809話 変わる日常
夕食を時間になり、みんな集合すると――。
「こんなかわいらしい子が魔王ですの!? 思ったのと全然違うですわ!?」
サリチーヌはアンバーを大柄の男と勘違いしていたようだ。
敵対している大陸なら悪いイメージになるよな。
そしてメリアルは魔王の親戚設定のシャーロさんとは知らずに小人と同じ用に頭をなでてしまった。
そのあとに数百年生きているとシャーロさんが言うと頭を下げて謝った。
シャーロさんはムスッとし、機嫌が悪くなったが、初対面だから多目に見てくれるように俺が言い、納得して収まってくれた。
収まったのはいいが、俺の隣で食事をする。
そのあとの温泉に入るときも、書斎でゆっくりしているときも、そして寝るときも一緒……。
監視されていますね……。
「まったく甘えん坊なんだから〜」
「監視だから……」
エフィナとシャーロさんは普段通り会話をしていた。
気まずい雰囲気になると思ったが、切り替えが早いことで……。
まあ、気まずくなるよりかはいい。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
昼になると、魔王軍は領外で聖国騎士たちと合同訓練が始まった。
というよりは、外にはAランクくらいの魔物が大量発生して一緒に対処することになったであるが、訓練にはちょうどいい。
そのほかに、ヨシマツとケイトがミスリルの武具一式を着て参加を申し出た。
ヨシマツとケイトは短期間である程度強くなり、足手まといになるほどではないから訓練の参加を許可した。
ただ――。
「腰が引いているぞ! 怯えていては魔物なんて一生倒せない! 襲われて終わりだ! 魔物は待ってくれないぞ!」
なぜかハーティが参加していて厳しく言われる。
ある程度、魔物を倒したところで聞いてみると。
カイセイが心配していたらしく、ハーティに教官役を頼んだらしい。
厳しく接するのもカイセイの案という。今後のためにと。
そのカイセイはというと――。
いつの間にか参加して前で魔物と戦っていた。
かなりの張り切りようだが、前回イングルプを最後まで倒せなく完全燃焼しきれなかったかもしれない。
昼過ぎになると、メアたちが戻ってきて一人の子どもを救出してきた。
子どもはサリチーヌ一家に任せて休まずに領地から離れた。
翌日で1人の子どもを救出しているのは順調といえる。
まだ救出する子はまだいっぱいいるがその調子だ。
おやつの時間、シャーロさんがお菓子に夢中になっている間に、シャルさんにつなげる――。
『どうしたのレイちゃんー? 今からソシアちゃんとティータイムだけど』
やっとつながった。あれ以来、つなげることができなくて報告できなかった。
まあ、ソシアさんとお取り込み中なのはわかっていたが。
シャーロさんの件を報告すると――。
『えぇ!? シャーロちゃんそんなことを言っていたの!? 結界を張って帰るとか言って遅いと思ったら、女神を引退する話になっているなんて……』
やはり引退する話は言っていないようだ。
『シャーロさんを強制的に帰らせることはできないですか?』
『ちょっとまってね――うーん、試しにやってみたけど、無理っぽい……。シャーロちゃん本気みたいだね……』
ということはシャーロさんが拒絶していることになる。いくら力のあるシャルさんでも厳しいか。
『止めるにはグリュムを倒すしかないですか?』
『うーん、ソシアちゃんと相談してみるよ。私よりソシアちゃんのほうがよく知っているからね。ほかに止める方法があるかもしれない』
『お願いします』
『レイちゃん報告ありがとねー。シャーロちゃんがそこまで切羽詰まってなんてね……。絶対自己犠牲なんてさせないよ』
これで報告はできた。あとは、何かしらの案があるのか待つだけ。




