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796話 解決はまだ先


 サリチーヌたちの問題が解決していない。

 まずはリフィリアに念話で別荘に移動を――。


「子爵殿、私たちを助けてくれたこと感謝します。私はサリチーヌの父である――フェニッツ・オーストロと申します。そして隣にいるにいるのは妻のセネユティです。いろいろと確認させてほしいのですが――クーランドは……?」


 サリチーヌの父が前に出て言う。その前に状況を確認しないとな。


「アイツはもうこの世にはいない。この目で確認はしなかったが、魔力反応がないのは確実に死んでいる」


「そうか……もうこの世にいないのか……。子どもたちの行方を知りたかった……。もう直接聞き出すことができないか……」


「闘技場内にはいなかったのか?」


「ナイトメア嬢が隅々まで確認してもらいましたが、いませんでした。おそらく、商品として持っていかれたか、ほかの連中に移動させられたかと……」


 その前にクーランドが手を売っていたことになる。


「本当にあの愚か者は亡くなったのですの? この目で確かめていなければ生きている可能性はあります。しつこい男ですので、生きていると思いますわ」


「私が確認したぞ。奴は身体の半分以上を引き裂かれていて死んでいるのはわかったぞ。大将くらいの治療ができないかぎり、生きているのは無理に等しい」


 ファントムが確認したならもう死んだのは確定だ。

 サリチーヌ父はため息をつくしかなかった。


「助けられた身で言うのはあれですが――私をクーランドの豪邸に魔法で送ることは可能でしょうか? 子どもたちがどこに行ったか情報――契約書があると思います」


 手がかりといったらそれしかないよな。


「では、ワタクシが行きましょう……。契約書ついでに資産もいただきましょうか……」


 ついでって……、メア普通に引き受けるわけないですよね……。まあ、俺は別にいいけど。


「度重なるご迷惑かけて本当に申し訳ない……」


「いえいえ……、サリチーヌさんとはもう親友ですのでそのお父上の頼みなら喜んで引き受けますこと……」


「ナイトメアさん……」


 資産目的とはいってもなんだかんだサリチーヌために動いてくれる。

 メア自身も不完全燃焼で終わらせたくはないはずだ。


「ハハハハハ! 何かあっては大変だろう? 我もついていこうではないか!」

「オレも少し暴れ足りん、護衛として行くぞ」

「見張りなら私に任してくれ」


 なぜか結晶騎士組も行きたいようです。

 何かあったら大変だし、越したことはない。


 メアはサリチーヌたちと結晶騎士組を空間魔法(ゲート)で移動した。


 戻るまで時間がかかりそうだ。


 そろそろこっちも落ち着いたことだし聞いてみるか――。


「よかったなエミカ、2人と再会できて」


「本当にありがとうございます! またこうして会えるのが奇跡です……」


「偶然が重なって起きたから奇跡なのは確かだな。感動の再会しているところ悪いが、ヒロヤとヨイカに聞きたいことがある。エミカたちと離れている間に何かされなかったか?」


「いえ、特に何も……。ただ、命令されて動いただけで酷いことはされていないです」

「勇者というだけでほかに捕まっている人よりは待遇マシでした……。食事もある程度はもらえていましたので……」


 客寄せにされていたし、待遇はそれなりか。


「本当にマシなの!? ヨイカ、すごい痩せているじゃない!? 私、ヨイカのプニプニのお腹を触るの好きだったのに!? もしかして……洗脳されたの!? 許せない……」


「エミカちゃん……私、そこまで気にしていないけど……、コンプレックスだったから別にいいんだけど……」


「洗脳されている!? ヨイカをこんなふうにしたこと……。絶対に許さない……」


 エミカにとってご褒美がなくなったらしい。

 この恨みはかなり恐ろしいぞ。というか私利私欲で恨まれるとは……複雑の気持ちだ……。もっと違うのがあるが……。


「西崎、市川さんが気にしていないならいいじゃないか。俺はこのくらいが健康的でいいと思うぞ」


「藤澤くん……」


 ヨイカはヒロヤの発言で顔が赤くなる。

 青春していますね……。


「ちょっと何言っているのよ!? ヒロヤまで洗脳されているの!? こうなったらヨイカにいっぱい美味しいの食べさせるんだから……」


「その話は領地に戻ってからにしてくれ。話が脱線したが、本当にそれだけなのか?」


「はい、それだけです」


 まあ、変なことされていないなら不幸中の幸いだ。こうして無事ということはエミカたちにとって何よりだ」


「あの……私……、最近オークションに出される話しでした……。あなた方が来なければ私……どうなるかわかりませんでした……」


 ヨイカは急にボロボロと大粒の涙をこぼす。

 無理もないか、異世界に飛ばされて、奴隷にされ毎日が不安だったろうな。


「もう大丈夫よ。エミカ、レイさんの領地でゆっくり休んで、美味しいものでもいっぱい食べてね」


「うん……」


 まあ、クラスメイトがいれば不安は消えるだろう。


「最後に聞きたいことがある。そのオークションの主催者はわかるか?」


「たしか……ドミベックとか言っていたような……」


 やはりドミベックか。ここまでくれば厄介な商会だけで済む話ではない。

 早めに対処しないといけなくなった。

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