792話 少佐の暴走⑤
魔力はかなり消費されたが、今のイングルプに通用するのは【絆】化した炎の魔剣しかない。
あとはフランカだけで十分だ。魔力温存のために光魔法――ピュリフィケーション・サンクチュアリを解除した。
「オレサマヲ止めテモ無駄ダ!」
解除した瞬間に結晶化されたイングルプは結晶を砕いて出てきた。
ルチルのおかげで十分装填できた――。
「――フレイムバレットレイン!」
「ナニ!?」
無数の炎の弾丸を放ちイングルプに直撃し――身体を貫通させた。
強化されたとはいえ、【絆】化した魔剣には防ぐことはできない。
しかし、ゆっくりと身体を再生して完治した。
「グヘヘヘ、キモチヨカッタゼ……」
ニヤけながら満足していた。
痛覚と再生は変わらないのは想定内だ。
これならどうだ――。
「――シャイニングバレットレイン!」
「――――グェェェェ!?」
無数の光の弾丸を放ち、さっきと同じよう直撃し、イングルプは怯む。
イングルプの纏っている黒い靄と黒い魔力は乱れて再生が遅くなった。
やはり光属性には弱いようだ。それもそうか、禁忌で強化されたなら禁忌の影響が強い。
強化されるほど俺の光魔法は禁忌に強くなる。
だが、俺の魔力も僅かしかない。特大の魔法2発で終わらせるしかない――。
「――――ジャッジメント!」
「――――グワァァァァ!? ナンダコノ痛ミハ!?」
審判の弾を放ち、イングルプに直撃すると、裁きの光が下され――光に包まれる。
あまりの痛さに悲鳴を上げて跪く。
これで黒い靄が消えた。
「――――アブソリュート・クリスタル!」
もう1発――結晶の弾が当たるとイングルプ全身結晶化し、身動きがとれなくなった。
結晶化させたが魔力反応がある。最後の1発でも終わらせられないとはな……。
なら、結晶とともに粉々にする。
これで本当に最後だ――。
「――――エクスプロ――」
「――――ナメルナ!」
その瞬間、イングルプが結晶を砕いて目の前にいる。
俺は中断をしないで発動し、爆炎の弾がイングルプに触れて大爆発した。
出られたのは焦ったが、自らゼロ距離で魔法を食らうのはひと溜まりもない。
早く再生にする前に――。
「逃サネェ!」
後ろに下がろうとするが、イングルプに大きな手に掴まれて身動きがとれない……。
力が抜ける……マズい……禁忌に触れてしまった……。
しまった……炎の魔剣が維持できなく解除される……。魔力もほとんど使いって耐えることができない……。
「主殿!? デカブツ、その汚い手を放せ!」
「シツケンダヨ!? スッコンデロ!」
「――――ガハァ!?」
セイクリッドがイングルプに近づき俺が捕まっている腕を狙って切ろうとするが、もう片方の腕で薙ぎ払われて吹っ飛んで壁に食い込んでしまう。
セイクリッドでもあれはひと溜まりもないないぞ……。
ダメだ……意識が……目がかすむ……。




