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805話 親子女神の強制


 戻ろう念じるが、魔法陣が発動しない…。シャルさんが絶対止めている……。


「帰ろうとしてもまだダメだよー」


 やはり……。結局帰らないで残ることになった。


「レイ君、母から聞いたが、母の世界――ウェナミスを救ってくれてありがとう。たまたま母の世界に転移されて、母が切羽詰まったところを喜んで引き受けてくれたなんて普通ではあり得ないことだ」


「それもたまたまですよ。勇者が同郷でしたので、断る理由がありません」


「うんうん、レイちゃんたちの活躍で私の世界に命を吹き込んだからよかったー」


「大袈裟ですって……」


「母がこんなに褒めることはないぞ。それで……」


 ソシアさんがまた顔が赤くなった。


「レイちゃんはエフィナちゃんを救って、私の世界も救った子はソシアちゃんのお婿さんにピッタリだからねー」


 話が絶対にそっちにいくのは困る……。というかシャルさんが気が済むまで言いそうだ……。


「それで……レイ君は……私では不服か……?」


 あの凛としたソシアさんが恥ずかしがって言うほどとは……。というかシャルさんはどこまで言った……。


「い、いえ……そうではありません――」


「レイちゃん、認めたねー。よかったねソシアちゃん、相思相愛がわかってー」


 無理やりすぎないか!? 俺は何も言ってないぞ!?


「それは……よかった……」


 ソシアさんは笑顔で返してくれた……。もう断れない状況になってしまった……。

 これもシャルさんの策なのか……。


「あ、あのまだ先の話ですよ……。シャーロさんがグリュムの件が終わってからじゃないといけない――元も子もないので……」


「そ、そうだな……、問題を取り除かないと、話が進まないしな。レイ君、申し訳ないが、終わるまで女神の関係でいさせてくれないか?」


「はい、そのほうが俺も助かります」


 割り切ってくれるのはソシアさんらしい。これからも気まずく接することはないだろ。


「ええー、早く結婚すればいいのにー」


「母よ、気持ちは嬉しいが、問題解決前――私が先にレイ君と結婚したらグリュムを刺激しまって何をするかわからない。どうか、わかってくれないか?」


「うーん、それもそうね。残念だけど、我慢するねー」


 我慢とはいったい……? まあ、これでシャルさんはしつこく言うことはないだろう。

 というか本気で結婚する話しだったのか……。


「しかし、グリュムはなぜソシアさんにこんなに執着しているのです? 無理に言わなくてもいいですよ」


「やはりそこからか。グリュムは昔、私が助けた天使と言っておこう。集団行動をする天使から孤立してな。なんとか集団とともに行動するようにはなったまではいい。なぜか私は好かれてしまい、恋愛感情を持ってしまった。それから数々の問題で牢屋に入ることなった」


「それでみんなが手を付けられないほどに? とんだ大迷惑ですね」


「まったくだ。だがこれも私が甘やかした責任でもある。最後まで私が責任は取る。だけど、ここまで強くなってしまったのは予想外だ……」


「数百年経っても、諦めが悪いのはどうかと思います。ソシアさんに執着しすぎです」


「いや、私だけだけではないぞ。じゃあ、なぜグリュムは今も魔王を狙ったりする?」


 よく考えたらおかしい。ソシアさんだけなら魔王なんて狙う必要がない。

 シャルさんはグリュムだけの世界をする話で言っていたが違うのか?


 ほかにも理由がある――。


「まさか――エフィナに恨みでもあったのですか?」


「客観視したらそう思うはずだ。だが違う――恨みがあるのはシャーロのほうだ」


「シャーロさんですか?」


「そうだ。母から少し聞いていると思うが、女神権限でシャーロが牢屋に入れて、暴走しないように力を奪った。だからかなり恨まれている」


 そんな理由が……。それじゃあがシャーロさんに逆恨みにあっているだけだ。


「シャーロさんはやらざるを得なかったはずでは?」


「そうだ。ああ見えてシャーロは愚行を許さない。我慢の限界だっただろう。最初に手を出したから、グリュムに最悪な印象を植え付けられてしまってシャーロは災難でしかない。それでもシャーロは自分が正しくやったことで、悔いはないと言っているが」


 そいえば、シャルさんはシャーロさんが何かやったことをほのめかした発言をしていたな。

 そういことだったのか。


「じゃあ、今もシャーロさんは――」


「その通りだ。おそらく、シャーロから創られた魔王を狙っている。グリュムは魔王を大事な子どもだと認識している。それを壊せばシャーロが悲しむと思っているはずだ」


「アンバーも大変ですね……」


「ということだ。今は私よりシャーロと魔王のほうが心配だ。レイ君、私を優先するより2人を優先してくれないか?」


 なるほど、グリュムは邪魔者を排除しようとするわけか。

 それじゃあアンバーは戦争――前線に立たせてはいけないはずでは?


 これは帰ってから考えないといけない――。

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