使うのはわかる。
中途半端な【絆】化だと絶対に失敗する。
今の魔力で足りるかわからないが、シャーロさんと同じ一発勝負だ。
とは思ったが、条件を満たさないと【絆】化はできない。
アンバーみたいに強制させるのは絶対にダメだ。無理難題させるのは押しつけては、かえってマイナスになる。
とりあえず、あの子たちをストレスを溜めさせないようにしないと。
しかし、いつまでアンバーは追っている……。上空で行ったり来たりしているのが見える……。
ソアレとセレネのほうが速いから追いついたりしない。
――2時間後。
「はぁ……はぁ……、全然捕まらん……。オレより速いとはありえん……」
アンバーは鼻息が荒く、疲れてしまい地上に降りてきた。
「しょうがない……。今回は諦めてあの子たちが協力するときを待つ……」
意外に潔いですな。
まあ、まだまだ時間はたっぷりあるし、焦るわけないか。
「そうだな、レイよ。疲れたから今度は激甘なお菓子をくれ!」
また菓子でも食べるのかよ……。もうすぐ夕食になるから控えろよ……。
夕食前に王城に行っていたエフィナが帰ってきて、これまでの話しを報告すると――。
「あの2人はユアライゼの子なの!? 確かに面影はあるけど……。本当かな……?」
エフィナはあまり信用していない感じだ。
「何か引っかかるのか?」
「うん、ユアライゼはかなり天真爛漫な天使で自分のことをよく話すタイプだったよ。もし、子どもが生まれたらすぐにボクたちに嬉しそうに報告するよ」
「隠していただけの可能性は?」
「それだったらいいけど。ボクは疑うよ」
「じゃあ、知り合いの魔力は感じれるか?」
「まったくない。ユアライゼと同じ魔力――懐かしさを感じることがない。ただ、面影があると気づいただけかな」
ここまでエフィナが否定すると、ユアライゼの子ではない可能性になった。
シャーロさんは天使からの情報でエフィナは直感で言っている。
どっちが本当かわからないぞ……。
これは早く解決したほうがいいな――。
「ソアレとセレネに聞くしかないか……」
「そうだね。そのほうが早いよ」
そうと決まればソアレとセレネに念話で言う――。
『2人とも今大丈夫か? 聞きたいことがあるんだが?』
『『大丈夫です!』』
『2人はユアライゼは知っているか?』』
『『知りません!』』
即答だった……。嘘偽りのない返しだった。じゃあ違うのか……?
『ボクも質問いい? 2人ともお母さんの顔は知っているかい?』
『『知りません! 会ったこともありません!』』
エフィナも即答だった。これも嘘は言ってない返しだ。
ユアライゼの子どもじゃないことでいいよな?
『ありがとう。これ以上は聞かないからいいよ』
念話を切ると、エフィナはため息をついて呆れていた。
「まったく……、シャーロったら天使から変な情報をもらいすぎ……。もっと真相を確かめてから発言してよ……」
「じゃあ、ソアレとセレネを【絆】化してもグリュムに倒せるかわからないか……」
「そんな簡単にうまくいくわけないでしょ。この話は終わり! このことはボクが伝えるよ」
とんだ糠喜びだったな……。エフィナの言った通りだ。
だが、ふりだしになったのはシャーロさんも同じだ。
それでもっと遅くなれば、俺たちにも都合がいい。




