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800話 新たな疑惑


 姉弟じゃない? そういうことか。


「血がつながっていないと言いたいのか? つながっていなくても、一緒に暮らしていたのなら姉弟と変わりはない。全然問題ないが?」


「そうじゃないの〜。姉弟じゃなくて〜。母親と息子の関係だと言いたいの〜」


 …………はい? キャスリーが母親でロベントスが息子……。


 いやいや。どう見ても……ありえなくはないか……。

 だけど、エメロッテが間違えるわけがない。

 キャスリーはいったい何歳なんだ? 魔力で若さを保っているのはわかるが、年齢のことは聞いていない。

 親子なら親子と言えばいいのに、なんで姉弟で隠す?


 かなり訳アリだ……。


「これは本人に聞きづらいな……」


「う〜ん、複雑な問題を抱えているのはわかるよ〜。知っている人に聞かないとわからないよ〜」


「そうなると、ベネッタとタッツか。どこまで知っているかわからないが、遠回しに聞いてみるか」


「そうだね〜。気になるから今日中に呼ぼうね〜」


 エメロッテはモヤモヤして早く理由を知りたいようだ。

 まあ、俺も気になって仕方がない。

 中将のこともある、それで過去のことがわかるかもしれない。


 まずはベネッタから聞いてみよう。


 アイシスにべネッタを案内を頼むと――。数十分後に寝室に入ってきた。


「悪いな、まだ環境に慣れてないところ呼んで」


「平気よ。大将こそ大丈夫なの? 急に倒れたけど」


「大丈夫だ。少し魔力が多く使って疲れただけだ。ゆっくり休めばすぐに治る」


「それならいいけど。それで、私に聞きたいことがあるのでしょ?」


「そうだ。キャスリーとロベントスだが、あの2人は何歳なんだ?」


「キャスリーが31歳でロベントスが15歳よ。それがどうしたの?」


 差はあるが、姉弟という設定は周りに通用する。というかこの世界なら歳の差なんて普通にありえる。そうなるとキャスリーは成人して間もなくロベントスを宿している。


「いや、ロベントスが成人しているの子どものように扱われているからと思って」


「それは私も思うわよ。けど、大切な弟だから仕方ないわよ」


「亡くなった両親の代わりに育てたからか?」


「ええ、そうよ。もう15年前にもなるわね。まだ闘技場もなく、賭け事がなかったディングラ――開拓途中の地に引っ越してからあの2人に会ったわ。私が当時12歳でキャスリーが16歳、ロベントスが1歳の頃よ。あの2人は行く場所がなくここに来たと言っていたわ」


「最初からディングラにいたわけではないんだな?」


「ええ、当時の領主様は開拓を手伝ってくれたら身分関係なく誰でも歓迎してくれた人よ。その噂を聞きつけて家族と引っ越したの。それでディングラの住民になれたわけ」


 ロベントスが生まれた後に会っているなら、姉弟と認識している。

 これは思っているよりも、情報が聞けない。


「そういえば、べネッタの家族は……?」


「老衰で亡くなったから気にしないで。しっかりお別れの挨拶もできたし悔いはないわ。私はまだ恵まれているわよ……」

 

「それならいいが、恵まれているとは?」


「キャスリーとロベントスの両親はディングラに行く途中……2人を守って魔物に襲われたらしいわよ……。立て続けにその影響で記憶のほとんどを失ったみたいだわ……。本当に気の毒……」


 襲われた? 完全にここは作り話だとわかった。


「それは誰から聞いた?」


「タッツさんよ。あの人もディングラに行く途中で通りかかって2人を保護したみたい。あの2人の恩人で、ずっとお世話になっているからキャスリーがタッツさんが好きなのがそれよ」


 なるほど、タッツが嘘をついているようだ。

 まさかタッツが重要人物とは意外だ。


 ここまで深堀りできたのはかなりの収穫だ。


 だが、なぜタッツが2人の過去を隠している?

 よほど誰にも言えないようなことを隠しているようだ。

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